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AXAS 大森西 ASYLCOURT

(株)アーバネットコーポレーション

企画・開発部門

中板橋駅徒歩 1 分の木造密集地再開発事業。廃道を伴う開発行為でありながら、24 時間利用できる貫通通路を中央部に設置するなど、地域住民へ十分な配慮がなされている。店舗部分と住宅分譲部分の出入口を完全に分離させ、分譲マンション購入者への住環境確保に配慮した計画となっている。第 1 期と合わせて約 10 年という歳月をかけ、多数の権利者をまとめ上げ、事業を成し遂げたことは賞賛に値する。地元街づくりと駅前イメージ向上にも大きく寄与した、社会的意義の高い事業である。

事業コンセプト

開発の経緯 土地取得時点では、投資用ワンルームマンションの専有卸事業か、コンパクトマンションの開発分譲かを検討した結果、「大森町」駅から徒歩10 分で投資用ワンルームマンションではギリギリの距離でしたが、周辺の病院関係者の入居が期待できることから、当社のメイン事業である投資用ワンルームマンション専有卸し事業といたしました。本開発物件地は当初、都市計画道路・補助27号線(以下、計画道路)と平行して南北に長い敷地で、開発着手時は計画道路との境界線(敷地東面)は隣地境界線扱いであり敷地接道は北側区道5.3mのみでした。これは東京都が計画道路として設定した決定線と当該敷地との間に細長い都有地が残り、当該敷地と計画道路は直接接道していないことが原因でした。そこで東京都及び大田区等関係機関との度重なる交渉を行い、この細長い都有地を都市計画道路の一部と認めていただいた結果、土地取得時の容積が245%であった計画が最大(291%)まで容積を上げることができました。このことにより、隣地境界線である場合と比べワンルーム住戸が5 戸増、ほかに1 階部分に60 坪店舗を設けることができました。計画道路の交渉はスケジュールとの戦いでもありました。基本設計は東側敷地境界線を道路境界として認めていただく前提のプランと北側接道のみの2 通りのプランを同時進行させました。現地では既存建物の解体工事に際し都有地部分から工事利用させていただく交渉に成功するなど、都有地部分の道路利用としての実態を積み重ねました。都の計画道路の整備も同時進行していった結果、確認申請の提出直前に都有地部分を計画道路の一部として認めることができるとの判断をいただき、東側境界線を建築基準法42条1項道路に接道することとして確認申請を行いました。
店舗について 店舗計画については、バス停が建物の前にあり2つの道路からの視認性が高いことから、1階北側部分をコンビニエンスストアの出店を前提とした店舗計画としました。リーシングは株式会社ローソンとの出店交渉を当社で直接実施し10年間の誘致に成功しました。現在は店舗部分の全てをコンビニエンスストアとして営業していますが、間口3スパンを各々別に使用できるように設備配管しており、将来的に20坪程度の小店舗としても使えるようにフレキシブルな計画としました。
販売について 住宅部分はワンルーム販売会社に一括で専有卸しの契約を締結し、完成引渡から4か月間に売れた部屋から一戸ずつ引き渡す戸別決済方式により平成27年10月末に全戸販売完了しました。店舗部分はコンビニエンスストアの誘致成功を経て、高利回りが期待できる商品となったため、海外インバウンド向け商品として販売活動を開始し、直接台湾の個人資産運用会社に販売したことで大きな収益を上げることができました。

商品企画

外観デザイン ファサードデザインは当社のこだわりであるモノトーンでデザインしました。幹線道路に面するため、クルマの速度感を意識したデザインを取り入れ、細い白ラインを建物幅一杯にほどこし、単調にならない程度に縦ラインを入れて全体を整えました。街区が医療施設の影響で単調な白色であるのに対し、黒地に白ラインを入れることで周辺環境にも配慮しながら存在感も出るように工夫しました。
エントランスデザイン エントランスは周回して見ることができるガラスのモニュメントを動線脇に配置し、ミニ美術館のようなシンプルで洗練された空間造りを意識しました。「見つめる」と題されたガラスモニュメントは当社の提案により作品下部にブルーのLED照明を組み込み、廻りが暗くなるにつれて青色が強くなるようにセッティングし、時間の経過によって作品の印象が変わるように計画しました。
住戸の創り込みについて ワンルームの間取りは弊社実施の入居者アンケートの結果に基づいた収納計画を踏襲。季節物を丸ごと交換収納できるアッパーキャビネット、クローゼットはコート丈よりジャケット丈を多く収納できるように配慮した3枚扉仕様。洗面化粧台は合わせ鏡ができる2面鏡キャビネットや鏡扉を閉めたままでティッシュが取り出せる工夫など、弊社物件の入居者の多くが女性ということも考慮した創り込みを行っています。収納量は10年前の同じ面積の弊社開発ワンルームマンションと比べ収納容積がティッシュ箱800個以上のアップとなっています。ユニットバスは従来のユニットバス「1014」サイズとそれほど変わらない設置面積で、浴槽で足が伸ばせるように弊社で開発した「ユノバース」を導入し、他社物件との差別化を図っています。ワンルームマンションのキッチンは同業他社物件の多くが1200 サイズなのに対し、1350サイズキッチンを導入しております。また、調理スペースは1350サイズでも「まな板」を置くスペースが少ないことから、シンク形状に合わせてカットされ、本来は捨てられてしまう天板廃材を加工し、シンクの一部に着脱できるようにして調理スペースを拡大できるように工夫しています。住戸のカラーリングバリエーションを増やすための2色のフローリングカラーバリエーション、いくつかのタイプのワンルーム住戸にはユニークなウォークインクローゼット仕様住戸も取り入れ、賃貸付にも寄与する構成としました。区条例で設定されている40㎡以上のファミリー附置5住戸は全て最上階に配置しています。

事業成果

販売及び賃貸付について 販売については、周辺他社物件の平均分譲販売価格は当時約330万円/坪位でありましたが、本物件の分譲価格は365万円/坪とし、周辺相場より高く設定しましたが、販売は順調に推移しました。
賃貸付けについては、周辺他社物件の平均賃貸相場は約1.2万円/坪位でありますが、本物件は賃貸価格1.36万円/坪とし、周辺相場よりかなり高く設定しましたが、事業用地周辺にはワンルームマンション賃貸商品が少なかったこともあり、病院関係者を始め近隣の住民からの入居者で早期に満室稼働し、周辺の単身者の住環境の改善に寄与し、消費者ニーズにも適合できたものと考えられます。
街並みの形成について 物件西側には東邦大学医学部看護学科等の医療施設があることから、近接のバス停前にコンビニエンスストアを誘致できたことは、結果的に周辺の生活利便性とまちなみ整備に寄与する形となりました。また、本物件エントランスホールは広く歩道側に解放するデザインとしたことで、印象的なガラスのモニュメントとともに周辺環境と調和するモチーフとなりました。

物件概要

事業主名 株式会社アーバネットコーポレーション
現場住所 東京都大田区大森西4-17
企画設計 株式会社スタイレックス
施工者名 多田建設株式会社第一事業本部
工事竣工 平成27年6月3日

規模概要

敷地面積 784.98m²
延床面積 2,872.19m²
住戸面積 25.36~52.32m²
構造規模 RC造地上6階建
住戸総数 76戸

戸建分譲住宅部門

中高層分譲住宅部門

企画・開発部門