デザインコンセプトは、「トラディショナルモダン」。
当社のワンルームマンションブランド「アジールコート」シリーズは、その時々の流行に左右されず、いつまでも建物価値が維持できるよう、基本的なデザインはモノトーンでまとめながらも、その地域の中で、当社らしさを認識できるデザインを追求しております。
台東区根岸は、昔ながらの街並み・建築物が残されている下町風情のある地域であることから、デザインに「和」のテイストを取り入れることといたしましたが、単に「和風」ではなく、当社らしいモダンデザイン建築と「和」の融合「トラディショナルモダン」を目指し、周囲の環境に自然に溶込む、風景の一部となる建物の構築を行いま
した。
周辺地域には集合住宅の供給が多く、好立地とはいえない条件もありましたが、都内の主要エリアへのアクセスが良好なことにより、賃貸需要は高いと判断し、事業化を決定しました。また、開発当初より、高い収益性を実現させるため、不動産ファンドへの一棟売却を事業目的と定め、開発規模・プランニングの検討を行い、事業を推進させたことが、事業の成功につながったものと考えております。

◇デザインへのこだわり◇
本物件のデザインコンセプトは「トラディショナルモダン」。計画地の近傍にある染物屋にヒントを得て、織物の伝統的な柄である「矢鱈格子（ヤタラゴウシ）」と「矢鱈縞（ヤタラジマ）」という2つの「和柄」をデザインのモチーフとして採用しています。
外観色彩には、日本の伝統色である「薄墨色」「銀鼠」「鈍色」といった白と黒を基本とし、挿し色に織物で親しみのある「藍鉄色」を用いることで、街並みとの親和性と環境への配慮を図りました。また、エントランスホールから続く街並みに配慮した「和」の庭園を道路に面させることで、古い江戸の街並みを想起させる工
夫をしています。

◇プラン・居住空間へのこだわり◇
台東区の条例に基づき、間取りプランは、25㎡の1DK形式60戸、40㎡の1LDK及び50㎡の2LDKのファミリー附置住戸30戸で構成されています。
25㎡住戸では、一般的なワンルーム住戸と同じ専有面積でありながら、当社独自の商品企画により、対面型カウンターキッチン、間仕切りのあるベッドルーム、単独トイレなど、当社が考える理想的な間取りを実現いたしました。また、当社オリジナル開発のユニットバス（ユノバース1114）は、ゆったりと足が伸ばせる浴槽となっており、居住者の快適性にこだわったファシリティを備えています。
さらに、床面積を増やすことなく収納力をアップするアッパーキャビネット、限られた空間の中で必要十分な調理が可能なオリジナルコンパクトキッチンなどを採用し、室内レンタブル比を最大限に上げる工夫を施しています。

本事業は、当初2筆の用地取得計画からスタートしましたが、不動産ファンドをターゲットとした事業規模の拡大を目指し、隣接地について最大8筆の追加購入パターンをプランニングして検証するとともに、地権者との交渉を重ね、最終的には当初2筆を含む計7筆の土地の買受けに成功しました。当初計画より工事単価も下がり、最適な開発事業計画を実現することができました。
建物計画は、中廊下の両側に住戸を振分ける形状を採用することで、平面的にコンパクトにまとめ、経済設計に努めると同時に、1部屋の間口を広くとり、25㎡の住戸では従来1Kの間取りが一般的である中、1DKの間取りを実現し、入居者のために快適な居住空間を確保いたしました。同時に、構造体のスリム化による施工費の圧縮にも成功いたしました。
居住空間においては、理想的な間取りの実現や住戸内のハード面やソフト面の充実を図ることで他社物件との差別化を行い、周辺相場よりも高い賃料設定ができるよう工夫を施しています。
事業規模を拡大し、立地・デザイン・居住空間などにこだわった本物件は、計画どおり着工早々に不動産ファンドへ一棟売却をすることができました。また、近隣物件より高い賃料設定でありながら、賃貸状況は好調と聞き及んでおり、マンションの購入者のみならず入居者に対しても、満足度の高い物件をご提供できたと考えております。