‘全住協メールマガジン’ カテゴリーのアーカイブ

7~9月の実績、総受注戸数・金額ともにプラス
~住団連、10月度の「経営者の住宅景況感調査」

2018年11月9日 金曜日

(一社)住宅生産団体連合会がまとめた平成30年10月度の「経営者の住宅景況感調査」によると、平成30年度第2四半期(平成30年7~9月期)実績の景況判断指数は、対前年同期比で、前7月度予測(総受注戸数プラス41P、総受注金額プラス45P)に対し、総受注戸数プラス25P、総受注金額プラス32Pとなり、戸数は再度プラスに転じた。金額は4四半期連続でプラスを継続した。この実績へのコメントでは、「事業全体を通し堅調に受注が続きプラスとなった」「日経平均の高値、企業の好業績の影響を受け、受注が好調傾向」「台風や大雨の影響はあったが、前年に比べ比較的堅調に推移した」「営業・商品リソース強化により需要掘り起こしが継続できた」「戸建(注文・分譲)が受注を牽引した」「戸数・金額ともに前年を下回っているが、戸建注文住宅が下支えをしている」など前向きな声が多いが、「徐々に動きが停滞気味になった」など懸念する声もある。前回(7月)調査時までは、「決め手に欠ける、市況に盛り上げ要素がない」などのコメントがあり停滞感が続いていたが、第2四半期は再度市況が動き出した。



平成30年度第3四半期(平成30年10~12月期)見通しの景況判断指数は、総受注戸数プラス38P、総受注金額プラス32Pとなっている。この見通しへのコメントでは、「戸建(注文・分譲)が受注を牽引し、駆け込みも若干寄与」「消費増税の影響で受注増の見込み」「営業・商品リソース強化により需要掘り起こしを継続」「引き続き提案力の強化施策を実施することでプラスを見込む」など前向きな声が多いが、「戸建の回復とリフォームの受注増は期待できるが、分譲と低層賃貸の受注対策が重要」「消費税を意識した動きは限定的とみており、受注環境の大きな変化は予想していない」「新築の減少は人口統計のまま表れるであろう」など懸念する声もある。戸数における「5%程度良くなる」は、全回答12社中10社を占め、前回調査時から回復基調を予測する企業が多くなった。



【戸建注文住宅の平成30年10~12月期見通し】

受注戸数プラス30P、受注金額プラス21P。コメントでは、「第2四半期に続き増加を予想」「消費税率引き上げ時期が近づいていることから、駆け込み需要の発生が期待できる」「前年並みを維持する。集客イベントや新たな住まい方の提案で受注増が見込まれる」「引き続き新商品・構造の訴求を実施し、受注につなげる」など前向きな声が多いが、「大幅な増加は見込めず、横ばいであれば上々」「受注減が継続する」など懸念する声もある。前回まで慎重であった消費増税にともなう駆け込みコメントが増加してきた。戸数において「5%程度良くなる(回復する)」との回答が全回答14社中11社を占めた。



【戸建分譲住宅の平成30年10~12月期見通し】

受注戸数プラス31P、受注金額プラス19P。コメントでは、「消費税率引き上げ時期が近づいていることから、駆け込み需要の発生が期待できる」「第3四半期も順調に推移と予想」など前向きな声もあるが、「土地の仕入れはこれまで通りだが、前年のハードルが高い」「大きな環境変化はないと考える」など懸念する声もある。



【低層賃貸住宅の平成30年10~12月期見通し】

受注戸数プラス4P、受注金額プラス・マイナス0Pと、前々回(4月)調査時からの見通しはプラスとなっている。コメントでは、「引き続き3~4階建ての受注増が期待できる。法改正等によるさらなる土地の有効活用等を展開し受注増を目指す」「引き続き提案力、ルートの強化をすることでプラスを予想」「新商品の訴求及び従前からの差別化提案の継続で受注につなげる」「空室不安や相次ぐ自然災害への懸念から、築30年以上の建替えが進むと見込む」「都市部での好調さの維持に期待」「市場は縮小傾向だが、増加と予想」など前向きな声があるが、「金融機関によるアパートローンの抑制など厳しい環境が続く見通し」「受注減が継続する」など懸念する声もある。資産活用、建替え、都市部の相続税対策など底堅いニーズへの提案力で受注を見込んでいる。コメントは前回と同様の内容であった。



【リフォームの平成30年10~12月期見通し】

受注金額がプラス46P。コメントでは、「大型物件の割合が増しており、順調に推移する」「引き続き単価の高い工事の受注を目指す」「塗装・新外壁・バスなど基本商材の販売強化を継続」「引き続きLDK改装を中心に注力し、プラスを目指す」「消費増税の影響で受注増の見込み」「復興需要のずれ込みを見込む」「前年超えを予想」など前向きな声が多いが、「非住宅系リフォームの伸びは見込めるが、大幅な伸びは見込めない」など懸念する声もある。前々回調査時の回答では「変わらず」が10社、「5~10%良くなる」が4社であったが、前回の回答では、それぞれ、5社、8社と逆転し、今回は0社、11社となり期待値は高まっている。



【平成30年度の新設住宅着工戸数の予測(回答14社の予測平均値)】

総戸数94.1万戸(7月度予測94.5万戸)。[利用関係別の内訳]◇持家=28.4万戸(7月度予測28.8万戸)◇分譲住宅=25.4万戸(同25.1万戸)◇賃貸住宅=39.7万戸(同40.0万戸)◇給与住宅=0.6万戸(同0.6万戸)。持家の予測は、7月度予測の28.8万戸から0.4万戸減の28.4万戸となり、賃貸住宅は、平成27年度以来の40万戸割れ予測で39.7万戸としている。分譲住宅は、0.3万戸増の25.4万戸とした。



〔URL〕https://www.judanren.or.jp/proposal-activity/chosa/pdf/report01_h30-04.pdf

【問合先】広報部03―5275―7251

8月の新設住宅着工は前年比1.6%増の8.1万戸~国交省調べ、持家、貸家及び分譲住宅が増加

2018年10月5日 金曜日

 国土交通省がまとめた、平成30年8月の「建築着工統計調査報告」によると、全国の新設住宅着工戸数は、持家、貸家及び分譲住宅が増加したため、全体で前年同月比1.6%増の8万1860戸となり、3か月ぶりの増加となった。季節調整済年率換算値は前月比0.0%減の95万7000戸となり、前月の増加から再び減少となった。



 利用関係別にみると、持家は前年同月比0.2%増で2か月連続の増加。公的資金による持家は減少したが、民間資金による持家が増加したため、持家全体で増加となった。貸家は同1.4%増で15か月ぶりの増加。民間資金による貸家は減少したが、公的資金による貸家が増加したため、貸家全体で増加となった。分譲住宅は同2.9%増で3か月ぶりの増加。マンションが増加し、一戸建住宅も増加したため、分譲住宅全体で増加となった。



 エリア別の着工戸数をみると、首都圏は持家が前年同月比1.0%減、貸家が同5.6%減、分譲住宅が同1.6%増で全体では同2.4%減となった。中部圏は持家が同6.7%増、貸家が同38.9%増、分譲住宅が同4.8%増で全体では同19.5%増。近畿圏は持家が同3.0%増、貸家が同3.2%減、分譲住宅が同0.8%増で全体では同0.2%減。その他の地域は持家が同1.8%減、貸家が同0.9%増、分譲住宅が同6.6%増で全体では同0.8%増となった。



《平成30年8月の住宅着工動向の概要》

[主な住宅種別の内訳]

◇持家=2万4420戸(前年同月比0.2%増、2か月連続の増加)。大部分を占める民間金融機関など民間資金による持家は同0.6%増の2万1735戸で2か月連続の増加。住宅金融支援機構や地方自治体など、公的資金による持家は同2.9%減の2685戸で14か月連続の減少。



◇貸家=3万5457戸(前年同月比1.4%増、15か月ぶりの増加)。民間資金による貸家は同0.7%減の3万2216戸で15か月連続の減少。公的資金による貸家は同29.0%増の3241戸で3か月連続の増加。



◇分譲住宅=2万1325戸(前年同月比2.9%増、3か月ぶりの増加)。うちマンションは同0.4%増の9146戸で3か月ぶりの増加、一戸建住宅は同4.0%増の1万1953戸で5か月連続の増加。



[圏域別・利用関係別の内訳]

◇首都圏=2万7498戸(前年同月比2.4%減)、うち持家4765戸(同1.0%減)、貸家1万2653戸(同5.6%減)、分譲住宅9980戸(同1.6%増)、うちマンション4654戸(同3.0%増)、一戸建住宅5212戸(同0.1%増)



◇中部圏=1万634戸(同19.5%増)、うち持家3852戸(同6.7%増)、貸家4473戸(同38.9%増)、分譲住宅2152戸(同4.8%増)、うちマンション469戸(同6.8%減)、一戸建住宅1675戸(同8.6%増)



◇近畿圏=1万1768戸(同0.2%減)、うち持家2965戸(同3.0%増)、貸家4482戸(同3.2%減)、分譲住宅4294戸(同0.8%増)、うちマンション2372戸(同4.4%減)、一戸建住宅1856戸(同4.4%増)



◇その他の地域=3万1960戸(同0.8%増)、うち持家1万2838戸(同1.8%減)、貸家1万3849戸(同0.9%増)、分譲住宅4899戸(同6.6%増)、うちマンション1651戸(同2.7%増)、一戸建住宅3210戸(同8.2%増)。



[マンションの三大都市圏別内訳]

◇首都圏=4654戸(前年同月比3.0%増)、うち東京都2274戸(同26.8%減)、うち東京23区1876戸(同17.5%減)、東京都下398戸(同52.2%減)、神奈川県1033戸(同39.2%増)、千葉県69戸(同68.5%減)、埼玉県1278戸(同184.0%増)



◇中部圏=469戸(同6.8%減)、うち愛知県359戸(同7.7%減)、静岡県60戸(同3.2%減)、三重県28戸(前年同月0戸)、岐阜県22戸(前年同月比57.7%減)



◇近畿圏=2372戸(同4.4%減)、うち大阪府1909戸(同13.0%増)、兵庫県309戸(同51.2%減)、京都府34戸(同41.4%減)、奈良県108戸(前年同月0戸)、滋賀県12戸(前年同月比81.0%減)、和歌山県0戸(前年同月38戸)



◇その他の地域=1651戸(前年同月比2.7%増)、うち北海道288戸(同59.1%増)、宮城県0戸(同年同月84戸)、広島県88戸(前年同月比29.6%減)、福岡県359戸(同0.6%増)。



[建築工法別]

◇プレハブ工法=1万1822戸(前年同月比0.8%増、15か月ぶりの増加)

◇ツーバイフォー工法=1万248戸(同1.4%増、4か月ぶりの増加)。



〔URL〕http://www.mlit.go.jp/report/press/joho04_hh_000787.html

【問合先】総合政策局 情報政策課 建設経済統計調査室03―5253―8111内線28625、28626

当協会「安心R住宅」の事業者団体に登録

2018年10月2日 火曜日

 当協会は、国土交通省の告示に基づく「安心R住宅」制度(特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度)について、平成30年9月25日付けで事業者団体として登録されました。当協会では本制度の研修会を全国各地で開催しており、10月上旬から標章許諾申請を受付け、審査を行った後、承認通知を順次送付することとしております。



1.安心R住宅制度とは

 安心R住宅制度は、既存住宅の流通促進に向けて、「不安」「汚い」「わからない」といった従来のいわゆる「中古住宅」のマイナスイメージを払拭し、消費者が「住みたい」「買いたい」既存住宅を選択できる環境の整備を図るため、国土交通省告示により創設された制度です。



2.安心R住宅制度の仕組み

 耐震性があること、既存住宅売買瑕疵保険の検査基準に適合していること、リフォーム等について情報提供が行われている等の要件に適合した既存住宅に対して、国土交通省に登録された事業者団体が会員に標章を付与する仕組みです。



3.標章を使用するには

 標章を使用するには、所属協会(当協会又は団体会員協会)に「標章使用会員」の申請を行い、標章の使用許諾を得ることが必要です。また、申請に当たっては、当協会の定める研修の受講等が必要です。



4.安心R住宅の要件等

 標章を使用する住宅が以下の要件等を満たしている必要があります。

(1)昭和56年6月1日以降の耐震基準(いわゆる新耐震基準)等に適合。

(2)既存住宅売買瑕疵保険の契約締結をするための検査基準に適合。



5.問合せ先

 (一社)全国住宅産業協会 事務局

 住所 千代田区麹町5?3 麹町中田ビル8階

 TEL 03-3511-0611

 URL https://www.zenjukyo.net/anshinr/



 研修の受講、標章の使用許諾、専任媒介契約の締結、調査報告書の作成、広告・販売等、安心R住宅制度の流れ・各種規程につきましては、上記ホームページをご参照ください。




【安心R住宅のロゴマーク】


7月の新設住宅着工は前年比0.7%減の8.2万戸
~国交省調べ、持家は増加、貸家と分譲住宅が減少

2018年9月6日 木曜日

 国土交通省がまとめた、平成30年7月の「建築着工統計調査報告」によると、全国の新設住宅着工戸数は、持家は増加したが、貸家及び分譲住宅が減少したため、全体で前年同月比0.7%減の8万2615戸となり、2か月連続の減少となった。季節調整済年率換算値は前月比4.7%増の95万8000戸となり、前月の減少から再び増加となった。



 利用関係別にみると、持家は前年同月比0.3%増で6か月ぶりの増加。公的資金による持家は減少したが、民間資金による持家が増加したため、持家全体で増加となった。貸家は同1.4%減で14か月連続の減少。公的資金による貸家は増加したが、民間資金による貸家が減少したため、貸家全体で減少となった。分譲住宅は同0.7%減で2か月連続の減少。一戸建住宅は増加したが、マンションが減少したため、分譲住宅全体で減少となった。



 エリア別の着工戸数をみると、首都圏は持家が前年同月比4.1%減、貸家が同9.4%増、分譲住宅が同1.6%増で全体では同4.1%増となった。中部圏は持家が同1.7%増、貸家が同0.9%減、分譲住宅が同34.9%増で全体では同6.1%増。近畿圏は持家が同2.1%減、貸家が同8.5%減、分譲住宅が同1.3%増で全体では同3.6%減。その他の地域は持家が同2.2%増、貸家が同7.8%減、分譲住宅が同16.5%減で全体では同5.3%減となった。



《平成30年7月の住宅着工動向の概要》

[主な住宅種別の内訳]

◇持家=2万5447戸(前年同月比0.3%増、6か月ぶりの増加)。大部分を占める民間金融機関など民間資金による持家は同1.2%増の2万2651戸で6か月ぶりの増加。住宅金融支援機構や地方自治体など、公的資金による持家は同6.7%減の2796戸で13か月連続の減少。



◇貸家=3万5847戸(前年同月比1.4%減、14か月連続の減少)。民間資金による貸家は同2.3%減の3万2196戸で14か月連続の減少。公的資金による貸家は同7.2%増の3651戸で2か月連続の増加。



◇分譲住宅=2万885戸(前年同月比0.7%減、2か月連続の減少)。うちマンションは同4.0%減の8699戸で2か月連続の減少、一戸建住宅は同2.5%増の1万2004戸で4か月連続の増加。



[圏域別・利用関係別の内訳]

◇首都圏=2万7669戸(前年同月比4.1%増)、うち持家4906戸(同4.1%減)、貸家1万3218戸(同9.4%増)、分譲住宅9412戸(同1.6%増)、うちマンション3964戸(同3.0%増)、一戸建住宅5283戸(同1.6%増)



◇中部圏=1万80戸(同6.1%増)、うち持家3826戸(同1.7%増)、貸家3872戸(同0.9%減)、分譲住宅2321戸(同34.9%増)、うちマンション749戸(同256.7%増)、一戸建住宅1563戸(同3.6%増)



◇近畿圏=1万2151戸(同3.6%減)、うち持家3049戸(同2.1%減)、貸家4786戸(同8.5%減)、分譲住宅4302戸(同1.3%増)、うちマンション2493戸(同9.5%増)、一戸建住宅1805戸(同8.0%減)



◇その他の地域=3万2715戸(同5.3%減)、うち持家1万3666戸(同2.2%増)、貸家1万3971戸(同7.8%減)、分譲住宅4850戸(同16.5%減)、うちマンション1493戸(同45.2%減)、一戸建住宅3353戸(同10.4%増)。



[マンションの三大都市圏別内訳]

◇首都圏=3964戸(前年同月比3.0%増)、うち東京都3100戸(同48.4%増)、うち東京23区2732戸(同35.3%増)、東京都下368戸(同425.7%増)、神奈川県343戸(同68.3%減)、千葉県268戸(同45.2%減)、埼玉県253戸(同36.0%増)



◇中部圏=749戸(同256.7%増)、うち愛知県545戸(同242.8%増)、静岡県160戸(同213.7%増)、三重県0戸(前年同月0戸)、岐阜県44戸(同0戸)



◇近畿圏=2493戸(前年同月比9.5%増)、うち大阪府1933戸(同25.1%増)、兵庫県395戸(同25.8%増)、京都府48戸(同87.6%減)、奈良県0戸(前年同月0戸)、滋賀県117戸(前年同月比290.0%増)、和歌山県0戸(前年同月0戸)



◇その他の地域=1493戸(前年同月比45.2%減)、うち北海道188戸(同19.3%減)、宮城県0戸(同年同月548戸)、広島県249戸(前年同月比48.3%減)、福岡県312戸(同55.0%減)。



[建築工法別]

◇プレハブ工法=1万1755戸(前年同月比2.4%減、14か月連続の減少)

◇ツーバイフォー工法=9767戸(同5.1%減、3か月連続の減少)。



〔URL〕http://www.mlit.go.jp/report/press/joho04_hh_000780.html

【問合先】総合政策局情報政策課建設経済統計調査室03―5253―8111内線28625、28626

平成31年度国土交通省税制改正要望事項

2018年9月5日 水曜日

 国土交通省は、「平成31年度国土交通省税制改正要望事項」を明らかにした。住宅・土地税制関連の主な内容は、以下のとおりである。



[豊かな暮らしの実現と地域の活性化]

(都市の競争力・魅力の向上と土地の有効利用の促進)



●地域福利増進事業に係る特例措置の創設(所得税・法人税・個人住民税・法人住民税・事業税・固定資産税・都市計画税)

(特例措置の内容)

(1)事業者に土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除

【所得税・法人税等】課税標準から1,500万円を控除


(2)地域福利増進事業の用に供する土地・建物に係る固定資産税等の課税標準の特例措置

【固定資産税・都市計画税】課税標準を2/3に軽減



(要望)

 上記(1)、(2)について特例措置を創設する。

((1)については恒久措置、(2)については3年間(平成31年4月1日~平成34年3月31日))





(住まいの質の向上・無理のない負担での住宅の確保)

●消費税率引上げを踏まえた住宅取得対策

 2019年10月の消費税率引上げに伴う住宅に係る対策(既に決定済のもの)

(1)住宅ローン減税の拡充措置の継続

(控除対象借入限度額:一般住宅4,000万円、長期優良住宅・低炭素住宅5,000万円)

(2)すまい給付金の拡充(最大30万円→50万円)

(3)贈与税の非課税枠の大幅な拡充(最大限度額1,200万円→3,000万円)



(要望の概要)

 前回の消費税率引上げ時に住宅に係る駆け込み需要とその反動減が生じたことを踏まえ、2019年10月の消費税率引上げに際し需要変動の平準化に万全を期すため、住宅取得者の負担の増加等を勘案しつつ、住宅の取得について、住宅ローン減税の拡充等の税制措置及び財政措置を含めた総合的かつ十分な対策を講ずる。




●空き家の発生を抑制するための特例措置の拡充・延長(所得税・個人住民税)

(特例措置の内容)

【所得税、個人住民税】

 相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の居住の用に供していた家屋(昭和56年5月31日以前に建築され、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたもの)を相続した相続人が、当該家屋(耐震性のない場合は耐震リフォームをしたものに限り、その敷地を含む。)又は取壊し後の土地を譲渡した場合には、当該家屋又は土地の譲渡所得から3,000万円を特別控除する。(平成31年12月31日までの譲渡が対象)



(要望)

・本特例措置を4年間(平成32年1月1日~平成35年12月31日)延長する。

・被相続人が老人ホーム等に入居していた場合を対象に加える。

・譲渡後に家屋の除却又は耐震リフォームを行った場合を対象に加える。




●買取再販で扱われる住宅の取得等に係る特例措置の拡充・延長(不動産取得税)

(特例措置の内容)

 現行、買取再販で扱われる住宅に係る不動産取得税(事業者の取得にかかるもの)について、以下の通り減額。

【住宅部分】築年月日に応じ、一定額を減額

【敷地部分】一定の場合(※1)に、税額から一定額(※2)を減額

 ※1 対象住宅が「安心R住宅」である場合または既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入する場合

 ※2 150万円又は家屋の床面積の2倍(200m2を限度)に相当する土地の価格のいずれか大きい額に税率を乗じて得た額



(要望)

・現行の措置を2年間(平成31年4月1日~平成33年3月31日)延長する。

・省エネ改修について、適用要件を合理化する。

※現行の必須要件(全ての居室の全ての窓の断熱改修(全窓要件))に、住宅全体の省エネ性能(断熱等級4など)を改修により確保した場合を追加





●サービス付き高齢者向け住宅供給促進税制の延長(不動産取得税・固定資産税)

(特例措置の内容)

【固定資産税】5年間、税額を1/ 2~5/ 6の範囲内で市町村が条例で定める割合を軽減(参酌標準:2/ 3)

【不動産取得税】家屋:課税標準から1,200万円控除/戸、土地:税額から一定額(150万円又は家屋の床面積の2倍(200m2を限度)に相当する土地の価格のいずれか大きい額に税率を乗じて得た額)を軽減



(要望)

 現行の措置を2年間(平成31年4月1日~平成33年3月31日)延長する。



[成長力・国際競争力の強化]

(不動産市場の活性化)

●土地の所有権移転登記等に係る特例措置の延長(登録免許税)

(特例措置の内容)

【登録免許税】土地の所有権移転登記等に係る税率を軽減



(要望)

 現行の措置を2年間(平成31年4月1日~平成33年3月31日)延長する。





●Jリート及びSPCが取得する不動産に係る特例措置の拡充・延長(登録免許税・不動産取得税)

(特例措置の内容)

・Jリート及びSPC※が取得する不動産について、以下の措置を講じる。※資産流動化法に基づく特定目的会社

【登録免許税】移転登記に係る税率を軽減(本則2%→1.3%)

【不動産取得税】課税標準から3/ 5控除



(要望)

・現行の措置を2年間(平成31年4月1日~平成33年3月31日)延長する。

・不動産取得税の適用対象に保育所を追加する。





●不動産特定共同事業において取得される不動産に係る特例措置の拡充・延長(登録免許税・不動産取得税)

(特例措置の内容)

 不動産特定共同事業法上の特例事業者等が取得する不動産について以下の措置を講じる。

【登録免許税】税率軽減(移転登記:2%→1.3%、保存登記:0.4%→0.3%)

【不動産取得税】課税標準から1/ 2控除



(要望)

・現行の措置を2年間(平成31年4月1日~平成33年3月31日)延長するとともに、以下の要件の見直しを行う。

・特例事業者及び適格特例投資家限定事業者に係る特例措置(登録免許税、不動産取得税)の要件のうち、「対象不動産に係る工事の竣工後10年以内の譲渡」の要件の撤廃、「土地及び建物」の取得要件の見直し(借地権上の建物の追加)

6月の新設住宅着工は前年比7.1%減の8.1万戸
~国交省調べ、持家、貸家、分譲住宅、すべてが減少

2018年8月3日 金曜日

 国土交通省がまとめた、平成30年6月の「建築着工統計調査報告」によると、全国の新設住宅着工戸数は、持家、貸家及び分譲住宅が減少したため、全体で前年同月比7.1%減の8万1275戸となり、3か月ぶりの減少となった。季節調整済年率換算値は前月比8.2%減の91万5000戸となり、3か月ぶりの減少となった。

 利用関係別にみると、持家は前年同月比3.4%減で5か月連続の減少。民間資金による持家が減少し、公的資金による持家も減少したため、持家全体で減少となった。貸家は同3.0%減で13か月連続の減少。公的資金による貸家は増加したが、民間資金による貸家が減少したため、貸家全体で減少となった。分譲住宅は同18.8%減で3か月ぶりの減少。一戸建住宅は増加したが、マンションが減少したため、分譲住宅全体で減少となった。

 エリア別の着工戸数をみると、首都圏は持家が前年同月比4.3%減、貸家が同8.0%減、分譲住宅が同27.9%減で全体では同15.1%減となった。中部圏は持家が同14.6%減、貸家が同2.0%減、分譲住宅が同4.6%減で全体では同6.2%減。近畿圏は持家が同0.4%増、貸家が同10.7%増、分譲住宅が同20.7%減で全体では同2.2%減。その他の地域は持家が同0.7%減、貸家が同3.4%減、分譲住宅が同0.3%減で全体では同1.3%減となった。



《平成30年6月の住宅着工動向の概要》

[主な住宅種別の内訳]

◇持家=2万5148戸(前年同月比3.4%減、5か月連続の減少)。大部分を占める民間金融機関など民間資金による持家は同2.4%減の2万2414戸で5か月連続の減少。住宅金融支援機構や地方自治体など、公的資金による持家は同11.3%減の2734戸で12か月連続の減少。



◇貸家=3万4884戸(前年同月比3.0%減、13か月連続の減少)。民間資金による貸家は同4.7%減の3万1139戸で13か月連続の減少。公的資金による貸家は同14.3%増の3745戸で前月の減少から再び増加。



◇分譲住宅=2万281戸(前年同月比18.8%減、3か月ぶりの減少)。うちマンションは同36.2%減の8253戸で3か月ぶりの減少、一戸建住宅は同0.7%増の1万1903戸で3か月連続の増加。



[圏域別・利用関係別の内訳]

◇首都圏=2万7399戸(前年同月比15.1%減)、うち持家4987戸(同4.3%減)、貸家1万2362戸(同8.0%減)、分譲住宅9802戸(同27.9%減)、うちマンション4650戸(同44.0%減)、一戸建住宅5084戸(同1.8%減)



◇中部圏=9308戸(同6.2%減)、うち持家3441戸(同14.6%減)、貸家3379戸(同2.0%減)、分譲住宅2237戸(同4.6%減)、うちマンション734戸(同9.9%増)、一戸建住宅1497戸(同10.5%減)



◇近畿圏=1万1737戸(同2.2%減)、うち持家3124戸(同0.4%増)、貸家5593戸(同10.7%増)、分譲住宅2992戸(同20.7%減)、うちマンション1104戸(同39.5%減)、一戸建住宅1866戸(同2.6%減)



◇その他の地域=3万2831戸(同1.3%減)、うち持家1万3596戸(同0.7%減)、貸家1万3550戸(同3.4%減)、分譲住宅5250戸(同0.3%減)、うちマンション1765戸(同17.9%減)、一戸建住宅3456戸(同13.2%増)。



[マンションの三大都市圏別内訳]

◇首都圏=4650戸(前年同月比44.0%減)、うち東京都2913戸(同57.8%減)、うち東京23区2622戸(同55.7%減)、東京都下291戸(同70.3%減)、神奈川県931戸(同53.9%増)、千葉県146戸(同62.0%減)、埼玉県660戸(同59.4%増)



◇中部圏=734戸(同9.9%増)、うち愛知県640戸(同5.6%増)、静岡県0戸(前年同月24戸)、三重県94戸(同0戸)、岐阜県0戸(同38戸)



◇近畿圏=1104戸(前年同月比39.5%減)、うち大阪府992戸(同27.5%減)、兵庫県34戸(同91.6%減)、京都府0戸(前年同月0戸)、奈良県0戸(同0戸)、滋賀県0戸(同52戸)、和歌山県78戸(同0戸)



◇その他の地域=1765戸(前年同月比17.9%減)、うち北海道0戸(前年同月0戸)、宮城県326戸(同年同月比42.4%減)、広島県0戸(前年同月81戸)、福岡県457戸(前年同月比5.2%減)。


[建築工法別]

◇プレハブ工法=1万1820戸(前年同月比5.3%減、13か月連続の減少)

◇ツーバイフォー工法=1万89戸(同7.0%減、2か月連続の減少)。



〔URL〕http://www.mlit.go.jp/report/press/joho04_hh_000775.html

【問合先】総合政策局 情報政策課 建設経済統計調査室 03―5253―8111内線28625、28626

国土交通省との懇談会を開催

2018年8月2日 木曜日

 当協会は、7月27日(金)にホテルニューオータニにおいて国土交通省との懇談会を開催した。この懇談会は、毎年、国土交通省の幹部と住宅・土地政策の動向についての意見交換や住宅・土地税制などについて要望等を行うものである。

 当協会からは神山会長を始め副会長・専務理事・常務理事・各団体会員代表者・各委員会委員長ほかが出席した。

 冒頭、神山会長は、「来年10月に消費税率が10%に引き上げられるが、現状駆け込み需要はそれほどないものの、反動減は必ず起こると思われ、省エネ住宅ポイントの復活やすまい給付金、住宅ローン減税などの充実が不可欠である。また、都心の土地、建築単価の高騰からマンションの専有面積を小さくせざるを得ない状況が続いており、世帯構成の変化なども踏まえると給付金、減税措置等の面積要件の引下げをお願いしたい。一方、マンションの所有者不明化、老朽化は大きな問題であり、修繕積立金のあり方、区分所有法の再検討等について今から対処していくことが必要だ。」などと挨拶した。

 その後、国土交通省から石田住宅局長、田村土地・建設産業局長の挨拶があり、(1)住宅政策をとりまく最近の動向、(2)最近の住宅生産行政の動向、(3)不動産業政策の最近の動向、(4)不動産市場の最近の動向、(5)所有者不明土地問題に関する取組のテーマで各担当課長等から説明がなされた。

 また、馬場副会長が最近の住宅・不動産業の状況や消費者動向などを詳しく説明するとともに、消費税率引上げに伴う駆け込み・反動減対策、平成31年度住宅・土地税制改正、平成31年度住宅金融支援機構の業務等に関する要望を行い、質疑応答、意見交換が行われた。

 最後に吉田副会長が「当協会も北海道から沖縄まで1,700社を超える団体になった。今後とも国交省に色々ご指導をいただきたい。」と挨拶し閉会した。

 なお、当日は全住協から29名、国土交通省から22名が出席した。

5月の新設住宅着工は前年比1.3%増の7.9万戸~国土交通省、持家と貸家は減少、分譲住宅が増加

2018年7月5日 木曜日

 国土交通省がまとめた、平成30年5月の「建築着工統計調査報告」によると、全国の新設住宅着工戸数は、持家と貸家は減少したが、分譲住宅が増加したため、全体で前年同月比1.3%増の7万9539戸となり、2か月連続の増加となった。季節調整済年率換算値は前月比0.4%増の99万6000戸となり、2か月連続の増加となった。

 利用関係別にみると、持家は前年同月比2.2%減で4か月連続の減少。民間資金による持家が減少し、公的資金による持家も減少したため、持家全体で減少となった。貸家は同5.7%減で12か月連続の減少。民間資金による貸家が減少し、公的資金による貸家も減少したため、貸家全体で減少となった。分譲住宅は同12.2%増で2か月連続の増加。マンションが増加し、一戸建住宅も増加したため、分譲住宅全体で増加となった。

 エリア別の着工戸数をみると、首都圏は持家が前年同月比1.9%減、貸家が同3.5%減、分譲住宅が同11.9%減で全体では同4.2%減となった。中部圏は持家が同10.9%増、貸家が同17.9%増、分譲住宅が同35.0%増で全体では同19.1%増。近畿圏は持家が同1.4%増、貸家が同1.4%減、分譲住宅が同89.4%増で全体では同27.2%増。その他の地域は持家が同6.3%減、貸家が同14.3%減、分譲住宅が同6.4%増で全体では同7.6%減となった。



《平成30年5月の住宅着工動向の概要》

[主な住宅種別の内訳]

◇持家=2万3321戸(前年同月比2.2%減、4か月連続の減少)。大部分を占める民間金融機関など民間資金による持家は同2.1%減の2万715戸で4か月連続の減少。住宅金融支援機構や地方自治体など、公的資金による持家は同2.9%減の2606戸で11か月連続の減少。



◇貸家=3万1083戸(前年同月比5.7%減、12か月連続の減少)。民間資金による貸家は同5.6%減の2万8457戸で12か月連続の減少。公的資金による貸家は同6.6%減の2626戸で前月の増加から再び減少。



◇分譲住宅=2万3944戸(前年同月比12.2%増、2か月連続の増加)。うちマンションは同20.7%増の1万1861戸で2か月連続の増加、一戸建住宅は同5.8%増の1万1944戸で2か月連続の増加。



[圏域別・利用関係別の内訳]

◇首都圏=2万6574戸(前年同月比4.2%減)、うち持家4470戸(同1.9%減)、貸家1万1359戸(同3.5%減)、分譲住宅1万20戸(同11.9%減)、うちマンション4797戸(同18.9%減)、一戸建住宅5089戸(同3.6%減)



◇中部圏=9860戸(同19.1%増)、うち持家3605戸(同10.9%増)、貸家3416戸(同17.9%増)、分譲住宅2759戸(同35.0%増)、うちマンション1048戸(同48.0%増)、一戸建住宅1711戸(同28.2%増)



◇近畿圏=1万4140戸(同27.2%増)、うち持家2891戸(同1.4%増)、貸家4905戸(同1.4%減)、分譲住宅6215戸(同89.4%増)、うちマンション4273戸(同199.9%増)、一戸建住宅1942戸(同4.6%増)



◇その他の地域=2万8965戸(同7.6%減)、うち持家1万2355戸(同6.3%減)、貸家1万1403戸(同14.3%減)、分譲住宅4950戸(同6.4%増)、うちマンション1743戸(同1.6%減)、一戸建住宅3202戸(同13.7%増)。



[マンションの三大都市圏別内訳]

◇首都圏=4797戸(前年同月比18.9%減)、うち東京都3124戸(同15.2%増)、うち東京23区3096戸(同24.3%増)、東京都下28戸(同87.3%減)、神奈川県1059戸(同39.5%減)、千葉県265戸(同76.1%減)、埼玉県349戸(同0.3%増)



◇中部圏=1048戸(同48.0%増)、うち愛知県834戸(同68.5%増)、静岡県98戸(同180.0%増)、三重県28戸(同31.7%減)、岐阜県88戸(同35.8%減)



◇近畿圏=4273戸(同199.9%増)、うち大阪府3623戸(同433.6%増)、兵庫県395戸(同33.6%減)、京都府255戸(同68.9%増)、奈良県0戸(同年同月0戸)、滋賀県0戸(同0戸)、和歌山県0戸(同0戸)



◇その他の地域=1743戸(前年同月比1.6%減)、うち北海道130戸(同27.0%減)、宮城県248戸(同年同月0戸)、広島県226戸(前年同月比75.8%減)、福岡県407戸(同160.9%増)。



[建築工法別]

◇プレハブ工法=9870戸(前年同月比11.5%減、12か月連続の減少)

◇ツーバイフォー工法=8464戸(同12.2%減、前月の増加から再び減少)。



〔URL〕http://www.mlit.go.jp/report/press/joho04_hh_000767.html

【問合先】総合政策局 情報政策課 建設経済統計調査室

03―5253―8111内線28625、28626

第6回定時総会を開催

2018年7月5日 木曜日

 当協会は、6月5日(火)にホテルニューオータニ「麗の間」において「第6回定時総会」を開催した。

 総会では、委任状を含め365社の出席があり、「第1号議案 平成29年度事業報告及び決算承認の件」「第2号議案 定款の一部変更の件」を全会一致で承認し、「平成30年度事業計画及び予算の件」の報告を行った。

 この後、優良事業表彰、優秀社員表彰を行い、神山会長から表彰状と記念品が授与された。

受賞者は3頁に掲載のとおり。

 引き続き行われた懇親パーティーでは神山会長の挨拶の後、石井国土交通大臣、菅内閣官房長官など多数の来賓の方々から祝辞をいただいた。(以下に神山会長挨拶要旨並びに石井国土交通大臣祝辞要旨を掲載。)懇親パーティーには当協会会員のほか、国会議員、官公庁・友好団体関係者など1,000名を超える出席があった。



[神山会長挨拶]

 本日は国会議員の先生方、国土交通省、友好団体の幹部の皆様、そして会員の皆様にも大勢ご出席いただき誠にありがとうございます。

 当面の課題について、2点ばかりお話ししたいと思います。まず、空地・空き家の問題です。現時点で九州の面積に相当する所有者不明土地があり、近い将来には北海道に匹敵する面積になるとの予測があることを今年の新年賀会でお話ししました。この問題については大変危惧しているわけでありますが、いち早く国土交通省で対応策を講じていただき、今国会に「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が提出され、早ければ明日にでも成立するとのことです。この法律は所有者不明土地対策の第一歩であり、引き続き相続登記の義務化と手続の簡素化、所有権の放棄などについての検討が進められると聞いております。

 この問題は、所有者が判明した後どうするか、これが一番大きい課題です。土地の相続を放棄する場合も想定されますが、放棄するのではなく例えば固定資産税相当額だけを賃料の代わりに負担してもらう枠組みで賃貸に出すとか、あるいは民間事業者に払下げをするなど、様々な方法を我々業界の人間が知恵を絞って、真剣に取り組んでいかねばならないと考えています。空き家についてもリフォームして利用できるのなら元々空き家は発生しない訳であり、空き家になっているということはリフォームには向かないということですから、その対応をどうするかが大きな課題であろうと思います。

 次に、いよいよ来年10月から消費税率が10%へ引上げとなります。さらにその先、消費税率が10%を超えて引き上げられる場合には住宅については軽減税率とすることをお願いしたいと思います。

 10%引上げに当たっては、政府において住宅ローン減税やすまい給付金、贈与税の非課税措置の拡大など色々ご検討いただいています。ただ、営業現場の立場としては、住宅ローン減税のように恩恵が後から戻ってくる措置だけでは、顧客にとって分かりにくいのではないかと心配しております。したがって、契約・購入時点での即効性のあるメリットが顧客に分かりやすい措置、例えば、すまい給付金やエコポイントなどの拡充についてもう一度ご検討いただければありがたいと思います。ぜひよろしくお願いします。

 あるデータによると、30代後半の平均年収が平成12年には495万円、平成27年には432万円となっており、年収の減少が見られます。他方、全国のマンション平均価格は、平成12年の3,540万円から平成28年には4,560万円に上昇しています。年収が約60万円減って、マンション価格が約1,000万円上がっているわけです。実際、我々事業者も販売に苦心しております。増税前の駆込み需要も今のところあまり見受けられません。ただ、増税による反動減は必ず起こると思いますので、その落込みを防止するために助成や税制面での手厚いご配慮をいただけると、住宅購入者はもちろんのこと我々事業者も助かります。

 昭和60年には4人以上の世帯が40%以上あったそうですが、平成27年には20%まで落ちており、世帯人数の減少が見て取れます。それだけ家族構成や住まい方も変わってきていますので、住宅ローン減税などの面積要件も再検討していただきたいと思います。

 年末の税制改正に向けて、これから色々なことを要望してまいりますが、ぜひ先生方のご理解をいただければありがたいと思います。

 ご参会の皆様に今後ともご指導ご鞭撻いただくことをお願いいたしまして、私の挨拶に代えさせていただきます。ありがとうございました。



[石井国土交通大臣祝辞]

 本日は全国住宅産業協会の定時総会が滞りなく行われ、懇親パーティーがこのように盛大に開催されますことを心よりお祝い申し上げます。神山会長を始め皆様方には、日頃より国土交通行政、とりわけ住宅建築行政につきましてご理解とご協力を賜り厚く御礼申し上げます。

 住宅は豊かな国民生活の基盤であり、その果たす役割は極めて重要であります。多様な居住ニーズに対応し将来的な価値も見据えた良質な住宅の提供が強く求められています。また、住宅投資は経済波及効果が大きく内需の柱として政府が目標とする名目GDP600兆円を実現していく上でも大きな役割を果たしております。来年10月の消費税率10%への引上げにつきましては、さきほど神山会長からもお話しがありましたが、住宅市場の動向をうかがいながらしっかり対応していきたいと考えております。

 さて、現在我が国の住宅総数は約6,000万戸、総世帯数は約5,000万世帯となっておりまして、少子高齢化・人口減少の急速な進展に伴い、住宅政策も量の確保から質の向上へ、ストックの重視へと変化しております。国土交通省としましては、ストック活用の観点から建築基準法の改正による建築規制の合理化、消費者が安心して購入できる安心R住宅の普及など既存住宅の流通・リフォーム市場の拡大に取り組んでおります。さらにIoT技術や省エネなど次世代住宅の普及促進による新たな住生活関連ビジネスの創出、拡大を推進してまいります。

 全住協の皆様は全国各地で住宅、宅地の供給・仲介・賃貸管理・リフォームなど国民の住生活の向上に直結する幅広い業務を担っておられます。国民一人一人が真に豊かさを実感でき、安心安全で魅力ある住生活が実現できるよう、今後とも皆様のご支援とご協力をお願いいたします。さきほど神山会長から所有者不明土地のお話もございましたが、今国会では所有者不明土地を円滑に利用する法律を提出させていただいており、実は本日参議院の委員会で可決されました。明日の本会議で成立できると思っております。また、次の段階として今度は所有者不明土地の発生を抑制していくための本格的な対策を法務省や関係省庁とも連携しながら今年度内を目途にしっかりと検討してまいりたいと考えております。

 結びではありますが、全国住宅産業協会のますますのご発展、本日のご出席の皆様のご健勝、ご活躍を祈念いたしまして私の挨拶とさせていただきます。本日は誠におめでとうございます。



[優良事業表彰]

〈戸建分譲住宅部門(中規模)〉

 「ジョイナス新宮 和(なごみ)」(九州八重洲(株))



〈中高層分譲住宅部門(大規模)〉

 「アジ―ルコフレ中野坂上」((株)アーバネットコーポレーション)

 「ヴェレーナシティ パレ・ド・シエル」(大和地所レジデンス(株))



〈中高層分譲住宅部門(中規模)〉

 「ベアーズコートライカム」((株)住太郎ホーム)

 「Fステージ小禄宮城 参番館」((株)富士開発)



〈中高層分譲住宅部門(小規模)〉

 「アスコットパーク森下」((株)アスコット)

 「ミオカステーロ 二子多摩川」(山田建設(株))

 「ヴァースクレイシア銀座東」(プロパティエージェント(株))



〈不動産関連事業部門〉

 「西台トーセイビル」(トーセイ(株))



〈企画・開発部門〉

 「キラリス函館(函館 MARKS THE TOWER)」((株)フージャースコーポレーション)

 「ミハス中野」((株)明豊エンタープライズ)



〈リノベーション部門〉

 「GOZAN」((株)グローバル・エルシード)




[優秀社員表彰](敬称略)

(株)NIC 高徳 清一朗

(株)グローバル・エルシード 内田 香奈

多田建設(株) 山下 恭生、大原  浩

(株)東栄住宅 加島 典明、麻山 義男

日神管財(株) 坂口 彰一郎

日神不動産(株) 本間 英之、古江 秀行

(株)ニッテイホールディングス 王 輝

(株)ニッテイライフ 山崎 哲郎

東日本住宅(株) 天田 岳彦、須田 尊智

(株)明豊エンタープライズ 内田 千博

住宅・建築物のエネルギー消費性能の実態等に関する研究会とりまとめ概要

2018年6月1日 金曜日

 国土交通省は「住宅・建築物のエネルギー消費性能の実態等に関する研究会 とりまとめ概要」を公表しました。



1.建築物省エネ法の施行状況

 (1)省エネ適判制度

 大規模(延べ面積2000m2以上)の建築物の新築等を対象とする省エネ適判制度は、確認審査日数の推移が下表のとおりであるなど、これまでのところ省エネ適判に起因する混乱や確認審査の遅延等は発生しておらず、概ね円滑に施行されている。



(表1)省エネ適判の対象となる大規模建築物に係る確認審査日数の推移

表1


【委員からの主な指摘等】

・省エネ適判の審査にあたり判断に迷った案件について、所管行政庁等が実際にどのような論拠でどのような判断を下したかについての情報を所管行政庁等や設計関係者等の間で共有し、手続きの更なる円滑化に繋げていくことが重要。



 (2)届出制度

 省エネ適判対象以外の中規模(延べ面積300m2以上2000m2未満)以上の住宅・建築物の新築等を対象とする届出制度については、届出率は制度創設時より上昇傾向にあるものの、下表のとおり、特に中規模の住宅・建築物において未だ低い水準にとどまっている。



(表2)平成27年度における届出率

表2


【委員からの主な指摘等】

・届出率の向上に向け、制度の周知徹底を図るとともに所管行政庁における無届物件への督促等の取組を推進することや、所管行政庁の業務負担の軽減に向け、審査項目の合理化や申請書類の簡素化等の工夫を行うことが必要。



(3)表示制度

 建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)については、戸建住宅を中心に実績件数が伸びている。



2.住宅・建築物の省エネ性能に関する実態等

 (1)住宅・建築物の省エネ性能に関する実態

 届出結果やアンケート結果より、平成27年度時点の住宅・建築物それぞれの規模別の省エネ基準等への適合率を算定したところ、下表のと
おりとなった。



(表3)平成27年度における省エネ基準への適合率

表3


【委員からの主な指摘等】

・事務局による住宅・建築物の省エネ基準等への適合率に係る算定結果については、概ね実感と合っている。



 (2)設計者等の省エネ計算等への対応の現状

【委員からの主な指摘等】

・業界団体が実施した調査等によると、小規(延べ面積300m2未満)の住宅・建築物の設計・施工を担う中小の工務店や設計者事務所等には省エネ基準や省エネ計算等に習熟していない設計者が相当程度存在している。



 (3)消費者の住宅・建築物の省エネ性能向上等への理解の現状

【委員からの主な指摘等】

・住宅・建築物の省エネ性能向上のメリットが建築主や居住者等に十分に理解されていない。



3.住宅・建築物の省エネ基準への適合率の向上等の課題等

【委員からの主な指摘等】

(省エネ基準適合義務に係る課題)

・省エネ基準の適合義務化の対象拡大にあたっては、省エネ基準への適合状況に加え、省エネ投資の費用対効果の低さやエネルギー消費量の住まい方への依存等の住宅の特性、生産・審査体制、建築主等の認識、伝統的構法や地域の文化への配慮等に係る課題に留意するこ
 とが必要。

(省エネ基準・省エネ計算に係る課題)

・省エネ基準への適合の判断を容易なものとするための省エネ基準・省エネ計算の大幅な簡素化、共同住宅における住棟単位での省エネ基準の適用等が必要。

(省エネ性能向上等に係る普及啓発に係る課題)

・生産者の技術力向上のための講習会等の実施、断熱材等の適切な施工技術の普及、省エネ性能向上の必要性等に係る建築主等への普及啓発の推進等が必要。

(総合的な取組の推進等に係る課題)

・住宅・建築物全体の省エネ性能の底上げとより性能の高いグループの拡大及び性能向上の両面からの施策検討、省エネ性能に関する情報の建築主等への提供の徹底や省エネ性能に応じた税財政・融資上の支援の重点化等の多様な手法によるマーケットメカニズムの活用
 等が必要。

(省エネ性能の情報提供に係る課題)

・消費者の意識の向上や適切な選択を促すための設計者から建築主等への省エネ性能の説明、健康性等を含めた総合的な表示制度の検討等が必要。

(高い省エネ性能を有する住宅・建築物の普及に係る課題)

・関係省庁の連携によるZEH 等に対する支援策の充実、現行の省エネ計算の方法では評価できない新たな技術や設備機器等の評価手法の検討等が必要。

(既存ストック対策に係る課題)

・省エネ性能の低い既存ストックが数多く存在することを踏まえ、既存ストックの省エネ性能向上を促進することが必要。



4.引き続き把握・検証すべき事項

【委員からの主な指摘等】

・今後の省エネ基準への適合率向上等に向けた取組に係る判断を的確に行うためにも、省エネ基準への適合率の最新状況や、地域や構造等の別での不適合物件の要因等について、把握・検証していくことが必要。



●国土交通省(住宅・建築物のエネルギー消費性能の実態等に関する研究会 とりまとめの公表について)

[URL]http://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_000785.html