地下鉄「水天宮駅」「茅場町駅」から徒歩4分のほか、5路線5駅から徒歩10分以内という利便性の高さながら、日本橋エリアの中でも比較的落ち着いた居住性の高いエリアである。新大橋通りから1本入った、3方道路に面した都心部にしては好条件の立地である。1区画の買収を皮切りに位置指定道路を含む11組25人の権利者の複数の敷地を取り纏めるという再開発のような事業となったが、中央区での弊社の分譲実績等が評価され事業に賛同をいただけた。中央区の地区計画制度の認定による割増を受け容積率は600% となった。日本橋エリアからの買い替え層をメインターゲットとして、構造・配棟・デザイン・スペック全てにおいてほかに劣るものがないよう丁寧に作り込むことを目指し、日本の起点として各地から集まった美意識と技術を一つ一つ紡ぎ、本物と呼べる商品づくりをコンセプトとした。

北向きは40㎡、56㎡の1LDK・2LDK中心、南東・南西向きは永住型の3LDK中心の住戸とした。内廊下設計やアウトフレームの柱・梁、ボイドスラブ、PS等の突出のない整形な空間、アルコーブを設けた玄関やH=2,300mmのハイサッシなど基本の構造体を充実させ、永住型にふさわしい商品とすることを目指した。五街道の起点として「道路と文化の交点」という日本橋をテーマに、外観デザインは、複数のボリュームが合わさった構成とした。かつて江戸幕府の大老屋敷があったこの地のDNAを意識し、アウトフレームの持つ重厚感に4階までの石貼でステータス性を持たせた。共用部のインテリアは、古きものを残しつつ新しく変化する日本橋にちなみ、壁一面に「組子格子」を配したエントランスアプローチ、折上げ部に「網代天井」を配したエレベーターホール、一からデザインを起こした特注の「江戸切子」のブラケット照明など伝統の手仕事を現代風にデザインした。高グロスの販売価格を意識し駐車場は全てLサイズとして23台分を確保した。200%確保した駐輪場については全て屋内とした。

日本橋地区では希少な80㎡超を中心としたプランが発売当初から注目された。30～40歳台の日本橋の賃貸マンション在住の会社員が最も多かったが、中央区居住のみならず広域からの購入者も約半数を占める。立地と商品の作り込みが評価され近隣住民からの紹介での契約も複数あった。地元からの買替えに関してはグローバル住販人形町仲介センターを活用し、高値売却と新築購入をサポートした。発売時ではエリア2番目に高い平均坪単価となり、日本橋エリアでは事例の少なかった1億円前後が販売中心価格となったが、むしろ条件の良い1億円超の住戸が発売から4か月でほぼ目途がついた。タワーマンションを敬遠する80㎡以上の希望者を取り込めたことが大きい。日本橋エリアに豊富に供給してきた経験を反映した商品化が評価され、弊社分譲済みマンションからの買替えもあった。