西台トーセイビル
トーセイ㈱
不動産関連事業部門
都営三田線西台駅徒歩2分にある築 18 年のオフィスビルを1棟購入した不動産流動化事業。都心からやや離れた立地でテナントを見つけるのが難しいエリアにもかかわらず、グレードの高い大臣認定建築物であった大規模の建物を仕入れた勇気にまず感銘を受ける。安易にスクラップアンドビルドを行うことなく、既存建物を活かしながらマーケットニーズに合致した最適なバリューアップを施し、一括テナントの誘致と売却先を同時に見つけた事業スキームは高く評価される。
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事業コンセプト
既存ビルの流動化は、当社の5事業のうちの不動産流動化事業の1つである。
既存ビルは、資産価値の劣化や時代価値に徐々に適合できなくなり、使われなくなるものも少なくないが、建物自体が堅剛で、耐用年の寿命が存続しているものも多くある。
当社は、これまでも中小既存ビル再生事業を展開してきている。既存ビルを現代的なマーケットニーズにフィットさせるべく、物件の潜在価値を発掘し、時代価値を最適化する再生プロセスの精度をいくつもプロジェクトを経て磨いてきた。本事業は、これまでのノウハウを活かしながら、さらに踏み込み、大規模案件に挑戦したものである。
本物件は、全館空室のビルであったが、竣工当時約100億の建築費をかけて建築された免震構造の建物であり、当社の既存ビル再生能力を活かすことで、求められる社会性や経済的合理性を鑑み、最適なバリューアップを見極めることでタイムリーに市場へ提供できた。
【環境配慮】
本件は、新築時に「風・光・緑」を取り込む非常に入念に練られた環境配慮設計がなされており、このインフラをスクラップアンドビルドせずに活かすことこそが最大の環境配慮策であった。
建物中央のアトリウムは通気棟の役割を持ち、中間期の通風を促し空調負荷の低減に寄与する。また、執務スペースには自然光とアトリウムからの拡散光が入るとともに高効率照明導入と自動制御により照明負荷を低減させている。敷地の4周には豊かな緑をふんだんに配置し、かつ屋上緑化を施すことで、街のクールスポットとして近隣の微気候良化に貢献している。
商品企画
物件の持つ潜在価値や商品価値を考え、公共性、社会性、快適性、経済合理性などを考慮しつつ、時代価値へ適合させ、社会に還元流通されるまでを一連の事業デザインとしている。
本物件は、空室ビルであったため、物理的な工事上の制約はなかったものの、大臣認定建築物であり工事における法的制約が高く、その中での改修工事計画策定と実施が求められた。この与条件を吟味し、それを逆手に、多様なニーズに対応できるように空間のフレキシビリティを重視したシンプルな空間価値を回復した。一方で、本物件が持つ優良な潜在価値であるにもかかわらず捨て置かれていた設備関連の機能回復工事に注力し、本物件を市場に再提供できるものとした。
結果的に、高機能かつ様々なニーズに柔軟に対応可能な商品となり、本物件のもつポテンシャルや潜在価値が市場に評価される商品となった。
事業成果
本物件は、多岐に渡る入念な出口戦略検討とそのための商品づくり(投資コストの見合い)が効を奏し、最終的に1棟丸ごとの賃貸と売却を同時に実現できている。
当社は、一般的には敬遠されがちな「大規模な空室状態の案件」につきビジネスの勝機を見出し、リスクを取り改修・再生案件における事業ノウハウを集積してきた。
本件は、平成10年に「第11回ニューオフィス推進賞」を受賞しており、インフラの仕様は最新ビルと比較しても何ら遜色ないかそれ以上の物であった。当社にて適切なメンテナンス・バリューアップを実施することで、商品としての時代価値回復をパフォーマンスよく図ることができた、好事例であると思料する。
物件概要
事業主名 | トーセイ株式会社 |
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現場住所 | 東京都板橋区蓮根3-17-1 |
企画設計 | トーセイ株式会社 |
施工者名 | トーセイコミュニティ株式会社 新三平建設株式会社 |
規模概要
敷地面積 | 11,085.50m² |
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延床面積 | 22,791.58m² |
住戸総数 | SRC造(一部RC造)地上6階地下1階建 |