リーフコートプラス
株式会社荒井商店
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昭和63年から運営してきた中長期滞在型サービス付アパートメントからコンセプト型賃貸マンションへのリノベーション。基本コンセプトであるバイオフィリックに基づき、吹抜けで開放的な各階廊下欄干にツタ植物等を植栽し緑の回廊が空まで続く立体的な空間を創出している。また、ワークスペース、会議室、フィットネス、ストレッチスペース、専用カフェなどパブリック空間が充実しており、独自性のあるコンセプトを打ち立てることで建物価値を向上させ、周辺相場より高い賃料で入居率は順調に推移している。
画像ギャラリー
事業コンセプト
本物件は中期滞在型のサービスアパートメントとして新築し、昭和63年より運用をしてきたが、築年経過及びコロナ禍による利用低迷により運用の見直しが必要となった。取り壊して新築という選択もあったが、環境配慮の観点から既存建物に新たな価値を生み出して再利用することが時代の要請にあっていると考え、リノベーションを行うことを選択し、コンセプトの検討を進めた。
渋谷区により緑道整備計画の進むササハタハツ(笹塚・幡ヶ谷・初台)という地域特性、吹抜けの中庭構造や地下全体が共用部分という建物特性、コロナ禍での環境変化等の要素を勘案し、バイオフィリックデザインというコンセプトを採用することとした。築年を重ねる建物を植物の輝きで陳腐化させない技法として、また、魅力ある住環境としての価値の確立を目指している。
事業手法としては、社内にて部署横断プロジェクトを組成(15名)し、コンセプトの具現化を進めた。工事は、荒井商店が全体を監修する形でランドスケープ設計・照明デザイン、共用部分、専有部分、設備入替えを分離発注し事業に取り組んだ。
商品企画
1.デザイン
パブリック空間は緑を感じられる暮らしの実現を目指した。また、照度や色温度を自然光に近い環境に再現したライティングデザインを一部実装。コロナ禍で変化した働き方や生活習慣、利用価値に重きを置く世代に適した共用部機能を充実させることで「暮らし+α」を追求した。
[プライベート空間]
全80戸1R約27㎡。改修前は地下ランドリーのため、洗濯機置き場がなかったが、コロナ禍での衛生意識の
高まりもあり、居室内に新設した。1Rではあるものの水廻りを充実させ、料理を楽しめるキッチン(W1500)やバスタイムをゆっくり過ごせる浴室(1216サイズ)とした。
[パブリック空間]
コロナ禍で在宅勤務も増え、居室+αのある暮らしの実現。
・吹抜けの中庭空間
緑に囲まれたウッドデッキの中庭にソファを配置。各階廊下欄干にツタ植物等を植栽し、吹抜けの緑の回廊が空まで続く立体的な空間を創出した。
・ワークスペース
中心に植物を据え、囲む机やベンチを配置。照明は植物の生育も考慮して自然光に近い遷移をするように照度や色温度を自動的に調整している。
・フィットネススペース
健康な暮らしの実現のため、スミスマシン、バイク等を導入。バイクはバーチャルサイクリングに対応、世界中の人とレースをしながらトレーニング可能。ストレッチスペースも設けた。
・入居者専用カフェ
ソフトドリンクや軽食、酒類を提供。緩やかなコミュニティ形成の場としての役割を担う。
環境配慮
新築かリノベーションかという選択において、環境負荷を考慮して既存建物を再生する道を選択した。
基本コンセプトであるバイオフィリックデザインに基づき、明治神宮や多摩川上水に生育する植物を中心に94種類の植物を植え、暮らしの中に生物多様性の関わりをつくることで、入居者の心身の健康増進に寄与する環境を創出している。
共用部分の電力については非化石証書の購入による脱炭素の取組を実施。専有部、共用部ともにLED照明への更新や省エネエアコンへの入替え、節水型トイレの導入など配慮している。
事業成果
日本人は外国人に比べ築古を好まないという傾向があることからリノベーションのリスクもあったが、独自性のあるコンセプトを打ち立てることで建物価値を向上させ、相場賃料よりも高い価格で入居者の獲得に成功している。コンセプトの独自性については同業者からの評価だけでなく、テレビ局の取材申込みがあるなど、社会的に広く評価を受けている。
パブリック空間の充実度から自宅としてのニーズだけでなく、セカンドハウスとしての需要もあり、近隣や都内だけでなく全国各地から問い合わせや申込みを受けている。反響から今回のコンセプトが時代のニーズを捉えているものと考えている。契約者の中には新築物件や築浅物件からの移り住みの事例もあり、築古の不利を払拭する価値を付加することができた点は大きいものと考える。
物件概要
事業主名 | 株式会社荒井商店 |
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現場住所 | 東京都渋谷区幡ヶ谷2-3-4 |
企画設計 | 専有部分:三井デザインテック株式会社 共用部分:ジーク株式会社、スタジオテラ株式会社 |
施工者名 | 専有部分:三井デザインテック株式会社 共用部分:ジーク株式会社、東光園緑化株式会社、FIG Lighting Design Office |
規模概要
敷地面積 | 1,281.93㎡ |
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延床面積 | 3,072.75㎡ |
住戸面積 | 25.05~35.84㎡ |
構造規模 | RC造地上5階地下1階建 |
住戸総数 | 80戸 |