平成28年 年頭所感

一般社団法人 全国住宅産業協会

会長 神 山 和 郎



 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 東日本大震災の被災地では5度目の冬を迎えました。今なお約7万人の被災者が不便な仮設暮らしを余儀なくされています。一日も早い安定した居住環境の実現を願うものであります。

 我が国経済は、大企業を中心に企業収益が順調に伸び雇用状況も改善していますが、中小企業・小規模事業者や地方経済においては景気の好循環を享受するまでには至っておりません。また、一昨年4月の消費税増税後、依然として個人消費は伸び悩んでおり、景気回復は足踏みが続いています。

 住宅・不動産市場においては、建設資材や労務費が高い水準で推移していることと事業用地の取得難などから、住宅価格の上昇が不可避的となり、若年世帯層の住宅取得が困難な状況となっています。加えて、来年4月の消費税率10%引上げに伴う対応については、税負担増の緩和及び反動減対策として住宅ローン減税の拡充、すまい給付金、贈与税の非課税限度額を最大3,000万円とするなどの措置が講じられ、市場の安定化に資することとされていますが、契約に係る経過措置の適用期限により本年10月以降に契約し、来年4月以降に引き渡される物件は10%課税の対象となることから、10月以降の市場は、かなりの冷え込みが懸念されます。

 昨年12月、平成28年度税制改正大綱が発表になり、空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の創設、新築住宅に係る固定資産税の減額措置の延長、買取再販で扱われる住宅の取得に係る登録免許税の軽減措置の延長、不動産取得税の特例措置の延長などが実現したことは、住宅取得者の負担軽減を通じて、良質な住宅供給に寄与するものと期待されるところです。

住宅に係る消費税については、本来、恒久的な負担軽減措置として軽減税率の適用を強く要望するものですが、その実現が困難となった今、思い切った代替対策を講じることが必要であります。

 一方、省エネ住宅ポイントは昨年10月に終了し、住宅金融支援機構のフラット35Sの金利引下げ幅の拡大も本年1月29日に終了することとなっています。このため、良質な住宅ストックの形成を一層推進するためにも、同様の支援措置を改めて要望するものであります。

 現在、業界を取り巻く環境は、大きな転換期を迎えています。少子化・若年世帯対策、高齢者居住対策、空き家対策、省エネ性能向上対策等多くの課題への取り組みが求められています。いうまでもなく安全・安心で良質な住宅を供給することは、われわれ住宅供給事業者の責務であり、国民の豊かな住生活を実現するため、全力で取組んでまいる所存です。

 その一環として、昨年から無電柱化を推進するための活動を行っていただいていますが、こうした地道な活動を着実に行っていくことが重要であると考えます。

 全国の住宅供給の一翼を担う中堅企業の結集団体として、会員の英知と熱意を結集し、協会活動の充実に一層努めてまいりたいと存じます。会員ならびに関係の皆様方の倍旧のご支援とご協力をお願い申し上げます。

 最後になりましたが、皆様方のますますのご発展とご健勝を祈念申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

以 上 

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