全国の全用途平均で平成27年以来6年ぶりに下落~国交省、令和3年地価公示、全国の住宅地は5年ぶり下落
国土交通省は、「令和3年地価公示」をまとめた。昭和45年の調査開始以来、今回で52回目を迎えた地価公示は、全国2万6000地点を対象に実施し、令和3年1月1日時点の地価動向として、次のような結果が得られた。
【全国の地価動向】
(1)地価動向
◇全国平均=「全用途平均」は平成27年以来6年ぶりに下落に転じた。用途別では、「住宅地」は平成28年以来5年ぶりに、「商業地」は平成26年以来7年ぶりに下落に転じた。
◇三大都市圏=「全用途平均」「商業地」は東京圏、大阪圏、名古屋圏のいずれも、平成25年以来8年ぶりに下落に転じた。「住宅地」は東京圏が平成25年以来8年ぶりに、大阪圏が平成26年以来7年ぶりに、名古屋圏が平成24年以来9年ぶりに下落に転じた。
◇地方圏=「全用途平均」「商業地」は平成29年以来4年ぶりに、「住宅地」は平成30年以来3年ぶりに下落に転じた。「全用途平均」「住宅地」「商業地」のいずれも、地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)では上昇を継続したが上昇率が縮小し、地方四市を除くその他の地域では「全用途平均」「住宅地」は平成31年以来2年ぶりに、「商業地」は平成30年以来3年ぶりに下落に転じた。
(2)特徴=令和3年地価公示の結果は、新型コロナウイルス感染症の影響等により、全体的に弱含みとなっているが、地価動向の変化の程度は、用途や地域によって異なる。昨年からの変化は、用途別では「商業地」が「住宅地」より大きく、地域別では三大都市圏が地方圏より大きい。大阪圏の「商業地」が最も大きな変化。
◇住宅地=1)取引の減少、雇用・賃金情勢が弱まり需要者が価格に慎重な態度となったことなどを背景に、全体的に需要は弱含み。2)中心部の希少性の高い住宅地や、交通利便性等に優れた近郊の住宅地で上昇が継続しているが、昨年より上昇が見られる地域の範囲が狭まっている。3)地方四市を始め地方圏の主要都市では、上昇の継続が見られる等、昨年からの変動率の変化は比較的小さい。
◇商業地=1)店舗やホテルの需要減退、先行き不透明感から需要者が価格に慎重な態度となったことなどを背景に、全体的に需要は弱含み。2)特に、国内外の来訪客増加による店舗、ホテル需要でこれまで上昇してきた地域や、飲食店が集積する地域では、比較的大きな下落。3)一方、三大都市圏の中心部から離れた商業地や地方圏の路線商業地など日常生活に必要な店舗等の需要を対象とする地域では、上昇地点も見られる等、 昨年からの変動率の変化は比較的小さい。
【都道府県別地価変動率(住宅地)】
◇変動率プラスの都道府県の数=20(令和2年)→8(令和3年)。今回プラスの8道県:北海道、宮城県、千葉県、福岡県、佐賀県、熊本県、大分県、沖縄県。
◇変動率マイナスの都道府県の数=24(令和2年)→38(令和3年)。
【都道府県別地価変動率(商業地)】
◇変動率プラスの都道府県の数=24(令和2年)→7(令和3年)。今回プラスの7道県:北海道、宮城県、千葉県、神奈川県、福岡県、熊本県、沖縄県。
◇変動率マイナスの都道府県の数=23(令和2年)→39(令和3年)。
地価公示とは、地価公示法に基づき、都市計画区域等における標準地の毎年1月1日時点の正常価格を国土交通省土地鑑定委員会が判定・公示するもの。公示価格は、一般の土地の取引価格に対して指標を与えるとともに、公共事業用地の取得価格の算定等の規準とされている。
地方圏は、三大都市圏(東京圏、大阪圏、名古屋圏)以外の市区町村の区域。三大都市圏は、首都圏整備法等に基づく政策区域に応じて、全国の市区町村の区域を区分したもの。
〔URL〕https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo04_hh_000001_00005.html
【問合先】不動産・建設産業局 地価調査課 地価公示室03―5253―8111内線30366、30353