当協会は、3月24日に開催した理事会において優良事業表彰「優良事業賞」を決定しました。この優良事業表彰は、優良なプロジェクト(事業及び企画・開発)を実施した会員を表彰することにより、良質な住宅供給及び住環境の整備を促進し、もって住宅・不動産業の健全な発展と会員の資質向上に寄与することを目的として実施しています。
第13回優良事業表彰には会員各社から20プロジェクトの応募があり、現地調査を含め厳正な審査を行い、優良事業賞として以下の15プロジェクトを決定しました。表彰は、6月6日の定時総会で行う予定です。なお、受賞プロジェクトの詳細については順次会報全住協で紹介する予定です。
優良事業賞
【戸建分譲住宅部門(中規模)】
「アエラス水戸市小吹町」 ケイアイスター不動産(株)
選評:建物の間口を工夫し、全ての邸宅に風と光を感じさせる全10戸を茨城県水戸市中心地に程近い新興住宅地に計画したプロジェクト。防犯面と開放感に配慮し、南側の区画は建物の間口を抑え、北側へ向かうほど建物間口が広がるデザインとし、最も北側の2区画は平屋とし、各棟の建物配置と合わせ、ギリシャ語で「風」の意であるアエラスの由来を実現している。販売方法にも工夫を凝らした結果、短期間での完売となり、今後の事業の発展性も期待できると高い評価を受けた。
【戸建分譲住宅部門(中規模)】
「シュプロス国分寺」 興和地所(株)
選評:三方道路と隣地が公園という全面開放な街区での、1区画125m2以上の全22区画のプロジェクト。中心に幅員5mの中央通りを造り、住まう人、訪れる人が集い・語らうコモンスペースとして利用できるように開発している。建物の外観デザインは自然との調和を考えた水平、垂直、円形の3つの新しいプレーリーデザインを織り交ぜ、一棟一棟の個性を出しつつバランスを考えたプランニングがされている。withコロナ対策としてエントランスクロゼットにサブ洗面を設置、抗菌・抗ウイルスのフローリング材を使ったことも購入者から評価された。
【中高層分譲住宅部門(大規模)】
「デュフレ横浜石川町」 (株)サジェスト
選評:「石川町」駅徒歩4分、山下公園や中華街に徒歩圏という好立地ながら、日本三大ドヤ街としてのマイナスイメージから永らく分譲マンションの供給がなかった「松影町」に誕生した全129戸のスタイルレジデンス。エントランスや周辺の電柱を移設し景観にも配慮している。ホテルライクの心地良さにこだわり、共用部のワーキングラウンジにはテレビ会議用テレブース、モニター付テーブル・ボックスシート、吹抜け空間に備えた大型ソファー等様々な働き方に対応した結果、周辺のネガティブ評価を覆し、資料請求約2,390件、総来場580件と高い人気で完売した。
【中高層分譲住宅部門(大規模)】
「ソシオ大手町 T-SQUARE」 (株)GAパートナーズ
選評:事業推進手法としてSPCを利用した不動産特定共同事業法に基づく適格特例投資家限定事業として行い、地方都市における新しい民間単独再開発事業を実現した。建物は商店街との一体感や街の新たなランドマークとなることをメインテーマにスタイリッシュな外観フォルムを形成し、2層吹抜けのエントランスホールはホテルのロビーを思わせる上質な空間となっている。また、多様なライフスタイルに対応するため1R~3LDKの34タイプ188プランを提案し、建物竣工により約500人が居住することとなり地域の活性化にも大きく寄与している。
【中高層分譲住宅部門(大規模)】
「ヴェレーナグラン赤羽北フロント」 大和地所レジデンス(株)
選評:「北赤羽」駅周辺は工場エリアのイメージが強く、各駅停車駅という弱みもあった。このため、ハイグレードシリーズに相応しい素材やテクスチャの細部にまでこだわり、ガラスの煌めきとコーニス照明を配した特徴的で魅力のある外観とした。最上階ペントハウスや3階の床スラブを二層に構成し住戸の約半分の面積を床下収納層(収納率58%)とした「スキレージ(スキップフロア&ストレージ)」等、多様な顧客層に訴求したプランを用意した。その結果、販売開始までの5か月間で約1,000件の反響を獲得し、全89戸を6か月で完売した。
【中高層分譲住宅部門(中規模)】
「グランフォーレ日吉レジデンス」 (株)コーセーアールイー
選評:福岡県南部地区の中心都市である久留米市のJR線もアクセス可能な、西鉄天神大牟田線「西鉄久留米」駅徒歩11分に位置するファミリーマンション。南面の開放感を活かした全戸南向きの2LDK~4LDKを主体としたワイドスパン住戸で構成され、断熱等性能等級4を取得し、屋上には外断熱工法を採用して居住部分の快適性を向上させていることと合わせ、利便性に優れた立地であり市内でも人気の高い学区であることが、高い歩留まりとなり、高評価となった。
【中高層分譲住宅部門(中規模)】
「モントーレ室見ステーションスクエア」 西武ハウス(株)
選評:外観の色や質感を下層階と上層階で分け、19階建ての圧迫感を軽減させつつ重厚感のあるデザインとし、幹線道路沿いの歩道に自然石積の植栽帯を設けることで街並みに安らぎを持たせるよう配慮している。4タイプ中3タイプにウォールドアを採用、住まわれる方の視点に立ち様々なライフプランに対応できる間取りプランとした。消費者ニーズをうまくつかみ、福岡市地下鉄空港線「室見」駅まで徒歩1分の利便性に優れた立地でありながら自然の豊かさも実感できる住環境も相俟って、来場歩留まり約35%、3か月で早期完売した。
【中高層分譲住宅部門(中規模)】
「ベルシード上野松が谷」 (株)ベルテックス
選評:東京メトロ日比谷線「入谷」駅徒歩5分に位置する投資ワンルーム住戸がメインのマンション。借地権者との等価交換に加え、当初の計画では街区を分断し街並みに良くないこともあり、隣接地の買い増しによって権利調整を図ったことにより、29戸から64戸への事業規模の拡大と容積率360%から600%への向上を実現した。合わせて、予算の余裕が出たことにより、建物仕様もグレードをあげ、ファミリーマンションに見劣りしない外観・内装・仕様となったことも評価された。
【中高層分譲住宅部門(中規模)】
「ミオカステーロセンター南III」 山田建設(株)
選評:公共施設が集中し、生活の利便性も高く人気のエリアである横浜市営地下鉄「センター南」駅徒歩2分に位置する総戸数67戸のファミリーマンション。東側住戸を70~80m2台、西側を50~60m2台の住戸で構成することで間取り・価格にバリエーションを持たせ、ファミリー層向けに食器棚やウォークインクローゼット等の収納スペースを充実させた。店舗部分に常設モデルルームを設置し、周辺2物件の販売事務所として併用することでコストを削減、周辺相場より高い価格設定にもかかわらず、高い利益率で完売したことが高評価となった。
【中高層分譲住宅部門(ワンルーム)】
「レジデンス文京春日」 (株)アーバネットコーポレーション
選評:35坪の用地取得からスタートし、時間をかけて隣地所有地を説得し最終的に57坪の敷地として事業を推進することができ、利益率も大幅に向上した。外観デザインは逆梁を全面に出し、上下化粧リブを設けることでリズミカルな印象を出している。また、エントランスは、壁面の下側に間接照明を配置し床にスポット照明を設け、視線を足下に誘導することにより圧迫感や窮屈さを感じさせないデザインとなっている。難易度の高い都心部の狭小異形地での成功事例として模範となる作品である。
【中高層分譲住宅部門(ワンルーム)】
「SYFORME HIGASHI-IKEBUKURO」 (株)シーラ
選評:東京メトロ有楽町線「東池袋」駅徒歩4分の再開発が進むエリアに位置する1人暮し・DINKSに対応したマンション。「不燃化促進(木密地域の解消)」と「資材高騰下での事業生産性向上」を“自社施工”(第一号物件)という選択肢で解決を図り、道路条件の難点を近隣説明を普段より丁寧かつ回数を大幅に増やすことで克服。全面コンクリート打放しとモノトーンで構成された都会的なファサードとコンクリートスラブとマリオンで縦横に分節し奥行を強調させた存在感のあるデザインも評価された。
【不動産関連事業部門】
「ソラトカゼト 西新井」 (株)リブラン
選評:「空を感じ、風が通る。体温が伝わり、会話が生まれ、笑顔になれる」という思いを込めたネーミングの東武伊勢崎線「西新井」駅徒歩3分に位置する商業施設。駅と西新井大師を結び、南北で戸建住宅群と大型マンション群を二分するさくら参道に接している。将来の区割り変化にも対応でき、また将来のテナント入れ替え時にも大掛かりな工事が不要となる等の配慮をした構造体とし、南面はガラス張り、屋根素材にもこだわった外観と高い収益性が評価された。
【戸建注文住宅部門】
「ジョイナス高宮4丁目4番街区No.4T様邸」 九州八重洲(株)
選評:住まいの快適性と心地良さ、省エネ性能とのバランスを考慮した断熱等級6を上回るUA値0.32の高断熱住宅。C値も0.39で一次エネルギー消費量は47%の削減(BEI:0.53)とした。夏は2階のエアコン1台で、冬は無暖房でも上下階で温度差がなく、一時的に1階の床暖房を稼働させるだけで終日20度以上を保て、猫も安心して暮らせる暖かい空間となっており、施主の満足度は非常に高い。2030年の省エネ基準引上げ、2050年カーボンニュートラルの実現に向け着々と準備を進めており、国の省エネ施策を大きく先取りした素晴らしいプロジェクトである。
【企画・開発部門】
「マスターズマンション吹田千里丘 中楽坊」 ハイネスコーポレーション(株)
選評:日本の超高齢化社会を見据え、元気に楽しく自由に暮らすことができるシニア向け分譲マンション。「五感の庭園」をコンセプトに広大なナチュラルガーデンを創造し、瑞々しい緑や花の色・香り、せせらぎの音や木々に集まる鳥の声など五感に心地良い刺激を受けることができる。また、レストランでの入居者同士やシェフとのふれあい、ラウンジや天然温泉のある大浴場の設置、入居者による自主サークル活動の支援など孤立を防ぎ、健康長寿のためのきめ細かい配慮がなされている。
【企画・開発部門】
「リーフコートプラス」 (株)荒井商店
選評:昭和63年から運営してきた中長期滞在型サービス付アパートメントからコンセプト型賃貸マンションへのリノベーション。基本コンセプトであるバイオフィリックに基づき、吹抜けで開放的な各階廊下欄干にツタ植物等を植栽し緑の回廊が空まで続く立体的な空間を創出している。また、ワークスペース、会議室、フィットネス、ストレッチスペース、専用カフェなどパブリック空間が充実しており、独自性のあるコンセプトを打ち立てることで建物価値を向上させ、周辺相場より高い賃料で入居率は順調に推移している。