‘全住協メールマガジン’ カテゴリーのアーカイブ

全住協各委員会等の日程について

2017年8月14日 月曜日

1.総務委員会

日時:平成29年7月25日(火) 16:00~17:00

場所:協会会議室

議題:〇〇〇〇について



2.組織委員会

日時:平成29年7月6日(木) 15:30~16:50

場所:弘済会館4階「萩」

議題:〇〇〇〇について



3.政策委員会

日時:平成29年7月19日(水) 11:00~11:50

場所:グランドヒル市ヶ谷3階「珊瑚」

議題:〇〇〇〇について



4.戸建住宅委員会

日時:平成29年7月25日(火) 14:45~16:45

場所:弘済会館4階「菊」

議題:〇〇〇〇について



5.中高層委員会

日時:平成29年7月26日(水) 15:00~17:30

場所:主婦会館9階「スズラン」

議題:〇〇〇〇について



6.流通委員会

日時:平成29年7月18日(火) 12:00~14:00

場所:主婦会館地下2階「クラルテ」

議題:〇〇〇〇について



7.新規事業委員会

日時:平成29年7月24日(月) 14:30~16:00

場所:弘済会館1階「葵」

議題:〇〇〇〇について

6月の住宅着工は前年同月比1.7%増の8.7万戸~国交省、持家、貸家は減、分譲は増加で総戸数は2か月ぶりに増

2017年8月3日 木曜日

 国土交通省がまとめた、平成29年6月の「建築着工統計調査報告」によると、全国の新設住宅着工戸数は、持家、貸家は減少したが、分譲住宅が増加したことで前年同月比1.7%増の8万7456戸となり、2か月ぶりに前年同月を上回った。季節調整済年率換算値は前月比0.6%増の100万3248戸となり、2か月ぶりの増加。

 利用関係別にみると、持家は前年同月比3.4%減で3か月ぶりの減少。公的資金による持家は増加したが、民間資金による持家が減少したことで、持家全体で減少となった。貸家は同2.6%減で20か月ぶりの減少。民間資金による貸家が減少し、公的資金による貸家も減少したことで、貸家全体で減少した。分譲住宅は、同15.5%増で2か月ぶりの増加。マンションが増加し、一戸建住宅も増加したことで、分譲住宅全体で増加となった。

 エリア別の着工戸数をみると、首都圏は持家が前年同月比1.8%減、貸家が同2.5%増、分譲住宅が同22.1%増で全体では同8.6%増となった。中部圏は持家が同2.4%増、貸家は同0.3%減、分譲住宅が同24.7%増で全体では同6.0%増。近畿圏は持家が同5.4%減、貸家が同6.8%増、分譲住宅が同18.8%減で全体では同5.4%減となった。その他の地域は、持家が同5.1%減、貸家が同10.2%減、分譲住宅が同33.2%増で全体では同2.7%減となった。



《平成29年6月の住宅着工動向の概要》

[主な住宅種別の内訳]

◇持家=2万6037戸(前年同月比3.4%減、3か月ぶりの減少)。大部分を占める民間金融機関などの融資による持家が、同4.0%減の2万2956戸と3か月ぶりに減少したが、住宅金融支援機構や地方自治体など、公的資金による持家が同1.5%増の3081戸で4か月ぶりの増加。



◇貸家=3万5967戸(前年同月比2.6%減、20か月ぶりの減少)。大部分を占める民間金融機関などの融資による貸家が同0.5%減の3万2690戸と20か月ぶりに減少し、公的資金による貸家も同19.0%減の3277戸で4か月連続の減少。



◇分譲住宅=2万4976戸(前年同月比15.5%増、2か月ぶりの増加)。うちマンションは同27.1%増の1万2942戸と2か月ぶりの増加、一戸建住宅は同4.8%増の1万1817戸と20か月連続の増加。



[圏域別・利用関係別の内訳]

◇首都圏=3万2280戸(前年同月比8.6%増)、うち持家5210戸(同1.8%減)、貸家1万3432戸(同2.5%増)、分譲住宅1万3595戸(同22.1%増)、うちマンション8300戸(同37.9%増)、一戸建住宅5175戸(同3.0%増)


◇中部圏=9926戸(同6.0%増)、うち持家4030戸(同2.4%増)、貸家3448戸(同0.3%減)、分譲住宅2344戸(同24.7%増)、うちマンション668戸(同27.7%増)、一戸建住宅1672戸(同23.6%増)



◇近畿圏=1万2002戸(同5.4%減)、うち持家3112戸(同5.4%減)、貸家5053戸(同6.8%増)、分譲住宅3771戸(同18.8%減)、うちマンション1825戸(同32.8%減)、一戸建住宅1916戸(同0.7%減)



◇その他地域=3万3248戸(同2.7%減)、うち持家1万3685戸(同5.1%減)、貸家1万4034戸(同10.2%減)、分譲住宅5266戸(同33.2%増)、うちマンション2149戸(同131.3%増)、一戸建住宅3054戸(同2.7%増)。



[マンションの3大都市圏別内訳]

◇首都圏=8300戸(前年同月比37.9%増)、うち東京都6897戸(同71.6%増)、うち東京23区5918戸(同64.8%増)、東京都下979戸(同129.3%増)、神奈川県605戸(同46.5%減)、千葉県384戸(同12.1%減)、埼玉県414戸(同3.7%減)



◇中部圏=668戸(同27.7%増)、うち愛知県606戸(同50.0%増)、静岡県24戸(同79.8%減)、三重県0戸(前年同月0戸)、岐阜県38戸(同0戸)



◇近畿圏=1825戸(前年同月比32.8%減)、うち大阪府1369戸(同29.0%減)、兵庫県404戸(同28.7%増)、京都府0戸(同100.0%減)、奈良県0戸(前年同月0戸)、滋賀県52戸(同0戸)、和歌山県0戸(同0戸)◇その他地域=2149戸(前年同月比131.3%増)。



[建築工法別]

◇プレハブ工法=1万2487戸(前年同月比6.3%減、3か月ぶりの減少)

◇ツーバイフォー工法=1万851戸(同3.1%増、2か月連続の増加)。



〔URL〕http://www.mlit.go.jp/common/001194983.pdf

【問合先】総合政策局建設経済統計調査室03―5253―8111内線28625、28626

国土交通省との懇談会を開催

2017年8月2日 水曜日

 当協会は、7月28日(金)にホテルニューオータニにおいて国土交通省との懇談会を開催した。この懇談会は、毎年、国土交通省の幹部と住宅・土地政策の動向についての意見交換や住宅・土地税制などについて要望等を行うもの。

 当協会からは神山会長を始め副会長・専務理事・常務理事・各団体会員代表者・各委員会委員長ほかが出席した。

 冒頭、神山会長は、「今後、空き家問題やマンションの建替えの問題が深刻化してくると思われる。マンションの建替えについては建替え決議要件の緩和や容積率のボーナスなどを検討していただきたい。また、税制や金融面での支援も必要になってくる。特に老朽化マンションの所有者は高齢化しているため融資を受けにくいので、リバースモーゲージなどをもっと使いやすい形に変えていけば、一歩前進できるのではないか。全住協としては、こうした問題に一丸となって取り組んでいきたい。」などと挨拶した。

 その後、国土交通省より伊藤住宅局長、青木建設流通政策審議官のご挨拶をいただき、住宅・土地政策について(1)住宅政策を取りまく最近の動向、(2)最近の住宅生産行政の動向、(3)不動産政策の最近の動向、(4)不動産市場の最近の動向、(5)所有者不明土地に関する最近の状況のそれぞれのテーマで各担当課長から説明がなされた。

 また、全住協より馬場副会長が最近の住宅・不動産業の状況や消費者動向などを詳しく説明するとともに平成30年度住宅・土地税制改正、住宅金融支援機構業務に関する要望を行い、参加者による質疑応答や意見交換を行った。

 最後に小林副会長が「政府が目標とするGDP600兆円を実現するため、裾野の広い住宅産業に身を置く我々としても国交省にご指導をいただきながら、努力していきたい。」と挨拶し閉会した。

 なお、当日は全住協より32名、国土交通省より21名が出席した。



会報全住協8月号

http://www.zenjukyo.jp/new_info/kaiho/data/201708.pdf

「不動産後見取引士」資格講習会開催のご案内

2017年7月3日 月曜日

新規事業委員会では後見人制度について東京大学と共同研究を行っていますが、このたび、下記により標記資格講習会を開催いたします。



1.講習課程

(1) 基礎編(1日間コース)

(2) 発展編(2日間コース) ※1日目は基礎編と同じ内容となります。



2.開催地

(1) 東京会場

  基礎編・発展編(1日目)

  8/9(水)10:00~17:10 東京大学 本郷キャンパス赤門総合研究棟「A200教室」

  発展編(2日目)

  8/10(木)10:00~17:10 東京大学 本郷キャンパス赤門総合研究棟「A200教室」



(2) 大阪会場

  基礎編・発展編(1日目)

  8/23(水)10:00~17:10 住宅金融支援機構 近畿支店「すまいるホール」

  発展編(2日目)

  8/24(木)10:00~17:10 住宅金融支援機構 近畿支店「すまいるホール」



※お車で来場される場合、会場によっては受講者用駐車スペースがない、若しくは満車となっている場合があります。

 なお、駐車料金は受講者負担となります。



3.講習内容

(1) 1日目

 1限目 不動産後見取引士 資格の目的・内容

 2限目 高齢社会の現状と成年後見の社会的背景

 3限目 法定後見制度の基礎

 4限目 任意後見制度の基礎

 5限目 判断能力が不十分な人との不動産取引

 6限目 理解度確認テスト(基礎)



(2) 2日目

 1限目 後見の申立書等の作成方法

 2限目 判断能力が不十分な人との取引及び支援における留意点

 3限目 民事信託とリバースモーゲージ

 4限目 障がい者の賃貸借契約の実際

 5限目 理解度確認テスト(発展)



4.受講料

(1) 基礎編  会員 10,000円  会員外 20,000円(消費税込)

(2) 発展編  会員 20,000円  会員外 30,000円(消費税込)



5.定員

(1) 東京会場 80名(定員に達し次第、締切り)

(2) 大阪会場 70名(定員に達し次第、締切り)



6.講習修了

(1) 修了要件

 講習の全講義聴講及び理解度確認テストに合格すること

(2) 受講の結果について「結果通知書」を後日送付

(3) 発展編の合格者には、「取引士証」を後日送付



7.更新

 2年(更新料 基礎編:8,000円、発展編:10,000円(予定))



8.申込み期限

(1) 東京会場 7月26日(水)まで

(2) 大阪会場 8月8日(火)まで



9.備考  

(1) 前回の資格講習会受講者で、1日目のみ若しくは2日目のみ未修了の者は、修了していない日程のみの受講が可能となります。

(2) 欠席された場合でも、受講料は返却いたしません。



10.問合せ先

(一社)全国住宅産業協会 TEL 03-3511-0611

http://www.zenjukyo.jp/member/data/170630koken-kousyukai.pdf

平成28年の低層住宅労災件数は487件で前年上回る~住団連、低層住宅の労働災害発生状況

2017年6月30日 金曜日

 (一社)住宅生産団体連合会は、「平成28年低層住宅の労働災害発生状況報告書」をまとめた。調査対象は同連合会構成団体のうち6団体の会員企業。低層住宅建築工事において現場災害の発生状況を調査し、479社が回答した。この479社の年間完工棟数は、新築が20万3207棟、増改築・リフォームが37万901棟。同報告書は、平成5年から低層住宅建築工事による労働災害発生状況を集計分析している。



 同調査の概要は次のとおり、[労働災害件数(休業4日以上の災害で、一人親方や事業主災害等を含む)]=487件で前年(428件)に比べて59件増加している。工事1000棟当たりの労働災害発生率は0.83件で前年(0.87件)と比べ0.04件減少。労働災害発生状況では[作業分類別]=発生率の高い「建方工事」が前年の24.3%から18.9%へ減少したが、「内部造作工事」が同15.2%から20.6%へ増加し、「内装工事」も同7.9%から11.5%へ増加しいずれも発生率が高くなっている。



[職種分類別]では、傾向は概ね例年と同じで、「大工職」の労働災害発生率は前年の45.3%から42.3%へ減少したが、例年同様に高い割合である。「左官」は同1.9%から0.8%へ、「現場監督」は同3.3%から2.3%へともに若干の減少、ほかの職種に関しては増加または横ばいだった。その中でも「基礎」(平成26年4.2%→平成27年5.6%→平成28年6.8%)と「瓦工」(平成26年0.4%→平成27年0.9%→平成28年1.6%)は、発生の割合はともに高くはないが、2年連続で増加していることが懸念される。これらの職種は屋外での作業が大半を占めるため、近年増加している熱中症の予防に具体的な対策を立て強力に推進していく必要がある。また、「その他」が同28.5%(平成26年32.0%)から増加し30.0%に戻ったことが懸念される。これらの職種の大半は、一現場に長期で滞在しての作業を行うことは少なく、多くの現場を巡回する職種のため、現場ごとの作業環境に不慣れゆえの労働災害が発生すると思われる。各現場へ入場するときは、足場掛状況、作業場の整理整頓状況、資材搬入のための通路状況等の把握を行うことを習慣化・徹底する必要がある。



 労働災害発生状況では、[原因・型別]=発生傾向に近年大きな変化は無く、「墜転落」が約50%(平成27年49.1%→平成28年48.0%)、「工具(切れ・こすれ)」が約20%(平成27年20.1%→平成28年22.0%)でこの2項目で全体の70%を占める状況が続いている。「車両系建設機械」(平成27年3.3%→平成28年3.9%)による事故が少しずつではあるが増加していることが平成28年の特徴である。特に重大災害に繋がる危険性が高いクレーン(平成27年7.1%→平成28年15.8%)やドラグショベル(平成27年14.3%→平成28年57.9%)による事故が増えていることが気になる点である。墜転落災害の内訳をみると、「足場」(平成27年21.4%→平成28年19.2%)からの墜転落は徐々に減少しているが、「開口部」(平成27年11.0%→平成28年13.7%)・「ハシゴ」(平成27年9.5%→平成28年11.1%)・「脚立」(平成27年24.8%→平成28年24.4%)からの墜転落が相変わらず多く発生している。特に「脚立」からの墜転落災害は各社様々な取組みをしているが、作業者の不安全行動を改善させることまでには至っていないように思われる。現在、ハーネス型の安全帯使用が検討されているが、全産業における死亡災害の大半が安全帯の不使用によるもので、まずは確実に安全帯の使用の徹底を図ることが急務である。「工具(切れ・こすれ)」の内訳では、「丸鋸」(平成27年30.2%→平成28年34.6%)・「釘打ち機」(平成27年24.4%→平成28年27.1%)による災害が占める割合が高く、増加傾向にあることも気になる点である。 [休業日数別]=この3年間はほぼ同様の傾向にあり、平成28年は31日以上の休業日が全体の46.2%と半数近くを占めている。特に重大な災害につながる「墜転落」、「電動工具」、「車両系建設機械」については元請業者・事業主が協力して労働者に災害防止の重要性について常に自覚を持つように、繰り返して安全衛生教育の実施をすべき。



 [雇用形態別]=平成27年と比較して、「労働者」が63.4%(前年比14.1P増)、「事業主」が3.9%(同4.5P減)、「一人親方」が32.4%(同9.4P減)と、「労働者」の割合が過去10年で最高になるとともに、「事業主」の割合は過去10年で2番目に低く、「一人親方」の割合は過去10年で最低となった。[年齢層別]=平成28年は、前年に比べて30歳代(平成27年19.4%→平成28年18.3%)の割合は減少し、40歳代(平成27年22.9%→平成28年23.0%)は横ばいとなったが、平成27年に減少した20歳代(平成27年10.5%→平成28年13.3%)の割合が増加した。平成28年全体では50歳代(平成27年16.6%→平成28年15.6%)・60歳以上(平成27年26.2%→平成28年25.7%)の割合が減少しているが、50歳代以上では41.3%を占め全体の4割を超える状況は平成27年(42.8%)から変わらない。今後も低層住宅工事に携わる作業者の高年齢化は継続することが予想され、高齢者の災害発生比率の増加が懸念される。



 [月別・曜日別・時間別]=「月別」:5月が10.3%(前年比4.2P増)、7月が9.9%(同1.5P増)・12月が11.3%(同2.4P増)と災害発生率が増加した。これは、工事が集中する年末完工の繁忙と熱中症対策が必要となる5月頃からの急激な気温上昇によるヒューマンエラー(災害の要因となる人的ミス)を起因した災害と推察される。「曜日別」:金曜日が13.3%(前年比1.9P減)、土曜日が14.0%(同1.0P減)、日曜日が1.8%(同1.7P減)は減少傾向にあるが、休み明けの月曜日が20.5%(同3.2P増)、火曜日が18.7%(同1.9P増)と多い割合で発生している。「時間帯別」:午前中の災害発生率が高く、作業開始から昼休み前までの割合が非常に多い。作業前の「躰や精神面の準備不足」、昼休み前の作業者の「疲れ」や「油断」に対して自覚を持つように、繰り返して安全衛生教育の+実施が重要としている。



〔URL〕http://www.judanren.or.jp/proposal-activity/chosa/file/h28_roudousaigai.pdf

【問合先】工事CS・安全委員会03―5275―7251

第5回定時総会を開催

2017年6月2日 金曜日

 当協会は、6月6日(火)にホテルニューオータニ「麗の間」において「第5回定時総会」を開催した。

 総会では、委任状を含め354社の出席があり、「第1号議案 平成28年度事業報告及び決算承認の件」「第2号議案 役員選任の件」を全会一致で承認し、「平成29年度事業計画及び予算の件」の報告を行った。

 この後、長年当協会の役員を勤めこのたび退任となった方々に神山会長から感謝状が贈呈された。また、優良事業表彰、ニューアイデアビジネス表彰、優秀社員表彰を行い、神山会長から表彰状と記念品が授与された。受賞者は2頁に掲載のとおり。

 総会終了後、新役員による理事会を開催し、神山和郎会長が再任された。引き続き行われた懇親パーティーでは神山会長の挨拶の後、菅内閣官房長官など多数の来賓の方々から祝辞をいただいた。(以下に神山会長挨拶要旨を掲載。)懇親パーティーには当協会会員のほか、国会議員、官公庁・友好団体関係者など800名を超える出席があった。


定時総会

▲第5回定時総会



[神山会長挨拶]

 本日は国会の先生方、国土交通省・友好団体の幹部の皆様、そして多くの会員の方にご出席をいただきました。ありがとうございました。ここ1~2年の間、税制や生産緑地法の改正について国土交通省を始め国会議員の先生方には大変お世話になりました。生産緑地については、いち早く対応をしていただいたと思っております。感謝を申し上げます。

 先月、世界不動産連盟の会議がアンドラ公国で開催されました。ついでにポルトガル・スペインを廻ってきました。ここで気づいたことですが、ヨーロッパの建物は石造りですから、200年、300年経っているという建物がたくさんあります。それに比較すると日本の住宅・建築物というのは例え鉄筋コンクリートであろうとも40 ~ 50年経つと、かなり老朽化して古い建物という見方をしてしまいます。この辺のところも、我々住宅に関わる者としては今後検討していかなければならない課題であろうと思います。
 もう一つ、ヨーロッパの街はどこに行っても電柱は一本も立っていません。これを考えますと、日本でも一日も早く無電柱化を推進すべきだと思っております。オリンピックが3年後に迫っております。せめて海外から来た方々の目に入らないよう、早急に手を付けていただきたいと考えております。無電柱化を進めるためには多額の資金がかかりますので、資金負担という点で難しい問題もあると思いますが、「いつまでに、どこまでやるか」が今後の課題であろうと思います。

 次に空き家対策の問題ですが、中でもマンションの空き家は大きな問題に発展するだろうと思います。このまま行きますとスラム化が進むのではないかと大変心配しております。このマンションの建て替えを進めるために何が必要かというと、マンション建替えに係る関係法令の改正も視野に入れなければいけないのではないかと思います。もう一つは、資金調達だと思います。所有している方は老齢の方が多く、当然銀行も貸しにくいと思われますので金融が付きません。これを解決するためには、リバースモーゲージの形を変えたもので進めてみるとか、容積率のボーナスを与える特例を創設していただき、資金負担を少しでも軽くするような方法が必要であると思います。いずれにしても喫緊の課題であると思いますので、今から手を打っていただきたいと考えています。

 最後に、当面の問題として我々中堅の事業者はマンション用地の仕入れがたいへん難しくなってきております。土地代が非常に高騰し、建築費も高止まりしています。このままですと、安定した住宅供給が難しくなってくると考えています。都心でマンション用地が見つかりますと、ほとんど競合になります。例えばホテル事業では、かなり高い値段で土地を買っても採算が合いますから、通常のマンション建設では競合したら絶対に勝てません。土地の仕入れについては我々協会会員一同大変苦戦をしています。このことについては、知恵を絞って業界全体で再検討することが必要だと考えております。

 これからも色々な提言、陳情、お願いごとがあると思います。どうぞ本日ご参加の皆様、今後ともご指導とご協力をお願い申し上げまして、挨拶に代えさせていただきます。



神山会長

▲神山会長



菅内閣官房長官

▲菅内閣官房長官



懇親パーティー

▲懇親パーティー



[優良事業表彰受賞プロジェクト]

〈戸建分譲住宅部門(大規模)〉

 「スマートエコステージ東三国丘小学校前」((株)サンユー都市開発)

 「マドレガーデン『ひよどり台南町』」((株)マリンホーム)

 「リストガーデンゆめまち」(リストデベロップメント(株))

 「ワコーレノイエ 藤原台北町」(和田興産(株))

〈中高層分譲住宅部門(大規模)〉

 「レアシス新横浜 パークフロント」(ジェイレックス・コーポレーション(株))

〈中高層分譲住宅部門(中規模)〉

 「グローベル ザ・目白プレミアム」((株)プロスペクト)

 「DEUX-RESIA HIRAO(デュ・レジア 平尾)」((株)ランディックアソシエイツ)

〈中高層分譲住宅部門(小規模)〉

 「デュフレベース赤堤」((株)サジェスト)

〈中高層分譲住宅部門(ワンルーム)〉

 「STAGE GRANDE 亀戸 Asyl Court」((株)アーバネットコーポレーション)

 「ガーラ・プレシャス川崎」((株)エフ・ジェー・ネクスト)

〈不動産関連事業部門〉

 「T’s BRIGHTIA 南青山」(トーセイ(株))

 「デュオセーヌ緑山」((株)フージャースコーポレーション、ダイヤモンド地所(株))

〈企画・開発部門〉

 「アジールコート麻布十番」((株)アーバネットコーポレーション)

 「石巻テラス」((株)フージャースコーポレーション)

〈リノベーション部門〉

 「リーヴァ海老園」((株)ハウジングネットワン)



[ニューアイデアビジネス賞]

〈大賞〉

「不動産権利調整ビジネス」((株)サンセイランディック)

〈特別賞〉

「健康増進複合建物『Tomorrow PLAZA』」((株)フージャースコーポレーション)



[優秀社員表彰者〕(敬称略)

(株)東栄住宅  内田 貴士、佐々木 美紀子

日神管財(株)  小川 拓志

日神不動産(株)  宮城 正之

(株)ニッテイホールディングス  龍門  宙、杉原 辰哉

(株)ニッテイライフ  久米 貴晴

東日本住宅(株)  藁科  功、津川  貴


優良事業表彰

▲優秀社員表彰

4月の住宅着工は前年同月比1.9%増の8.3万戸
~国交省、持家、貸家、分譲住宅が全て増加

2017年6月1日 木曜日

 国土交通省がまとめた、平成29年4月の「建築着工統計調査報告」によると、全国の新設住宅着工戸数は、持家、貸家、分譲住宅が増加したことで前年同月比1.9%増の8万3979戸となり、2か月連続の増加となった。季節調整済年率換算値は前月比2.0%増の100万3584戸となり、2か月連続の増加。利用関係別にみると、持家は前年同月比0.8%増で2か月ぶりの増加。公的資金による持家は減少したが、民間資金による持家が増加したことで、持家全体で増加となった。貸家は同1.9%増で18か月連続の増加。公的資金による貸家は減少したが、民間資金による貸家が増加したことで、貸家全体で増加した。分譲住宅は、同2.9%増で3か月ぶりの増加。マンションが増加し、一戸建住宅も増加したことで、分譲住宅全体で増加となった。エリア別の着工戸数をみると、首都圏は持家が前年同月比2.3%減、貸家が同0.2%増、分譲住宅が同4.6%増で全体では同1.4%増となった。中部圏は持家が同4.9%増、貸家は同6.7%増、分譲住宅が同8.2%減で全体では同2.1%増。近畿圏は持家が同3.5%減、貸家が同11.2%減、分譲住宅が同13.0%減で全体では同9.5%減となった。その他の地域は、持家が同2.0%増、貸家が同8.1%増、分譲住宅が同19.5%増で全体では同7.1%増となった。



《平成29年4月の住宅着工動向の概要》

[主な住宅種別の内訳]

◇持家=2万3751戸(前年同月比0.8%増、2か月ぶりの増加)。大部分を占める民間金融機関などの融資による持家が、同1.1%増の2万1060戸と2か月ぶりに増加したが、住宅金融支援機構や地方自治体など、公的資金による持家が同1.6%減の2691戸で2か月連続の減少。



◇貸家=3万6914戸(前年同月比1.9%増、18か月連続の増加)。大部分を占める民間金融機関などの融資による貸家が同5.2%増の3万2647戸と18か月連続で増加したが、公的資金による貸家が同20.9%減の3547戸で2か月連続の減少。



◇分譲住宅=2万3708戸(前年同月比2.9%増、3か月ぶりの増加)。うちマンションは同1.3%増の1万2097戸と3か月ぶりの増加、一戸建住宅は同5.2%増の1万1504戸と18か月連続の増加。



[圏域別・利用関係別の内訳]

◇首都圏=3万220戸(前年同月比1.4%増)、うち持家4890戸(同2.3%減)、貸家1万2264戸(同0.2%増)、分譲住宅1万2998戸(同4.6%増)、うちマンション7391戸(同3.3%増)、一戸建住宅5534戸(同7.6%増)



◇中部圏=8577戸(同2.1%増)、うち持家3398戸(同4.9%増)、貸家3076戸(同6.7%増)、分譲住宅2077戸(同8.2%減)、うちマンション673戸(同32.5%減)、一戸建住宅1404戸(同11.3%増)



◇近畿圏=1万1812戸(同9.5%減)、うち持家2783戸(同3.5%減)、貸家5391戸(同11.2%減)、分譲住宅3556戸(同13.0%減)、うちマンション1809戸(同18.1%減)、一戸建住宅1736戸(同7.1%減)



◇その他地域=3万3370戸(同7.1%増)、うち持家1万2680戸(同2.0%増)、貸家1万5463戸(同8.1%増)、分譲住宅5077戸(同19.5%増)、うちマンション2224戸(同41.4%増)、一戸建住宅2830戸(同6.5%増)。



[マンションの3大都市圏別内訳]

◇首都圏=7391戸(前年同月比3.3%増)、うち東京都3277戸(同24.2%減)、うち東京23区2592戸(同3.3%増)、東京都下635戸(同65.0%減)、神奈川県1856戸(前年同月1856戸)、千葉県1611戸(前年同月比317.4%増)、埼玉県647戸(同9.3%増)



◇中部圏=673戸(同32.5%減)、うち愛知県480戸(同31.0%減)、静岡県48戸(同74.7%減)、三重県145戸(前年同月0戸)、岐阜県0戸(同111戸)



◇近畿圏=1809戸(前年同月比18.1%減)、うち大阪府696戸(同51.3%減)、兵庫県709戸(同160.7%増)、京都府241戸(同28.1%減)、奈良県0戸(前年同月172戸)、滋賀県163戸(同0戸)、和歌山県0戸(同0戸)◇その他地域=2224戸(前年同月比41.4%増)。



[建築工法別]

◇プレハブ工法=1万1080戸(前年同月比2.1%増、2か月ぶりの増加)

◇ツーバイフォー工法=1万124戸(同1.3%減、3か月連続の減少)。



〔URL〕http://www.mlit.go.jp/common/001186334.pdf

【問合先】総合政策局建設経済統計調査室03―5253―8111内線28625、28626

改正宅建業法の施行に向けて

2017年5月10日 水曜日

 昨年の第190回国会において、既存住宅の流通市場を活性化し安全な取引環境の整備を図るため、建物状況調査(インスペクション)の活用等を内容とする宅地建物取引業法の一部を改正する法律が成立し、平成28年6月3日に公布されました。

 本法律において、建物状況調査(インスペクション)関係の規定について公布の日から2年以内、それ以外の規定について公布の日から1年以内の政令において定める日から施行することとしており、昨年末の政令制定により、下記の通り施行期日が定められました。



 具体的には、以下の通り、二段階に分けて施行されることとなっております。

(A)建物状況調査(インスペクション)に関する規定の施行期日は、平成30年4月1日とされました。今般の法改正により、既存建物の取引における情報提供の充実を図るため、宅地建物取引業者に対し、以下の事項が義務付けられました。

① 媒介契約において建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項を記載した書面の交付

② 買主等に対して建物状況調査の結果の概要等を重要事項として説明

③ 売買等の契約の成立時に建物の状況について当事者の双方が確認した事項を記載した書面の交付

(B)さらに、(A)以外の以下の規定の施行期日が平成29年4月1日とされました。

① 宅地建物取引業の業務の適正化及び効率化

媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、当該媒介契約の目的物である宅地又は建物の売買又は交換の申込みがあったときは、遅滞なく、その旨を依頼者に報告しなければならないものとすること。

② 営業保証金・弁済業務保証金制度の弁済対象者から宅地建物取引業者を除外

③ 従業者への体系的な研修の実施についての業界団体に対する努力義務



 これまで、国土交通省の社会資本整備審議会不動産部会において、これらの改正事項の施行に向けた運用面の議論が行われて来ました。昨年の11月9日、12月26日に詳細事項の議論が行われておりますので、皆さんもどうぞご確認下さい。

http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s203_hudousan01.html



 昨年12月26日の社会資本整備審議会産業分科会不動産部会において、施行に向けた具体的なルールづくりに関する検討が進められた後に、今年3月末には、改正法における建物状況調査の実施方法について、例えば、建物状況調査の対象部位、建物状況調査の実施主体、建物状況調査を実施する者のあっせん、建物状況調査の結果の概要に関する重要事項説明、「書類の保存の状況」に関する重要事項説明等について省令改正・施行通知が出されております。

宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する省令(平成29年省令第13号)において、宅地建物取引業法の一部を改正する法律(平成28年法律第56号)の施行に伴う改正事項、具体的には、建物状況調査の詳細、建物の建築及び維持保全の状況に関する書類の具体の書類等について規定されております。下記のウェブサイトより、具体的な規定を確認できますので、どうぞご確認下さい。

http://www.mlit.go.jp/common/001179089.pdf



 また、本年4月1日から、媒介契約の依頼者に対する報告義務の創設(第34条の2新第8項)、宅建業者に対する重要事項説明の簡素化(第35条新第6項及び新第7項)、従業者名簿の記載事項の変更(第48条第3項)、営業保証金等による弁済を受けることができる者の限定(第27条第64条の8)、宅建業者の団体による研修の実施(第64条の3第75条の2)が施行されています。新しい施行事項の確認、運用の詳細につきましては、間もなく国土交通省より配布される予定の改正宅建業法Q&Aにてご確認下さい。



 今回は、このうち主な改正内容、重要なポイントに絞り、解説を行います。



1.改正法における建物状況調査の実施方法について

(1)建物状況調査の対象部位及び方法

 そもそも建物状況調査(インスペクション)は、売主・買主が安心して建物の取引の判断が行えるよう、建物の構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分について、その状況を客観的に調査するものです。このため、建物の基本的な品質・性能に係る部位の状況を調査することが基本となります。このような建物の基本的な品質・性能に係る部位の調査については、平成25年に国土交通省が「既存住宅インスペクション・ガイドライン」として調査方法等に関する指針を定めているところで、改正法に基づく建物状況調査の実施方法についても、同ガイドラインに沿ったものとすることが適当であるとされました。

そして同時に、既存住宅の安心な取引環境を整備する観点からは、物件の引渡し後一定期間内に瑕疵が発見された場合について必要な補修が行えるよう、保険への加入を促進することが重要であり、建物状況調査を実施した場合にはその結果を活用して既存住宅売買瑕疵保険に加入することができる制度とすることが適当であるとしています。



 したがいまして、改正法に基づく建物状況調査の対象部位及び方法は、国土交通省の「既存住宅インスペクション・ガイドライン」を踏まえて、既存住宅売買瑕疵保険に加入する際に行われる現場検査の対象部位(基礎、壁、柱など)及び方法と同様のものとすることが適当とされているわけです。この基本的な考え方、対象範囲についてご理解をいただく必要があるかと思います。



(2)建物状況調査の実施主体

 建物状況調査の結果は、売主・買主の双方にとって既存住宅の取引を行う上での重要な判断材料になるものでありますので、建物状況調査は客観的に適正に行われることが確保されなければなりません。このため、建物状況調査の実施主体として、① 建物の設計や調査に関する専門知識を有していること、② 適正な業務執行を担保するための指導・監督等の仕組みが制度上確保されていること、③ 円滑に調査が行われるために必要な人員が確保されることが必要であるとされました。



 平成30年4月より施行されます建物状況調査の実施主体につきましては、建物状況調査が客観的かつ適正に行われるよう、調査に係る一定の講習を修了した建築士としています。

 具体的には、以下の新省令の規定です。

 省令第十五条の八 法第三十四条の二第一項第四号の国土交通省令で定める者は、次の各号のいずれにも該当する者とする。

一 建築士法(昭和二十五年法律第二百二号)第二条第一項に規定する建築士

二 国土交通大臣が定める講習を修了した者

2 前項に規定する者は、建物状況調査を実施するときは、国土交通大臣が定める基準に従って行うものとする。)

 なお、建築士以外の主体による建物状況調査の実施を可能とする場合の枠組み等について、引き続き検討を継続することとされています。



 現時点では、建物状況調査の実施主体としては建築士を基本として、まずは平成30年春の施行に当たり、調査に係る一定の講習を修了した建築士とすることが適当であるとされました。なお、建築士は、国土交通大臣の免許を受けて建築物の設計、工事監理等の業務を行う者であり、建築物に関する調査について建築士法に基づく監督・処分等が可能です。現在、約18,000人の建築士が、国土交通省の「既存住宅インスペクション・ガイドライン」に基づくインスペクションの講習を受け、インスペクターとして登録されています。一方、他の主体であっても、上記のような要件を満たして建物状況調査を客観的に適正に行える状況になれば実施主体となることは可能と考えられることから、安心な取引環境の整備を一層進める観点から、全国における建物状況調査の実施状況等を適切に検証しつつ、引き続き、建築士以外の主体による建物状況調査の実施を可能とする場合の枠組み等について、検討を継続するべきであるとの報告書がまとめられました。ここは是非注目いただきながら、他方で、建物状況調査の実施結果に関する客観性を確保する観点から、上記の講習を修了した建築士であっても、自らが取引の媒介を行う場合など当該取引に利害関係がある場合にあっては、売主及び買主の同意がある場合を除いて、建物状況調査の実施主体となるのは適当でないとされていますので、ご注意下さい。



2.建物状況調査等に関連する宅地建物取引業者の業務について

(1)建物状況調査を実施する者のあっせん

 改正法においては、建物状況調査を活用した安心な取引が実現されるよう、宅地建物取引業者の業務の一環として、媒介契約において「建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項」を記載することが定められました。このような宅地建物取引業者によるあっせんは、売主等からのあっせんの希望を受けて複数の業者を順次あっせんする場合など、実務的には様々なケースが想定されるかと思います。このため、あっせん先の業者名等が変わるたびにその都度媒介契約を変更することになるのは適切でないと考えられることから、国土交通大臣が定める標準的な媒介契約書面である標準媒介契約約款においては、建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項として「あっせんの有無」についてのみ記載することとするのが適当であるとされました。



 なお、改正法に基づく「あっせん」は、建物状況調査を実施している業者に関する単なる情報提供ではなく、売主又は買主と業者の間で建物状況調査の実施に向けた具体的なやりとりが行われるように手配することが求められます。



(2)建物状況調査の結果の概要に関する重要事項説明

① 重要事項説明の内容

 建物状況調査の結果の概要に関する重要事項説明は、消費者利益の保護と既存住宅の取引の安全確保の観点から、既存住宅の取引を行おうとする買主等が、建物の現況を十分理解した上で意思決定できるようにするために行うものです。このため、重要事項として説明する建物状況調査の結果の概要は、客観的に適正な内容のものであることが重要であり、国土交通省の「既存住宅インスペクション・ガイドライン」に基づく既存住宅現況検査結果報告書の検査結果の概要と同様のものとするべきであるとされています。同時に、宅地建物取引士が重要事項説明に用いる建物状況調査の結果の概要の書面については、調査を実施した者が責任を持って作成することになります。



② 重要事項説明の対象となる建物状況調査の範囲

 建物状況調査の結果は、既存住宅を取引する上での重要な判断材料となるものであり、重要事項として説明する内容は、取引時点での建物の現況と大きく乖離しないことが求められます。既存住宅の安心な取引環境を整備する観点から、建物状況調査の結果を活用して既存住宅売買瑕疵保険への加入を促進する必要がありますが、既存住宅売買瑕疵保険においては、建物への経年変化による影響等を考慮し、現場検査の実施から1年以内の住宅を保険引受けの対象としているところです。このため、重要事項説明の対象となる建物状況調査については、調査を実施してから1年を経過していないものを対象とすることが適当であるとされました。また、調査を実施してから1年を経過していない建物状況調査が複数ある場合には、取引物件の現況との乖離が最も小さいと考えられる直近の建物状況調査を重要事項説明の対象とするべきであるとされました。ただし、1年以内の直近の建物状況調査以外に、劣化事象が確認されている場合など、取引の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる建物状況調査を別途認識している際には、消費者の利益等を考慮し、宅地建物取引業法第47条に違反することのないよう、当該建物状況調査についても買主等に説明することが適当であると考えられます。また、建物状況調査を実施してから1年を経過する前に大規模な自然災害が発生した場合など、重要事項説明時点での建物の現況が建物状況調査を実施した時点と異なる可能性がある場合であっても、自然災害等による建物への影響の有無及びその程度について具体的に判断することは困難であること、自然災害等が発生する以前の建物状況調査において劣化事象等が確認されていた場合などには、その結果が取引判断の参考になること等から、当該建物状況調査についても重要事項説明の対象とすることが適当であるとしています。



 具体的には、省令第十六条の二の二において、建物状況調査に関する重要事項説明においては、建物状況調査実施後1年を経過しないものについて、重要事項説明の対象としています。



(3)「書類の保存の状況」に関する重要事項説明

① 重要事項説明の対象となる保存書類の範囲

 建物の建築及び維持保全の状況に関する書類の保存状況に関する重要事項説明は、既存住宅の購入判断等に大きな影響を与えると考えられる一定の書類の保存の有無等について、買主等が事前に把握した上で取引に関する意思決定を行えるよう、新たに法に規定されたものです。既存住宅については、満たすべき建築基準への適合性が不明確である場合には住宅ローンの借入や既存住宅売買瑕疵保険の付保等が円滑になされない可能性があるほか、居住開始後に適切に既存住宅のリフォームやメンテナンスを行うためには、当該既存住宅の設計図書や新築時以降に行われた調査点検に関する書類などが必要となります。こうしたことから、建物の建築及び維持保全の状況に関し、重要事項説明の対象として保存の有無を明らかにする書類は、建築基準法令に適合していることを証明する書類、新耐震基準への適合性を証明する書類、新築時及び増改築時に作成された設計図書類、新築時以降に行われた調査点検に関する実施報告書類とするべきであるとされました。なお、区分所有建物のマンション管理組合など、売主以外の者がこれらの書類を保有している場合には、書類を実際に保有している者についても説明するべきであるとしています。



 具体的な省令改正では、「書類の保存の状況」に関する重要事項説明については、建物の建築及び維持保全の状況に関し、重要事項説明の対象として保存の有無を明らかにする書類は、次のものとされています(省令第十六条の二の三)。

(a)建築基準法令に適合していることを証明する書類、(b)新耐震基準への適合性を証明する書類、(c)新築時及び増改築時に作成された設計図書類、(d)新築時以降に行われた調査点検に関する実施報告書類



 さらに、標準媒介契約約款、重要事項説明書のモデル書式の改正も行われておりますので、改正省令をご確認下さい。



② 貸借の場合における取り扱い

 今般の法改正は、既存住宅の安心な取引環境を整備し流通を促進することを目的に行われたものであり、こうした観点から、書類の保存状況に係る重要事項説明の規定も整備されたところであります。貸借では、売買に伴う既存住宅の流通とは異なり、借主による住宅ローンの借入やリフォーム等の実施は一般に想定されないところであり、貸借の場合においては、建物の建築及び維持保全の状況に関する書類の保存状況についての重要事項説明の対象外とすることが適当であるとされています。



(4)37条書面への「当事者の双方が確認した事項」の記載

 改正法第37条第1項に基づき売買契約等の成立時に契約当事者に交付する書面(以下「37条書面」という。)は、契約を媒介した宅地建物取引業者が当該契約の一定の事項を書面にすることで契約内容を明確にし、契約成立後の紛争を防止することを目的としたものです。今般、建物状況調査に関連して、37条書面に「建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項」を記載することが新たに定められています。構造耐力上主要な部分のひび割れや雨漏りなど、契約成立後のトラブル防止を目的に措置されたものですが、契約当事者が既存住宅の現況について不確かな認識をもとに37条書面に記載することは、かえってトラブルを引き起こす原因となりかねませんので、「当事者の双方が確認した事項」は、原則として、建物状況調査など既存住宅について専門的な第三者による調査が行われ、その「調査結果の概要」を重要事項として宅地建物取引業者が説明した上で契約締結に至った場合の当該「調査結果の概要」とし、これを37条書面に記載することとするべきであるとされました。また、これ以外の場合は、既存住宅の現況について当事者双方がどのような認識に基づいて契約を締結したかが明らかでないため、「当事者の双方が確認した事項」は「無」として37条書面へ記載することが適当であるとされました。ただし、契約当事者の双方が写真等をもとに客観的に既存住宅の状況を確認し、その内容を価格交渉や瑕疵担保の免責に反映した場合など、既存住宅の状況が実態的に明らかに確認されるものであり、かつ、それが法的にも契約の内容を構成していると考えられる特別な場合には、当該事項を37条書面に記載することは差し支えないと考えられます。



3.さらに、2.以外の以下の規定の施行期日が平成29年4月1日とされています。

① 宅地建物取引業の業務の適正化及び効率化

媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、当該媒介契約の目的物である宅地又は建物の売買又は交換の申込みがあったときは、遅滞なく、その旨を依頼者に報告しなければならないものとすること。

② 営業保証金・弁済業務保証金制度の弁済対象者から宅地建物取引業者を除外

③ 従業者への体系的な研修の実施についての業界団体に対する努力義務



 このうち、①の宅地建物取引業の業務の適正化及び効率化については、不動産取引における長年の課題でもあります。取引物件に係る売買又は交換の申込みに関する報告は、宅地建物取引の透明性の向上を図る観点から、宅地建物取引業者による伝達を確実なものとし、媒介依頼者が適時かつ適切に物件の取引状況を把握できるようにすることを目的としたものです。このような目的を踏まえ、当該報告が実務上も適切に行われるようにするため、国土交通大臣が定める標準媒介契約約款を改正し、物件の売買又は交換の申込みがあったときは、媒介依頼者に対して遅滞なく報告することを宅地建物取引業者の義務として追加するのが適当であるとされています。なお、改正法に基づく「報告」は、買受申込書など、売買等の希望が明確に示された文書による申込みがあった場合に行うものとすることが適当であると考えられます。



 物件の売主が仲介業者に売却を依頼する際は、売主と仲介業者との間で売却を依頼する契約(媒介契約)を結びます。媒介契約には、一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の3種類があり、特に専任と専属専任の場合は、一つの仲介業者が売却依頼を受ける形態になります。そしてその一社には、レインズ(指定流通機構)に物件情報を登録し、他の仲介業者にも買主を見つけてもらえるよう情報を公開する義務が課せられています。もちろん、公開された物件は決まってしまうこともありますから、その際は問い合わせしてきた仲介業者に対して、契約済みである旨を伝えることになります。ところが、まだ決まっていないにも関わらず、「契約済み」とか「契約に向けて商談中」などと虚偽の回答を行い、見込み客を見つけて問い合わせしてきた仲介業者への紹介をシャットアウトしてしまう行為が、従来から指摘されてきました。この「囲い込み」行為は、「自社が売却依頼された物件について他社に紹介拒否する行為」であり、宅建業法上のみならず企業経営のコンプライアンス上問題があると言えます。



 売却情報が適時適切に公開されれば、他社の顧客にも情報が行き渡り、現地案内等によって物件を早期に売却することが可能になります。早期の売却は、売主にとってメリットの方が多いのです。売主は何らかの理由があって自宅を売却するわけです。例えば、売却して新居を購入する場合、自宅が売れなければ新居に充てる資金の目途が立ちません。もし、先に新居の購入契約を済ませてしまい、さらに期限内に売却できなければ、売却資金の代わりにローンを組まざるを得なくなるケースもあります。また、住宅ローンが返済できずに売却する方の場合、一刻を争う事態ですから長くなって良い事はひとつもありません。自宅以外の遊休資産の売主や、資金的に余裕のある方であれば、検討客が現れるまで時間を掛けてじっくり売却していくことも考えられますが、その場合でも、同じ物件情報が長く残っていると「いつまでも売れないのには何か問題があるのでは」とのマイナスイメージが付きやすくなります。情報が新鮮なうちは反響が集まりやすいため、相場の上限で売却できる可能性もあるのです。



 日本のレインズと異なり、売主の利益の実現、購入希望者への情報提供と内覧を早期に進めようとしている米国のMLS(Multiple Listing Service:日本のレインズに相当する全米約900地域で設立・運営されている組織)では、MLS事務所職員が物件囲い込みに関する苦情対応、現地確認を行っており、規則遵守を徹底するガバナンスが確立されています。物件囲い込み(ポケットリスティング)禁止と物件情報登録規則の厳格な運用を周知徹底しており参考になります。例えば、ワシントン州では、売主が不動産事業者と売買代理契約締結後48時間以内に不動産事業者がMLSに当該物件情報を登録しなければならず、その物件の処理状況(購入希望者からの依頼があるか、商談中か、市場に掲載され続けている物件か)を正確に表示しなければならないこととされています。シアトル地域のNWMLS(ノースウェストMLS)では、売主事業者が48時間以内にNWMLSの登録サイトに物件情報を掲載したことを監督するため、不動産エージェントが所属するブローカー会社に監督義務を課し違反が判明した場合罰金制を導入しているほどです。



 また、他の会員により報告がなされることも多く電話やメール等による通報に基づき監視(Policing)を徹底しています。NWMLSは全会員に物件案内用のキーボックスの販売と利用を義務付けており会員同士が物件の反響・問い合わせ状況を共有することができ、物件情報・案内状況がNWMLS会員全員に公開共有されているため、訴訟手続き前の組織内相互監視、苦情処理がキーボックスの利用で可能となっています。これまで会員内の内部通報で規則違反を確認することが多く、書面や電話、面会によって是正命令を行ってきましたが、過去五年間オンラインでNWMLS会員の不動産取引に関する問合せ・通報、NWMLS側から指導・命令ができるTransaction Deskの利用を呼び掛けており、現在75%の会員が登録を行っています。



 これにより、NWMLSの組織運営のコスト削減のみならず、不動産取引規則の是正効果にもつながっています。例えば、2015年度に登録会員にメールで是正指導(不動産物件表示内容の修正・物件囲い込みの中止命令・成約価格の期限内での登録等)を行った件数は29,565件で、是正措置が確認できたのが26,850件(91%の是正率)であったそうです。また、これらの運用ルールの厳格化、規則遵守の徹底は、業界内の指導、研修の充実により、長い年月をかけて取り組まれてきたことが分かっております。



 今回の改正事項である宅地建物取引業の業務の適正化及び効率化、すなわち「媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、当該媒介契約の目的物である宅地又は建物の売買又は交換の申込みがあったときは、遅滞なく、その旨を依頼者に報告しなければならないものとすること」について、この四月から施行されますが、是非とも売主・買主双方の消費者を保護するための本規定の趣旨・目的をご理解いただければと思います。



 その他、営業保証金・弁済業務保証金制度の弁済対象者から宅地建物取引業者を除外すること、従業者への体系的な研修の実施についての業界団体に対する努力義務については、本年四月から既に施行されています。



 昨年の改正宅建業法の施行が円滑に進められ、皆様方のご協力をいただきながら、不動産取引の安全確保、市場の活性化が実現されることを祈っております。

 会員の皆様の日々の業務である媒介契約、重要事項説明、契約締結の書面作成の変更が皆様の営業に大きく影響してくるかと思われますので、改めてのご確認とご対応をお願い致します。



4.改正法施行に当たっての留意点について

 改正法施行に当たっては、建物状況調査等に係る新たな制度の趣旨・内容について広く周知徹底を図るとともに、関係者が改正法の内容を円滑かつ適正に実施できるよう、環境整備を行うことが重要であるとの指摘がされています。このため、国土交通省においては、上記を踏まえた関係省令等の整備を行うとともに、関係する事業者団体等と連携しつつ、改正法の施行に向けて次のような取組を行うよう検討を進めるべきであるとされました。

 今後、以下の作業、公表等が行われるかと思いますので、ご確認、ご活用下さい。

・建物状況調査、既存住宅売買瑕疵保険についてのパンフレット等の作成

・建物状況調査を実施する者の検索システムの構築

・改正法の内容に係るQ&Aの整備 等



 最後に、国土交通省の社会資本整備審議会産業分科会不動産部会においては、これらの改正事項の施行に向けた運用面の議論のほか、増大しつつある空き家等への対応、不動産業における情報化への対応、適正な不動産管理の推進などについて今後も議論が行われていく予定ですので、皆さんもどうぞご確認下さい。

http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s203_hudousan01.html



 全住協会員の皆様の日々の業務にも大きく影響してくるかと思われますので、改めてのご確認とご対応をお願い致します。

第7回優良事業表彰受賞プロジェクトを決定

2017年5月1日 月曜日

 全住協は、3月24日に開催した理事会において優良事業表彰「優良事業賞」を決定した。この優良事業表彰は、優良なプロジェクト(事業及び企画・開発)を実施した会員を表彰することにより、良質な住宅供給及び住環境の整備を促進し、もって住宅・不動産業の健全な発展と会員の資質向上に寄与することを目的として実施している。

 会員各社より26プロジェクトの応募があり、現地調査を含め厳正な審査を行い、優良事業賞として以下の15プロジェクトを決定した。表彰は、6月6日に開催する定時総会で行う。なお、受賞プロジェクトの詳細については順次会報全住協等で紹介する予定である。



優良事業賞

【戸建分譲住宅部門(大規模)】

「スマートエコステージ東三国ヶ丘小学校前」 (株)サンユー都市開発

選評:JR堺市駅から徒歩8分という利便性の高い立地に計画された全64棟のプロジェクト。大阪府のPFI事業にJVで参画した。HEMSとダブル発電(エネファーム+太陽光発電)を全戸標準装備としたほか、分譲地中央には防災備蓄倉庫を設置するなど、環境に配慮し災害に強い街並みを実現した。相場より1,000万円以上高い販売価格にもかかわらず、1年9か月という短期間で完売したことも高く評価された。今後も増えるPFI事業への参画に大変参考となるプロジェクトである。


01スマートエコステージ東三国ヶ丘小学校前




【戸建分譲住宅部門(大規模)】

「マドレガーデン『ひよどり台南町』」 (株)マリンホーム

選評:JR三ノ宮駅から車で15分、神戸市北区の高台にある大型分譲団地内の点在地を一般競争入札により取得。区画が点在している難しい条件であったが、1棟ごとに異なる個性的なデザインと間取りを採用、元の街区に違和感のない街並みを作り上げた。「ママが喜ぶ家づくり」をコンセプトに母親目線の要望・意見を取り込み、ママが駐車しやすいオープン外構などの商品企画に反映させたほか、ZEH・床下冷暖房システムの導入などで光熱費を抑え、環境面にも配慮した。


02マドレガーデン「ひよどり台南町」




【戸建分譲住宅部門(大規模)】

「リストガーデンゆめまち」 リストデベロップメント(株)

選評:「子どもの夢を育む街」をテーマにした東北芸術工科大学との産学連携による長期プロジェクト。親子のコミュニケーション、自由な創造力に着目し、遊びを誘発させるカースペース、自然と人が集まるウッドデッキ、子供と家族のつながりを創出する家具「ツクルカベ」を設置したほか、分譲地の一角に遊び場ともなる「はらっぱ」を設け、子供の創造力を育むきっかけを生み出している。横浜市特有の傾斜地を40戸の住宅団地に仕上げる構想力・事業推進力も高い評価につながった。

03リストガーデンゆめまち




【戸建分譲住宅部門(大規模)】

「ワコーレノイエ 藤原台北町」 和田興産(株)

選評:街区内の道路をループ状の一方通行とし、その周りに住戸を配置、車両の交通を抑制することで居住者の安全を確保するとともに、道路を挟んで居住者がふれあいを生み出すランドスケープが素晴らしい。オープン外構を基本に、敷地境界に花崗岩を均等に並べ一体感を持たせている。外観は、建物デザインや色使いに変化を持たせ、上質な雰囲気を醸し出している。住戸内は対面キッチンとリビング内階段を標準とし、開放的なリビングを実現している。

04ワコーレノイエ 藤原台北町




【中高層分譲住宅部門(大規模)】

「レアシス新横浜 パークフロント」 ジェイレックス・コーポレーション(株)

選評:横浜市の市街地環境設計制度を活用した総合設計により、1階に店舗を設置し、公開空地を設けることで高さ制限を緩和、15階建ての建築が可能となり事業を成功に導いた。住戸の大半をあえて北西向きに配棟したことで、目の前に広がる公園の緑と日産スタジアムを一望できることとなり、購入者から高い評価を得て発売後10か月で早期完売を果たした。生ごみの減量を目指したディスポーザーの標準採用、一括受電や電気の見える化など幅広く省エネにも貢献している。

08レアシス新横浜 パークフロント




【中高層分譲住宅部門(中規模)】

「グローベル ザ・目白プレミアム」 (株)プロスペクト

選評:当初の計画から隣接地を追加買収したことにより、全住戸が南向きで低層住宅街に面した「目白×駅近×南向」の魅力溢れるプロジェクト。街並みに調和した外観デザイン、中庭に南国リゾートを感じさせる植栽を配し、うまくまとめている。断熱複層ガラスを全窓に採用し冷暖房効果を高め、共用部の全照明にLEDを採用、環境にも配慮している。住戸内は、浴室に酸素美包湯を採用するなど、女性目線の暮らしやすさをカタチにした設備仕様も好評で発売から7か月で完売した。


11グローベル ザ・目白プレミアム




【中高層分譲住宅部門(中規模)】

「DEUX-RESIA HIRAO(デュ・レジア 平尾)」 (株)ランディックアソシエイツ

選評:福岡市の中心に位置する立地特性を活かし、1LDK~4LDKの様々な間取りを用意した都市型分譲マンション。前面道路から玄関ホールまでの導線を屈曲させ、オブジェと銘板を設置、通りからの視線を遮断し、街の賑わいからプライベート空間へいざない、優雅な空間を演出している。外観ファサードやアプローチからエントランス、ラウンジに至るデザインには統一感がある。北向きのマンションであることが懸念されたものの、歩留まり19%で完売したことも評価された。

12DEUX-RESIA HIRAO(デュ・レジア 平尾)-2




【中高層分譲住宅部門(小規模)】

「デュフレベース赤堤」 (株)サジェスト

選評:法令や条例、形状や規模等によって住宅事業用地として難がある土地を高密度に開発、新たな付加価値を創造しながら事業収益性を確保した重層長屋建ての集合邸宅。外観デザインは、コンクリート打放しを基調とし、小たたき仕上げや杉板型枠仕上げなどソリッドで重厚感あるファサードなど独特の存在感を醸し出している。最大公約数的な消費者ニーズを狙わず、ターゲット趣向を限定して徹底的に作り込みを行い、購入者の満足度は極めて高い。

13デュフレベース赤堤-2




【中高層分譲住宅部門(ワンルーム)】

「STAGE GRANDE 亀戸 ASYL COURT(ステージグランデ亀戸アジールコート)」 (株)アーバネットコーポレーション

選評:5階部分までを1フロア3戸、6階以上は4戸という斬新な発想で日影規制をクリアし、専有面積を約140m2増床(一般的な企画より11.2%増)させたことが事業を成功に導いている。これにより新設杭を6本減少させ、工事費の圧縮につながるとともに、周辺マンションと一線を画す個性的なデザインとなっている。また、エントランスには透明感のあるガラスモザイクを採用、外部の緑をイメージした間接照明を計画し、明るく清潔感のある空間を生み出している。

14ステージグランデ亀戸アジールコート




【中高層分譲住宅部門(ワンルーム)】

「ガーラ・プレシャス川崎」 (株)エフ・ジェー・ネクスト

選評:JR川崎駅から徒歩9分という立地特性を活かし総戸数273戸のワンルームマンションをわずか5か月で完売した。外観はリズミカルな白黒グレーのモノトーン調、エントランスアプローチはブルーパールの石貼を基調とし、エントランスホールは和紙を合わせガラスで挟んだ光壁と御影石で構成、変化を付けた間接照明を配置し高級感と安らぎを演出している。また、住戸内のWI-FI接続環境や1階共用部でのフロントサービスなど居住者への上質なホスピタリティと手厚いサービスを提供している。

15ガーラ・プレシャス川崎-2




【不動産関連事業部門】

「T’s BRIGHTIA 南青山」 トーセイ(株)

選評:住居地域での商業ビルという難しい条件にもかかわらず、既存の街並みに合わせたボリューム構成、シンプルな佇まい、視覚的・物理的に建物を外に開きつなげることを設計思想とし、見事に実現している。大胆な事業用地取得、優れたテナント誘致、売却先の選定など幾重にもある高いハードルを克服し高利益を確保することに成功している。屋上と壁面の緑化、外観のライトアップにLEDを採用するなど環境面への配慮も評価できる。

18T's BRIGHTIA 南青山




【企画・開発部門】

「デュオセーヌ緑山」 (株)フージャースコーポレーション・ダイヤモンド地所(株)

選評: アクティブシニアをターゲットとし、天然温泉大浴場やレストラン、娯楽室などの共用施設が充実した所有権型の分譲マンション。高さ制限と容積率上限が厳しい中、敷地高低差を利用し共用部を地階に配置し、容積率緩和の規定を活用したほか、1階まで吹き抜け空間の解放感と採光を取り入れる工夫がある。高級住宅街ではあるがバス便という立地で、周辺相場より高い販売価格設定にもかかわらず、建物完成までに半数以上が成約となり、その後も順調に契約を重ねている。

19デュオセーヌ緑山




【企画・開発部門】
「アジールコート麻布十番」 (株)アーバネットコーポレーション

選評:売却先である海外投資家の意向を最大限に反映しながら設計を進めていく注文建築型投資用マンション。建物妻側の外壁には四丁掛けのレンガ調タイルを採用することで高級感を演出し、外構は花壇壁面にコブ石調御影石を貼り外壁と一体感を演出するとともに重厚感をより強調した。エントランス・住戸内ともに賃貸マンションとは思えないクオリティの高さを実現したほか、1階にコンビニエンスストアを誘致し収益性を高めることにも成功している。

20アジールコート麻布十番




【企画・開発部門】

「石巻テラス」 (株)フージャースコーポレーション

選評:東日本大震災による多大な被害を受けた石巻市における復興と中心市街地の活性化を目的とした「市街地再開発第1号」プロジェクト。万が一の津波に備えた計画とし、地上6mの位置に人工地盤を設け、上層に住戸エリア、下層に店舗と駐車場を配置した。外観もガラスとコンクリートでリズム感を出しシンプルな中にも洗練さを感じる仕上げとなっている。中心市街地に賑わいを取り戻す一歩として地元の期待は大きく、このプロジェクトの果たした社会的意義も高く評価された。

23石巻テラス




【リノベーション部門】

「リーヴァ海老園」 (株)ハウジングネットワン

選評:総戸数10戸の大手ゼネコンの社宅を見事に再生したプロジェクト。限られた予算内でエントランス等を最新設備に更新、外観や植栽にもこだわり中古特有の「古さ」を払拭した。住戸内も設備をエコキュート、IHクッキングヒーターへ取替えオール電化とし、毎月の光熱費試算表や電気プランも提案。環境面だけでなく購入者の経済面にも配慮している。購入者の予算や使い勝手に合わせた住設機器の選択、防音、断熱対策にもきめ細かく対応していることも高い評価につながった。


25リーヴァ海老園

景況感、金利動向など全てがプラス影響拡大
~国交省、平成28年度住宅市場動向調査、経済的要因プラスに影響

2017年4月28日 金曜日

 国土交通省がまとめた「平成28年度住宅市場動向調査」によると、住宅取得時において経済的要因が与えた影響度では、「景気の先行き感」、「家計収入の見通し」、「地価/住宅の価格相場」、「住宅取得時の税制等の行政施策」、「従前住宅の売却価格」、「金利動向」などすべての要因がプラスに影響し、昨年度と比べてもプラス影響が拡大している。特に「金利動向」が最も高く、昨年度と比較してもプラス影響が拡大している。



 住宅取得時における「世帯主の平均年齢」は、注文住宅(新築)と分譲戸建住宅、分譲マンションでは30歳代が最も多く、注文住宅(建て替え)とリフォーム住宅では「60歳以上」が5割程度で最多。中古戸建住宅、中古マンションでは「30歳代」と「40歳代」がそれぞれ3割程度で、民間賃貸住宅では「30歳未満」と「30歳代」がともに3割程度だった。平均年齢の推移では、いずれの住宅の種類についても昨年度から大きな変化はない。



 省エネ設備の整備率を従前住宅と比較すると、住宅取得時の「二重サッシ又は複層ガラスの窓」の整備状況は、注文住宅が74.6%と整備率が高く、分譲戸建住宅は61.3%、分譲マンションは50.4%だった。「太陽光発電装置」の整備状況は注文住宅で整備率は39.5%(前年度比▲4.2P)、分譲戸建住宅は15.1%(同▲2.0P)といずれも整備率は昨年度よりやや低下している。調査対象となった住宅の種別と概要は次のとおり。



[住宅の種別調査対象]

◇注文住宅=自分自身が居住する目的で建築した住宅◇分譲住宅=新築の建て売り住宅又は分譲を目的として建築された住宅◇中古住宅=新築後に他の世帯が居住していた住宅◇民間賃貸住宅=個人や民間企業が賃貸する目的で建築した住宅。ただし社宅などの給与住宅を除く◇リフォーム住宅=増築、改築、模様替えなどの工事を実施した住宅。



《調査結果の概要》

〈1世帯当たりの平均居住人数〉

◇戸建住宅:注文住宅、分譲住宅、中古住宅=4人◇マンション:分譲=3人、中古=4人◇リフォーム住宅=2人◇民間賃貸住宅=1人―がそれぞれ最も多い。



〈世帯主の年齢〉

注文住宅(新築)と分譲戸建住宅、分譲マンションでは、30歳代が最も多く、注文住宅(建て替え)とリフォーム住宅では「60歳以上」が約5割と最多。中古戸建住宅、中古マンションでは「30歳代」と「40歳代」がともに3割程度で、民間賃貸住宅では「30歳未満」と「30歳代」がともに3割程度だった。平均年齢の推移をみると、いずれの住宅の種類についても昨年度から大きな変化はない。



〈65歳以上の居住者のいる世帯の比率〉

◇リフォーム住宅=46.6%◇注文住宅=23.8%◇中古戸建住宅=19.8%◇中古マンション=17.4%◇分譲マンション=11.4%◇民間賃貸住宅=10.6%◇分譲戸建住宅=7.6%―の順。



〈世帯年収(税込)〉

◇分譲マンション=835万円◇注文住宅(全国)=690万円◇注文住宅(三大都市圏)=677万円◇リフォーム住宅=663万円◇中古マンション=650万円◇分譲戸建住宅=646万円◇中古戸建住宅=634万円◇民間賃貸住宅=491万円―の順。分譲マンションが最も高く平均で835万円、次いで注文住宅(全国)が690万円。最も低いのが民間賃貸住宅の491万円となっている。



〈住宅の建築、購入、リフォームに要した資金総額の平均〉

◇注文住宅(土地購入した新築世帯)=4194万円(自己資金比率30.9%)◇注文住宅(建て替え世帯)=3249万円(同64.0%)◇分譲戸建住宅=3810万円(同26.9%)◇分譲マンション=4423万円(同39.1%)◇中古戸建住宅=2693万円(同43.0%)◇中古マンション=2656万円(同48.7%)◇リフォーム住宅=227万円(同87.4%)



〈住宅ローンを有する世帯〉

◇注文住宅=51.7%、うち新築=55.8%、建て替え=28.3%◇分譲戸建住宅=65.1%◇分譲マンション=64.4%◇中古戸建住宅=53.9%◇中古マンション=48.7%。〈うち住宅ローン減税制度の適用を受けた世帯の比率〉◇注文住宅=90.8%◇分譲戸建住宅=82.6%◇分譲マンション=80.9%◇中古戸建住宅=73.3%◇中古マンション=62.3%―の順で多かった。



〈住宅ローン世帯の年間支払額の平均〉

◇注文住宅=142.0万円(返済負担率22.7%)◇分譲戸建住宅=116.3万円(同19.2%)◇分譲マンション=137.3万円(同18.0%)◇中古戸建住宅=94.9万円(同18.9%)◇中古マンション=98.9万円(同15.7%)。



〈住宅の建築(購入)にあたり影響を受けたこと〉

どの住宅タイプにおいてもプラス要因として影響を受けたのは、「景気の先行き感」、「家計収入の見通し」、「地価/住宅の価格相場」、「住宅取得時の税制等の行政施策」、「従前住宅の売却価格」、「金利動向」とすべての要因。特に「金利動向」が最も高く、昨年度と比較してもプラス影響が拡大している。



〈高齢者等対応設備の整備状況〉

高齢者対応設備として「手すり」「段差のない室内」「廊下などが車椅子で通行可能な幅」及び「全ての設備」の整備率は、注文住宅(建て替え)が最も高い。「浴室・トイレの暖房設備」は分譲マンションの整備率が最も高かった。2位以下では、「手すり」は注文住宅(新築)と分譲戸建住宅で整備率が高く、「段差のない室内」、「廊下などが車椅子で通行可能な幅」及び「全ての設備」は、注文住宅(新築)と分譲マンションで整備率が高い。「浴室・トイレの暖房設備」は注文住宅(建て替え)と分譲戸建住宅で整備率が高かった。また、従前住宅との比較では、賃貸住宅を除く全ての住宅の種類で、いずれの設備も従前住宅より整備率が高くなっている。



〈省エネ設備の整備状況〉

「二重サッシ又は複層ガラスの窓」は、注文住宅が74.6%と整備率が高く、次いで分譲戸建住宅が61.3%、分譲マンションが50.4%の順。「太陽光発電装置」は、注文住宅が39.5%、分譲戸建住宅は15.1%といずれも整備率は昨年度よりやや低くなっている。



〔URL〕http://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000116.html

【問合先】住宅局住宅政策課03―5253―8111内線39234