居住されるご夫婦と猫が健康で快適に永く住まうことと、居心地の良さを求めた住宅を計画しました。お施主様のご要望である仕切りを極力つくらないオープンな空間で、コンパクトながら解放感とくつろぎを感じることができる住宅です。
性能についてはコストバランスを考慮した上で仕様の選定を行い、建設地である福岡で求められる断熱性能をはるかに上回る断熱等級6以上としました。
床材は人も猫も足触りと歩き心地が良く猫が滑りにくく足腰の負担を軽減できる無垢を採用、傷や丈夫さも考慮して樹種はヨーロピアンオークとしました。無垢の自然温もりと蓄熱性を活かした体感的な温かさも感じることができます。
空間の心地良さと体感の心地良さを求めた夏涼しく冬暖かく過ごせる快適な住環境です。

建設地は北側接道で南側隣地の建物が北側に寄せて建築しているため、採光と日射の取得を考慮し南側に吹抜けと大開口を設け居室全体が明るく暖かくなるよう計画しました。
吹抜けに面する階段はオープン階段としデザイン性と開放性も考慮して手摺はフラットバーを採用しています。
オープン階段とフラットバーがキャットウォークの替わりにもなりますので、猫も楽しめるスペースとなります。
吹抜けの大開口は冬期の日射取得と夏期の日射遮蔽など熱のコントロールを考慮した窓の配置と軒の出・庇の設
置を行い南側以外の開口部はエネルギーロスを最小限とすべく極力窓を設けずにメリハリのある開口部の計画を行いました。2階をくつろぎの空間とすべく1階にダイニングキッチン、2階にリビングと就寝スペースを配置しLDKを上下階で分けて計画しました。

環境配慮

住まいの快適性と心地良さ、省エネ性能とのコストバランスを考慮して断熱等性能等級は6以上、HEAT20の基準G2グレード以上となるように窓と断熱材の仕様を選定しました。
開口部は高性能樹脂サッシの採用、床と屋根は高性能フェノールフォーム断熱材を充填、屋根は付加断熱として高性能フェノールフォーム断熱材を外張り、壁には高性能グラスウールの充填と付加断熱として高性能フェノールフォーム断熱材の外張りを行い、断熱等性能等級6を上回るUA値0.32の高断熱住宅としました。
また、断熱性能に加え気密性能もＣ値0.39で一次エネルギー消費量は太陽光除き47%の削減(BEI:0.53)と高気密・高断熱な省エネ住宅です。給湯器は環境配慮のためにも給湯と発電ができるエネファームを採用しました。換気システムはメンテナンスが容易なダクトレスタイプの熱交換型一種換気とし、快適な温度を保つことと、きれいな空気を24時間給気することで、環境面と健康面にも配慮した設備を採用しました。

弊社では昨年高性能な住まいづくりということで断熱等性能等級7以上(UA値0.25)、C値0.6の超高気密・超高断熱の住宅を計画しましたが今回は当時の反省点を活かした仕様の選定、納まりなどの検討や昨今建築資材が高騰する中でお施主様が希望する性能とのコストバランスを考慮した心地良く快適で省エネな住まいづくりを行いました。
夏は2階のエアコン1台で家中が温度差なく快適な空間、冬は無暖房でも上下階で温度差のない快適な空間で一時的に1階の床暖房を稼働させるだけでも1・2階共に1日中20℃以上を保てる暖かい空間になり猫も安心して暮らすことができるということで、気密・断熱などの性能面はもちろんコンパクトながらくつろぎを感じることのできる空間についてもお施主様から満足いただいております。
2025年の住宅の省エネ義務化や2030年の省エネ水準引上げ、2050年のカーボンニュートラルに向けた先進的な取組みとしても微力ではありますが、社会に貢献できたかと思います。