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国土交通省との懇談会を開催

2015年7月30日 木曜日

国交省懇談会(神山会長)2



 当協会は、7月24日(金)にホテルニューオータニにおいて国土交通省との懇談会を開催した。この懇談会は、毎年、国土交通省の幹部と住宅・土地政策の動向についての意見交換や住宅・土地税制などについて要望等を行うもの。



 当協会からは神山会長をはじめ副会長・専務理事・常務理事・各団体会員代表者・各委員会委員長・常任理事が出席した。

 冒頭、神山会長は「流通や管理、建設など業況は若干異なるが、住宅産業全体としては去年より供給戸数が微増している。しかし、依然として厳しい状況にあり、住宅市場の改善や空家問題、無電柱化等の課題解決にはどうしても金融と税制の後押しが必要となる。色々お願いしなければならないことがあるが、今後ともご指導いただきたい。」などと挨拶した。



 その後、国土交通省より橋本住宅局長、毛利土地・建設産業局長のご挨拶をいただき、住宅・土地政策について(1)住宅政策をとりまく最近の動向、(2)最近の住宅生産行政の動向、(3)不動産行政の最近の動向、(4)不動産市場の最近の動向及び土地税制、のそれぞれのテーマで説明がなされた。



 また、全住協より馬場副会長が最近の住宅・不動産業の状況や消費者動向などを詳しく説明するとともに平成28年度住宅・土地税制改正、住宅金融支援機構業務に関する要望を行い、参加者による質疑応答や意見交換を活発に行った。



 最後に吉田副会長が「首都圏に比べるとまだまだ地方経済は上昇気流には乗り切れておらず、空家住宅対策など少子高齢化の社会変化のスピードに、都市計画法等の諸法令も追いついていない。スピード感を持った対策にて経済発展のためご尽力をお願い申し上げたい」と挨拶し閉会した。



 なお、当日は全住協より32名、国土交通省より20名が出席した。

住団連、7月度「経営者の住宅景況感調査」

2015年7月30日 木曜日

 (一社)住宅生産団体連合会がまとめた今年7月度の「経営者の住宅景況感調査」によると、平成27年度度第1四半期(4~6月期)実績の景況判断指数は、前年同期比で総受注戸数プラス47P・総受注金額プラス53Pと、受注戸数・受注金額ともに3四半期連続で大幅なプラスとなった。この実績へのコメントでは、「新築をリフォームがカバー」、「反動減からの回復、自社の各種施策効果が出てきた」、「昨年比では増加傾向だが、増税前には戻らない」など、全体的に回復基調が明確だが、まだ本格的な回復とは言えないといったコメントが多く見られた。



 平成27年度第2四半期(7~9月期)見通しの景況判断指数は、総受注戸数プラス57P・総受注金額プラス60Pと、受注戸数・受注金額ともに、プラスが継続・拡大する見通しとなった(前4月度の総受注戸数プラス50・総受注金額プラス56)。この見通しへのコメントでは「前四半期に続き消費税増税以降の反動減の底打ち感があり、市況は徐々に回復している模様」、「昨年の消費税増税後の反動減として回復」、「もうしばらくこの傾向が続くと考えられるが徐々に回復に向かう」など、回復基調が継続しているといったコメントが多く、今後更なる回復が期待される。



〈戸建注文住宅の7~9月期見通し〉

 受注戸数プラス56P・受注金額プラス59Pと、戸数・金額ともにプラスが継続・拡大する見通し(前4月度の受注戸数プラス56・受注金額プラス60)。コメントでは、「大きな回復は期待できない」、「増税前には戻らず、しばらく横ばいの見込み」、「10%減少予想」という悲観論も散見されたが「前四半期から市況は回復の兆しが見られ、前年度のハードルも低いことから大幅プラスとなる見込み」、「展示場記名、敷地調査などの先行指標は徐々に上向いてきている」、「新しい商品や技術要素等の投入により、成長期待」など、前年の反動減との対比でもあり、回答企業のほとんどが5%以上良くなりそうと回答し、受注拡大に向けたコメントが多い。



〈戸建分譲住宅の7~9月期見通し〉

 受注戸数・受注金額ともにプラス46Pと、プラスが継続する見通し(前1月度=受注戸数・受注金額ともにプラス18)。コメントでは、「消費税増税の反動は依然としてあるが、政府の負担軽減策、住宅ローンの低金利、株価の上昇等のプラス要素が多くなっていることから、前向きに検討を始めるお客様が増えてくると考える」、「在庫物件の回転や新規案件により伸長を維持」、「引き続き、安定的に分譲物件を確保し販売に努める」など、受注拡大に向けた前向きな声が多く、全体的な指数としてもプラスが継続する見通しだ。



<低層賃貸住宅の7~9月期見通し>
受注戸数・受注金額ともにプラス54Pと、戸数・金額ともに好調にプラスが継続する見通し(前4月度=受注戸数プラス50・受注金額プラス54)。コメントでは、「景況感良く、投資意欲が高水準で推移する予定」、「引き続き相続対策としての賃貸住宅建設を訴求していく」、「空き家の固定資産税軽減解除と相続税対策が引き続き需要を底堅く牽引する見込み」など、相続税対策としての投資需要、低金利の継続などを背景とした景況感が良く、大幅なプラスが継続する見通し。



〈リフォームの7~9月期見通し〉
 受注金額がプラス60Pと、プラスが継続する見通し(前4月度の受注金額プラス64)。コメントでは、「現状の勢いを維持」、「単価アップの商材無く、横ばいの見通し」、「特別な増加は見込めない」としながらも「景気上昇機運のなか、中・高年齢者の高額リフォームの案件が増加傾向。省エネ製品設備機器の採用等単価アップとともに10%以上の上昇が期待される」、「昨年の消費税増税後の反動減と比較して回復」、「前年度のハードルが低いため、前年比はプラスとなる」など、前向きな声が多く、プラスが継続・拡大する見通し。



〈新設住宅着工戸数の予測〉

 平成27年度の新設住宅着工戸数の予測(回答16社の予測平均値)は総戸数89.6万戸(前4月度調査88.9万戸)と、前回調査に比べ増加を見込む。



[利用関係別の内訳]◇持家=29.0万戸(前4月度29.5万戸)◇分譲住宅=24.3万戸(同23.6万戸)◇賃貸住宅=35.3万戸(同34.7万戸)。



〔URL〕http://www.judanren.or.jp/proposal-activity/chosa/report01/201507/index.html



【問合先】広報部03―5275―7251

第5回優良事業表彰受賞プロジェクト

2015年7月30日 木曜日

 会報全住協では、第5回優良事業表彰受賞プロジェクトを順次ご紹介しております。今回は、戸建分譲住宅部門(中規模)において優良事業賞を受賞した(株)住太郎ホームの「ベアーズタウン首里金城町」です。



住太郎ホーム



[事業コンセプト]

 弊社は「街・住まいは文化である」という理念を持ち、お客様がゆとりを持った生活を過ごせることを基本とし住宅づくりを行っております。本事業は、首里城の城下町として赤瓦屋根や石畳道など歴史ある風景を残す那覇市首里金城町内に建築され、周囲の情緒ある街並みに配慮したデザインの住宅全4邸の分譲販売を行いました。



 本物件は木造住宅となっており、アメリカで培われた伝統的な住宅様式2×4枠組壁工法よりさらに強度のある2×6枠組壁工法を採用し、台風の多い沖縄地域でも安心して暮らせる強い住宅づくりを基礎としております。また、床高を高くし、床下に強制換気システムを導入することで、建物構造内の継続的な乾燥状態を維持することにより、木部の腐敗・劣化やシロアリ被害を防ぎ、より長く快適に住める住宅づくりを目指しております。沖縄の文化やデザインを尊重し、かつ高温多湿な環境に適合するような住みよい街づくりをコンセプトに置き事業を計画してまいりました。



[商品企画]

 「家があって庭があって家庭になる」という、弊社のコンセプトを元に、本場イギリスの伝統行事「チェルシーフラワーショウ」でも高く評価をされているランドスケープ(街並み)アーティスト石原和幸氏とのコラボレーション。琉球石灰岩等をふんだんに取り入れ、南国情緒
豊かな、ヤシ・シダ類を植栽。沖縄の文化・アートを意識した付加価値の高い琉球モダンスタイルガーデニングを提供しております。

 また外観だけではなく、お客様が生活する上で必ず利用する『水』にも配慮。水道水に含まれる残量塩素等の有害物質をろ過し、飲み水だけではなく宅内全ての水を浄化する浄水システムを採用。お客様の健康面にも気を使った住宅に仕上げております。



住太郎ホーム2



[事業成果]

 首里金城町は平成26年6月に販売を開始し、同年10月に完売いたしました。文教区・病院・高速IC の利便性が富むアクセス環境の良い立地と、那覇市近郊が一望できる眺望及び木造住宅の耐震・耐風・断熱性ある住宅。また由緒ある町の伝統的景観に沿ったデザインの邸宅を提供し多くの反響がございました。
 価格帯として、建売住宅の周辺相場は4,000万~4,500万円台となっており、弊社分譲地は、200万~300万円程相場より高くなっておりますが、消費者ニーズに適合した住宅提供ができたことが成果に結びついたものと考えます。



[物件概要]

敷地面積 149.28~183.55m2(平均166.40m2)

延床面積 98.01~102.93m2(平均100.72m2)

構造・規模 木造2×6工法地上2階建

住戸総数 4区画

平成26年の低層住宅労災件数は前年上回る522件
 ~住団連、低層住宅の労働災害発生状況調査

2015年7月9日 木曜日

 (一社)住宅生産団体連合会は、「平成26年低層住宅の労働災害発生状況報告書」をまとめた。調査対象は同連合会構成団体のうち6団体の会員企業。低層住宅建築工事において現場災害の発生状況を調査し、544社が回答した。この544社の年間完工棟数は、新築が16万6807棟、増改築・リフォームが37万5027棟。同報告書は、平成5年から低層住宅建築工事による労働災害発生状況を集計分析している。



 同調査の概要をみると、[労働災害件数(休業4日以上の災害で、一人親方や事業主災害等を含む)]522件で前年(492件)に比べて30件増加している。工事1000棟当たりの労働災害発生率は0.94件で前年(0.87件)と比べ0.07件増加。労働災害発生状況では[作業分類別]発生率の高い「建方工事」が平成24年の31.8%から25年は28.7%へ、26年は23.2%へと減少傾向となったが、「内部造作工事」が前年の16.7%から20.8%へ増加した。両作業での合計44.0%は、前年比1.4%と若干減少した。「内装工事」は平成24年の3.1%から25年には8.1%へと大幅に増加したが、26年は5.4%減の2.7%へ減少した。



[職種分類別]では、「大工職」の労働災害発生比率は41.6%で前年の52.8%から減少したが「その他」が前年の25.2%から32.0%へ増加した。「その他」の職種の大半は一現場で継続しての作業ではなく、各現場を巡回する職種のため、その現場の作業環境に不慣れなことによる労働災害が発生しやすくなる。初めての現場に入るときは、足場掛状況、現場の整理整頓状況、資材搬入のための通路状況等の把握を行うことの普及啓発が必要である。



 労働災害発生状況では、

[原因・型別]墜転落災害が48.7%と約半数を占め、そのうち「足場」「脚立」からの転落が46.0%となっている。工具での切れやこすれは、「丸鋸」は26.9%(前年比4.2%減)、「釘打ち機」は23.1%(同11.3%減)と減少したが、「その他」が前年比7.2%増加し25.0%となった。



[休業日数別]

全年比で休業日数が「31~90日」は32.2%(前年比6.6%減)と減少したが、「91日以上」15.1%(同3.7%増)と「死亡災害」2.3%(同1.1%増)が増加した。死亡災害や重症災害になる割合が高い『墜転落災害』『電動工具災害』『車両系建設機械災害』については予防対策を強化し、元請業者・事業主が協力して労働者に災害防止の重要性について常に自覚を持つように、安全衛生教育の一層の推進を行わねばならない。



[雇用形態別]

「労働者」が59.4%(前年比6.1%増)、「事業主」が5.0%(同0.3%減)、「一人親方」が35.1%(同6.4%減)と、「労働者」が平成24年の56.5%から25年は53.3%へ減少していたが、26年は再び増加に転じた。「一人親方」の割合は3年ぶりに減少した。



[年齢別]

50歳代が14.8%(前年比同5.7%減)、60歳代が19.3%(同2.9%減)といずれも減少したが、20歳代が16.1%(同2.5%増)、30歳代が22.0%(同3.1%増)、40歳代が23.4%(同7.2%増)と20歳代~40歳代が増えている。高齢者の割合は平成25年度に比べ減少しているが、今後も低層住宅工事に携わる作業者の高年齢化がさらに進むことが見込まれるため、40歳代以上の災害発生比率の増加が懸念される。



[月別・曜日別・時間別]

「月別」では、3月が11.5%(前年比3.1%増)、5月が7.3%(同2.4%増)・6月が9.8%(同3.5%増)・8月が10.3%(同2.1%増)と災害発生率が増加した。工事が集中する年度末の繁忙や、例年にない早い時期の猛暑が原因と推測され、年々早期の熱中症対策が必要となる。一方、9月が6.7%(同5.1%減)・10月が5.9%(同1.4%減)・11月が8.8%(同1.6%減)・12月が6.7%(同3.1%減)と災害発生率は減少している。「曜日別」=月曜日が16.5%(前年比1.5%減)で微減、水曜日が13.4%(同4.4%減)で減少したが、火曜日が18.2%(同0.9%増)と金曜日が16.9%(同0.6%増)で2年連続の増加。また土曜日が14.8%(同3.4%増)で2年ぶりに増加した。月曜日から金曜日の災害発生率のばらつきはより少なくなり、平均化してきた。「時間帯別」=前年と比較すると午前中の災害発生率が3.5%増加し、午後は2.7%減少した。災害が増加した午前8時以前の7.5%(前年比1.2%増)ならびに同11時の15.9%(同3.5%増)を考慮すると作業前の準備不足や、昼休み前の作業者の目に見えない「疲れ」や「油断」に対する認識・配慮が必要となる。



【問合先】環境安全部 03-5275-7251



〔URL〕http://www.judanren.or.jp/proposal-activity/chosa/file/h26_roudousaigai.pdf



【問合先】(一社)住宅生産団体連合会 環境安全部03―5275―7251

検査済証のない建築物の流通促進に関するセミナー(会報全住協7月号)

2015年7月6日 月曜日

 政策委員会の主催により、5月25日に「検査済証のない建築物の流通促進に関するセミナー」を開催しましたので、下記に概要を紹介いたします。



【当社のご紹介】

 本日は、検査済証の無い物件の有効活用法等についてお話をいたします。

 まず当社についての説明ですが、平成18年4月に設立され今年で10年経ちます。指定確認検査機関として国土交通省関東地方整備局長の指定で15番目にできた会社で、登録住宅性能評価機関、CASBEE評価認証機関であり、最近ではLEED認証サポート、省エネ届出サポート等様々な事業を行っています。確認検査機関ですので、コンプライアンスを中心に建築物の審査・検査を通じて建築物に関する評価を行っています。お客様からは「困ったらJ、何とかしてくれるJ」と評価をいただいています。

 確認検査の実績としては、渋谷Q-FRONTの用途変更や浅草ドン・キホーテ、代官山TSUTAYA等の確認検査を行っています。



【検査済証の無い建築物について】

 検査済証の無い建築物は全国にどの程度あるのでしょうか。昭和37年から平成25年までに新設建築物数は5,158万棟、総延床面積は37,423km2です。そして、戸建住宅が全体の85%を占めています。

 このうち、検査済証の無い建築物は3,743万棟、残存数で2,144万棟と推測されます(資料1参照)。検査済証の平均取得率が34%であることがこの背景です。昭和60年から平成11年には同取得率は向上していますが、特定行政庁の話では昭和60年以前は10%程度だったそうです。平成11年に確認検査業務が民間に解放された際に中間検査ができたこと、住宅金融支援機構等の融資条件で検査済証が必須になったことで検査済証取得率は格段に向上しました。世の中のコンプライアンスの重要性が向上したことが影響しています。

資料1

資料1




【ガイドラインと検査内容】

 平成26年7月、国土交通省は「検査済証の無い建築物に係る建築基準法適合性調査のためのガイドライン」を策定し公表しました。このガイドラインは検査済証が無いという理由から増築等の手続きに進めず、既存建築物の有効活用を阻害するケースを回避するため建築物の法適合性状況を調査する一方法として取りまとめられたものです。

 現在、建築基準法適合状況調査の届出を出した指定確認検査機関は28ありますが、当社は2番目に登録させていただいたということもあり、よくご相談をいただいています。

 では、具体的にどのような調査を行うのでしょうか。 「事前調査」では、建築所在地の特定行政庁の調査方針を確認します。これは特定行政庁ごとに全く異なりますので確認が必要です。図面が無い場合には復元図書を作成しなければなりません。

 「図上審査」では実際に確認審査と同じような審査を行います。「現地調査」は耐震診断と同等の調査を行い適合性の判定を行います。また、建築確認の完了検査と同等の検査を実施します。実際には建築当時の建築基準法の適合性との確認、現行建築基準法との適合性の確認をします。そして、構造耐震指標等の評価を行います。

 当社の検査実施内容としては資料2のようになります。 事前相談では、所在地の特定行政庁の調査方針を確認する際に、実際に耐震診断まで必要か、法適合性のみでできるかを含めて色々確認しています。その上で、確認と同じような設計図書が無い場合は設計事務所をご紹介して図面作成のサポート等を行っています。そして先述の流れで、各審査を行います。復元図書を鑑み、図書の補正をサポートします。法に適合しなければ、先の手続きに進めないからです。最終的に報告書を作成するだけで無く、是正の必要性の有無や是正方法等をコメントして付与しています。

 今一番問題なのは、「耐震診断」です。設計図書が無い場合、実測図等、診断に必要な資料を作成、さらに復元図書を作成した際に構造計算も行ってもらいますが、耐震診断の場合は改めて当社でも再計算します。これに2~3週間かかります。現地調査で1週間かけて使用状況、建築物の環境調査を行い、最終的には約3か月位要しています。

 当社の法適合性調査の受託例では、木造の場合構造調査はしたものの、耐震診断までは行わなくても良かった事例もあります。

資料2

資料2




【検査の課題と対処法】

 法適合性調査の課題としては、以下の点が挙げられます(資料3参照)。

 第一に、調査期間が最大3か月必要なことです。設計図書がない場合は復元に1か月必要ですし、耐震診断実施にも3か月かかります。

 第二に、調査費用が高い。規模にもよりますが、設計図書の復元費用や耐震診断費用が高額になりがちです。 

 第三に、行政ごとに求める審査や検査内容が異なります。都区部や政令指定都市では厳しく、特に東京都区部の地盤が緩い地域では実際に杭を打った本数まで調べてくれなどと耐震診断を超えた要求をしてくるケースもあるようです。これは、確認審査が減少しているので、リスクを負える行政庁が減少しているということも関係していると思われます。

 一方、地方はそれほど厳しくありませんが、建築主事が減少してきているので、今後は対応が変わっていく可能性があると思います。 ガイドラインはあくまでも用途変更や増築、改築などの法適合建築物への変更を行う上での行政手続きを行うための位置付けです。検査済証の無い建築物を現状維持した状態で融資、不動産取引、投資事業化を考える場合、ガイドライン以外の手法が選択でき、納期・費用の短縮が可能になるということを皆様に御理解いただければと思います。

 特に融資といった場合、コンプライアンスが維持されているかが一番の問題になりますので、ただ単純に購入するために融資を受けたいということであれば、意匠的な遵法性を確認すればいいことになります。

 投資事業化でも違った方法(エンジニアリングレポート等)が考えられます。調査目的により対処法は異なります。

資料3

資料3




【最後に】

 検査済証の無い建築物と現行法との関係について考えた際、建築基準法は緩和・厳格化の2つの方向で改正が行われていることにご注目ください。実際に建築時に適法であっても現行法では厳しくなっている場合があります。例えば地盤沈下への対応などです。また逆に、建築時に違法であっても現行法だと適法になっている場合もあります。ですから、違法増築を行っている場合でもコンプライアンスが維持されているなど物件ごとに確認することで、リスク増減の可能性もあります。

 我々は、この取組みを通じて市場の既存建築物の有効活用や取引の活性化を支援しています。既存建築物を全て用途変更するわけでは無いと思います。実際には、取得後しばらく保有してどれだけ儲かるか確認して潰してしまうというのであれば、エンジニアリングレポートで済む場合もあります。また、既存物件の内装だけを変えるのであれば、確認等は必要ありません。まず、我々にご相談いただき、どんな内容をやりたいのかお話しいただきたいと思います。我々は難しいと思われることでも挑戦いたします。(文責 編集部)

優良事業表彰受賞プロジェクト紹介

2015年7月6日 月曜日

会報全住協では、第5回優良事業表彰受賞プロジェクトを順次ご紹介しております。今回は、戸建分譲住宅部門(中規模)において優良事業賞を受賞したケイアイスター不動産(株)の戸建分譲住宅『CINEMAシリーズ』(高崎市江木の街)です。



【戸建01】高崎市江木の街 scene02-2



[事業コンセプト]

 水路沿いのハナミズキが四季の移ろいを感じさせる好立地なロケーション。この場所に建つ6戸の街は当社における戸建分譲住宅のフラッグシップとなる「CINEMA」シリーズ。心に残る美しいシネマのワンシーンのように、心に残る美しく豊かな人生のストーリーを描いていく邸宅づくりと、その結晶となる街づくりに対する想いを込めたブランドネームとした。この街の住人同士が自然とコミュニティを築いていけるように配慮された街区デザイン。家族の絆を大切に考えた機能性の高い住戸プラン。日常を特別なものにする美しいファサード。豊かさの中に安心安全の調和。そして家族にも地球にも優しい潤いのある快適な生活。この街に住まう人々が心地良く豊かで美しく暮らせるために独創性のある街づくりとした。



[商品企画]

 家々に囲まれた街の中心に佇むクルドサック。共有地として計画されたこの場所は車の転回だけではなく、この街の住民が集うコミュニティ広場としての役割も持たせた。街の入口は住まう人を誘う優雅な雰囲気としながらも、外部の人が不用意に入りづらい印象を与えるなど街区プランに機能性と防犯性を両立。

 各住戸は“片づけやすい家”をキーワードにリビングやキッチンの一角に大収納を設けたのを始め、将来のライフスタイルに適応できる可変性のある間取りで機能性を重視したプランとした。住戸デザインは白い塗り壁と瓦屋根をベースにオリジナルのアイアンデザインの門扉をビルトイン。イタリアテイストの洗練されたファサードはオリジナリティ溢れるデザインを実現した。

 特筆すべきは地震の揺れを約30%抑制する制震ダンパーを全戸に装備したほか、強風による屋根の煽りを抑制するための強固な垂木金物を採用。また弊社独自の「街あかり規定」による常夜灯で光を絶やさず街全体で夜間の防犯性を高めるなど安全性にも配慮した。



[事業成果]

 高崎駅から徒歩12分の好立地で戸建分譲の希少性と都内への新幹線通勤をする属性の高い顧客ニーズを狙いクオリティの高い商品とした。これにより周辺相場よりもやや高めの価格設定、そして完成前ということもあり、一般的な販売方法ではなくセミナー形式による説明会を開催することで集客を行った。旧客を中心にセミナーの案内送付、そして組数限定でエントリー制とすることで盛況感や特別感を出した。そのような集客活動が功を奏し、セミナーには約10組が参加。商品のコンセプトをきちんと理解していただくためのプレゼンテーション、現地案内、食事会などを催し、その場で先着申込みを行い住戸によっては抽選となる中、数件が当日契約となった。その後も現地来場客を中心に販売開始から3か月、完成前に全戸完売することができた。特に最初の集客では自社の注文住宅やマンションの旧客からの来場が多く商品への期待の高さが伺えた。

 また、初回接客より平均7日以内での成約、また既に成約していただいた方からの紹介など、当初の狙い通り属性の高い顧客のニーズに合致した商品力とコンセプトに共感いただき、値引きやローン否決などもなくスムーズな契約にもつながった。これらの成果や契約率の高さからも事業としての成功度は高いとみられる。



[物件概要]

 敷地面積 150.22~255.72m2(平均197.47m2)

 延床面積 104.33~112.74m2(平均109.16m2)

 構造・規模  木造軸組工法・地上2階建

 住戸総数 6区画

中高層委員会、地域・事業活性化小委員会セミナーを開催

2015年6月5日 金曜日

【中高層委員会】

 4月22日(水)明治記念館にて「本音で語る金融機関と円滑に取引する方法」と題し、不動産融資に注力している(株)八千代銀行の新小岩支店長杉野博之氏が講師としてセミナーを開催した。

 「貸出基本五大原則」として収益性や安全性・公共性・流動性・成長性などを挙げ、リスクを勘案しながら社会的使命や企業の成長に資する融資を目指していること、また、風評リスクに対する懸念や物件自体の遵法性なども金融機関は留意していることなどを説明した。

 現在、収益物件の利回り低下や戸建完成物件の売れ残り等が散見されるようになり、市況は過熱気味にあり、今後東京オリンピックまでにどのあたりで調整が入るか注意が必要と語った。










【地域・事業活性化小委員会】

 5月14日(木)弘済会館にて「外国人技能実習生の受入制度について」の講演を行った。アジアグローバル企業・人材育成協同組合(AGA)理事長 岡本順也氏が、受入れまでの流れや、受入業種の増加など外国人技能実習制度の概要を解説した。

 また、基本的に真面目な技能実習生が多く、日本での技能実習生を巡るトラブルの背景には実習実施機関との雇用契約や労働環境の厳しさなども指摘されているため、監理団体である同組合が電話やEメールなどで定期的に技能実習生をフォローする体制を築いている。労働人口の減少から人手不足が顕著になる建設業等で、同制度を有効活用して欲しい旨を述べた。

 講演後には、外国人留学生が技能実習制度を利用できるかなど様々な質疑や意見が交わされ、参加者が関心を持っていることが、うかがわれた。



第3回定時総会を開催

2015年6月5日 金曜日





 当協会は、6月11日(木)にホテルニューオータニ「翠鳳の間」において「第3回定時総会」を開催した。

 総会では、委任状を含め402社の出席があり、「第1号議案 平成26年度事業報告及び決算承認の件」「第2号議案 定款の一部変更の件」「第3号議案 役員選任の件」を全会一致で承認し、「平成27年度事業計画及び予算の件」の報告を行った。

 この後、長年当協会の役員を務め、このたび退任となった方々に神山会長から感謝状が贈呈された。また、優良事業表彰、優秀社員表彰を行い、神山会長から表彰状と記念品が授与された。

 総会終了後、新役員による理事会を開催し、神山和郎会長が再任された。引き続き行われた懇親パーティーでは神山会長の挨拶の後、太田国土交通大臣、菅内閣官房長官など多数の来賓の方々から祝辞をいただいた。(以下に神山会長挨拶並びに太田国土交通大臣祝辞要旨を掲載。)懇親パーティーには当協会会員のほか、国会議員、官公庁・友好団体関係者など900名を超える出席があった。




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[神山会長挨拶]

 本日、国会の先生方、国交省の幹部の皆様、友好団体の皆様、沢山お見えいただきまして本当にありがとうございます。

 まず消費税の軽減税率の問題ですが、どうしても住宅について適用していただきたいと引き続き要望してまいりたいと思います。住宅は高額ですから消費税額も高くなります。色々難しい面もあろうかと思いますが、消費税を負担する国民のためを思えば、ぜひ住宅については軽減税率を適用していただきたく思っております。

 次に空き家の問題ですが、今日本全国に820万戸あるそうです。ただ、住みたいと思う地域に居住の用に適する住宅が、それほど空いているかというと、若干疑問ではあります。しかし、これを解決するためには、税制と金融の問題を外して論じても机上の空論で終ってしまうと思われます。

 当然、借入金が残っている人もいるでありましょうし、金融をつけなければ建て替えることも不可能な方もいらっしゃるでしょう。空き家を壊せば固定資産税が6倍に上がってしまうという問題もあるかと思います。住宅問題を解決するためには、やはり金融と税制の後押しがどうしても必要であると思います。

 次に住宅ローン控除の面積要件ですが、最近は土地の値段が非常に高くなっていますし、事業用地等仕入れそのものが難しくなってきております。また、建築費も非常に高騰しております。都心の一等地では坪単価1,000万円という値段のマンションが売り出されています。坪単価1,000万円というと10坪で1億円です。

 果たして、こういう時代になったのに住宅取得のための各種支援措置の適用を受けるために50㎡という面積要件にこだわる必要があるのかと非常に疑問に感じております。一等地の話ではありますが、50㎡では1億5,000万円位になってしまいます。住まい方の問題としては色々あろうかと思います。今、過半数が2人世帯以内だそうですから、もう少し面積要件は緩めていただいても良いのではないかと思います。今後お願いしていこうと考えております。

 最後になります。今、北海道から沖縄まで日本全国で地震が多発しています。地震というのは逃げ場がないので、非常に怖いと思います。我々は住宅を扱っている訳ですから、やはり耐震性に優れた建物をつくっていくということが非常に大事であります。我々の業界では、社会に対する使命感を持ってしっかりした建物をつくるように努力をしてまいりたいと思います。いずれにしても我々住宅業界は広く国民に受け入れられるような対策をもって物事に当たっていかないと支持はいただけないと思います。

 本日ご出席の皆様、今後ともご指導とご鞭撻、ご協力をお願い申し上げまして挨拶に代えさせていただきます。

 ありがとうございました。











[太田国土交通大臣祝辞]

 日頃から国土交通行政につきまして、皆様に大変お世話になっておりますことを心から感謝申し上げたいと思います。

 昨年4月に消費税が8%に上がりましたが、皆様はその前年からの2年間、まさに大変な荒波の中でお仕事をなさってきたと思います。何とかこの反動減をなくそうということでフラット35Sの金利引下げや贈与税の非課税枠の拡大、省エネ住宅ポイントの創設などをさせていただきました。その結果、何とか住宅着工は順調になり、景気の牽引役でもある住宅が、さらに景気を引っ張っていくというところまで来ました。平成29年4月、消費税が10%に上がる前に、さらに景気を良くすることに全力を挙げたいと思いますし、皆様方のご活躍ご尽力を心からお願い申し上げる次第でございます。

 今、少子高齢社会、人口減少、そしてまた特に高齢化が進んでいます。先日も日本創成会議の増田寛也座長が都市部において介護が深刻な問題になってくるという提言を出しました。これらを考えますと、エネルギー制約もありますので、省エネ、蓄エネ、そしてゼロエネ住宅等の推進、あるいは高齢社会ということでバリアフリーだけでなく、間取りも変えていく、ヒートショックを無くしていく、首都圏だけでなく全国各地で耐震化を進めることが極めて重要であります。あらゆる点で日本の大きな変動が皆様方の事業に直接関わってくるので、皆様にはそれを乗り越えていく牽引力になっていただかなくてはと強く思っております。

 空き家の問題についても、神山会長がお話になられた820万戸が実際に今空いていて、取引上の住宅戸数は500万戸あります。そのほか除却か有効利用しなくてはならないのが残る320万戸です。除却も相当力を入れなくてはいけないし、有効利用についても中身を変えたり、色々公的なものにも使っていく手助けをしていかなくてはならないと感じています。

 景気全般に、そして今後の日本の住宅やまちづくりのあり方について先導的な役割を皆様方に担っていただかなくてはなりません。会長からも先程様々な話がございましたが、今日は国会議員のメンバーも大勢おりますので、よく呼吸を合わせて体制を整備して一緒になって切り拓いていきたいと心から思っております。

 また、新たなスタートに当たりまして心からお祝いを申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。

 ありがとうございます。









[優良事業表彰受賞プロジェクト]

〈戸建分譲住宅部門(中規模)〉

 「戸建分譲住宅『CINEMAシリーズ』(高崎市江木の街)」(ケイアイスター不動産(株))

 「ベアーズタウン首里金城町」((株)住太郎ホーム)

 「グローイングスクエア浜田山 グランパーク」((株)細田工務店)



〈中高層分譲住宅部門(中規模)〉

 「デュオヒルズ上田駅前」((株)フージャースコーポレーション)

 「グローベル ザ・スクエア 東高円寺」((株)プロスペクト)



〈中高層分譲住宅部門(小規模)〉

 「デュフレベース成城」((株)サジェスト)



〈中高層分譲住宅部門(ワンルーム)〉

 「クレイシア新宿パークコンフォート」(プロパティエージェント(株))



〈企画・開発部門〉

「はなまるハウス『はなまる発電所』」(ケイアイスター不動産(株))



〔優秀社員表彰者〕(敬称略)

(株)東栄住宅 松浦 正尚、神谷 光輝

日神住宅サポート(株) 松林 伸彦

日神不動産(株) 浦山 秀樹、村松 和幸、德田 寛之

(株)ニッテイホールディングス 勝見 美帆子、霜田 康幸、弥永 朋成、渡邊 忠

(株)ニッテイライフ 内藤 久美、向田 貴志

東日本住宅(株) 兼子 亮、菅 隆行

住金機構、フラット35の6月の最低金利1.540%で2か月ぶりに上昇

2015年6月5日 金曜日

(独)住宅金融支援機構は、長期固定金利住宅ローン「フラット35」と「フラット50」(いずれも買取型)の取扱金融機関が適用する6月の融資金利を発表した。利率は取扱金融機関によって異なるが、35年ローンのうち最も低いものは1.540%で、前月(1.460%)より0.08ポイント上昇し2か月ぶりに上昇した。



【フラット35】

◇返済期間「21年以上35年以下」の場合の金利幅(融資率9割以下)

 年1.540~2.150%(取扱金融機関が提供する金利で最も多いのは1.540%)



◇返済期間「21年以上35年以下」の場合の(融資率9割超)

 年1.670~2.280%(同1.670%)



◇返済期間「20年以下の場合」の金利幅(融資率9割以下)

 年1.310~1.920%(同1.310%)



◇返済期間「20年以下の場合」の(融資率9割超)

 年1.440~2.120%(同1.440%)



【フラット50】

◇返済期間「36年以上50年以下」の場合の金利幅(融資率9割以下)

 年2.130~2.880%(取扱金融機関が提供する金利で最も多いのは2.380%)



◇返済期間「36年以上50年以下」の場合の金利幅(融資率9割超)

 年2.260~3.010%(同2.510%)



〔URL〕http://www.flat35.com/kinri/index.php/rates/top



【問合先】お客様コールセンター 0120-0860-35

国交省、厚労省と連携で建設業の人材確保・育成を促進

2015年4月30日 木曜日

国土交通省は厚生労働省と連携し、建設業の人材確保・育成に向けて「建設業の人材確保・育成策」をとりまとめた。長期にわたる建設投資の減少に伴い、競争が激化したことによる技能労働者の就労環境の悪化や、東日本大震災の復興需要、東京オリンピック・パラリンピック開催等による建設投資の増加に伴う建設業の人材確保・育成の必要性等を、これまでも両省の現状認識の共有や施策を支援するなど、両省で連携した取組や検討を行ってきた。



平成26年の建設業就業者は、55歳以上が34.3%、29歳以下が10.7%で高齢化が進行し、次世代への技術承継が大きな課題となっている。ただし、実数ベースでは建設業就業者数のうち平成25年と比較して55歳以上が約2万人増えて約132万人、29歳以下が約3万人増えて約51万人に若年労働者の割合が増加している。このほど両省でとりまとめた「建設業の人材確保・育成策」では

(1)「魅力ある職場づくり」

(2)「人材確保施策」

(3)「人材育成施策」の3つを主なポイントとして掲げている。概要は次のとおり。



◇「魅力ある職場づくり」=技能労働者の処遇を改善し、安心して働けるための環境整備として

(1)社会保険未加入対策の推進

(2)適切な賃金水準の確保や雇用管理の知識習得・向上の推進

(3)雇用管理に資する助成制度の活用促進

(4)現場の安全管理の徹底



◇「人材確保施策」=建設業への入職を促すため、建設業の魅力の向上や入職促進に向けたきめ細かな直接的な取組を実施することとして

(1)若年者等の建設分野への入職促進

(2)女性の活躍促進



◇「人材育成施策」=若年技能労働者等を育成するための環境整備として

(1)地域における元請・下請、関係団体、教育機関等の連携による人材育成策の推進等

(2)事業主等による人材育成の促進―としている。



〔URL〕http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo14_hh_000500.html


【問合先】建設産業局建設市場整備課労働資材対策室 03―5253―8111 内線24853、24854