当該開発地は約100年のルーツを持つショッピングセンター「タカノ橋こうせつ」（広島市中区）が平成31年3月に閉鎖された跡地であり、タカノ橋商店街の地域再活性化も目的とし、集合住宅という形で大規模な完全民間単独での再開発による街づくりを実現した。
性質が異なる商店街と集合住宅が可能な限り馴染む仕掛けとして、商店街側間口約25mは公開空地同等の機能を持たせ、空間のつながりを演出した。
さらに当該空間は完全な外部空間となり、高低木の植栽を配置することで、アーケード内に開放感をもたらし、一階に店舗区画を設け、アーケード商店街としての役割を持たせることで存在を調和させ、周辺との協調も図った。
また、事業推進手法としてSPC（ソシオレジデンシャル合同会社）を利用した不動産特定共同事業法に基づく適格特例投資家限定事業として行い、地方都市における新しい民間単独再開発事業の実現を示した。

【デザイン】
街との一体感や建物が新たなランドマークとなることをメインテーマに、素材や配色を決定し南棟と北棟ではそれぞれの異なるデザインにより現代的でスタイリッシュな外観フォルムを形成している。
また、エントランスホールは2層吹抜けとしホテルのロビーを思わせる上質な空間を取り入れることにより、邸宅としての品位を感じさせる空間とした。

【プランニング・間取り】
現代のライフスタイルの多様化に伴って、単身者からファミリー層の住戸を階層ごとに分けて構成し、幅広い世代が集う多世代交流型の集合住宅として計画を行い、共用スペースにはホスピタリティを多数用意した。
住戸プランについては34タイプ188プランを用意し、二層空間を創出した立体ゾーニングプランのブリックス・キューブや空間をアレンジできるブリックス・ワンをメニュープランとして用意した。

【外構・駐車場】
外構については高低木や色鮮やかな灌木等を混植して、都心生活に緑のうるおいのある街づくりを心掛け、駐車場は高いセキュリティ性と機能性を備えた電動シャッターゲートを設けて、歩車動線の分離を図り安全性も担保した。

販売開始から23か月で177戸完売の実績からみると、商品特性（デザイン、プランニング、環境配慮等）や価格面においても一定の評価を得られたと考える。
立地特性上、商店街含め地域関係者と常に接触する中で、商店街の再活性化を期待する声も多い印象であり、建物竣工により約500人の居住が実現し今後の再活性化に大きく寄与できている。
消費者ニーズの対応としても、過去の実績から市内中心部での商品構成を熟考し、1R（29.85㎡）～3LDK（99.92㎡）の多様なライフスタイルに対応できた結果であり、同時に自社の空間プランナーによるプランアレンジメントを提案し、より細かな消費者ニーズに沿った商品提供が実現できている。