全国の地価動向は全用途平均で3年連続上昇~国交省、令和6年地価公示、三大都市圏では上昇率が拡大
国土交通省は、「令和6年地価公示」をまとめた。全国2万6000地点(うち、福島第一原子力発電所の事故の影響による6地点で調査を中止)を対象に、令和6年1月1日時点の価格を調査した結果、1年間の地価動向として、次のような結果が得られた。なお、令和6年1月1日午前0時以降に発生した能登半島における地震の影響は反映されていない。
【全国の地価動向】
1.地価動向
◇全国平均=「全用途平均」「住宅地」「商業地」のいずれも3年連続で上昇し、上昇率が拡大した。
◇三大都市圏=「全用途平均」「住宅地」「商業地」のいずれも3年連続で上昇し、上昇率が拡大した。東京圏、名古屋圏では、「全用途平均」「住宅地」「商業地」のいずれも3年連続上昇し、上昇率が拡大した。大阪圏では、「全用途平均」「住宅地」は3年連続、「商業地」は2年連続で上昇し、それぞれ上昇率が拡大した。
◇地方圏=「全用途平均」「住宅地」「商業地」のいずれも3年連続上昇した。「全用途平均」「商業地」は上昇率が拡大し、「住宅地」は前年と同じ上昇率となった。地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)では、「全用途平均」「住宅地」「商業地」のいずれも11年連続で上昇した。「全用途平均」「住宅地」は上昇率が縮小したが、「商業地」は上昇率が拡大した。地方四市を除くその他の地域では、「全用途平均」「住宅地」「商業地」のいずれも2年連続で上昇し、上昇率が拡大した。
2.全体的な特徴=全国の地価は、景気が緩やかに回復している中、地域や用途により差があるものの、三大都市圏・地方圏ともに上昇が継続するとともに、三大都市圏では上昇率が拡大し、地方圏でも上昇率が拡大傾向となるなど、上昇基調を強めている。
3.個別の特徴
◇住宅地=(1)都市中心部や、利便性・住環境に優れた地域などでは住宅需要は堅調であり、地価上昇が継続している。(2)三大都市圏や地方四市の中心部における地価上昇に伴い、周辺部においても上昇の範囲が拡大しており、特に地方四市の周辺の市等では、高い上昇となった地点が見られる。(3)鉄道新路線等の開業による交通利便性の向上などを受け、上昇率が拡大した地点が見られる。(4)外国人にも人気の高いリゾート地では、別荘やコンドミニアムなどの需要が増大し、高い上昇となった地点が見られる。
◇商業地=(1)都市部を中心に、人流回復を受けて店舗需要の回復傾向が続いたほか、オフィス需要も底堅く推移したことなどから、地価の回復傾向が進んでいる。(2)再開発事業等が進展している地域では、利便性や賑わいの向上への期待感などから、地価上昇が継続している。(3)インバウンドを含めた観光客が回復した観光地や、人流回復が進む繁華街では、地価の大幅な回復が見られる。(4)都市中心部の交通利便性等に優れた地域では、マンション需要との競合により、高い上昇となった地点が見られる。
◇その他=(1)大手半導体メーカーの工場が進出する地域では、関連企業も含めた従業員向けの住宅用地等の需要のほか、関連企業の事務所用地等の需要も旺盛となっており、住宅地、商業地、工業地ともに高い上昇となっている。(2)eコマース市場の拡大を背景に、大型物流施設用地等に対する需要が旺盛となっており、高速道路等へのアクセスが良好な工業地では、高い上昇となった地点が見られる。(3)地方部を中心に、人口減少の進展などにより、引き続き地価が弱含んでいる地点が見られる。
【都道府県別地価変動率(住宅地)】
◇変動率プラスの都道府県の数=24(令和5年)→29(令和6年)。今回プラスの29都道府県:北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、石川県、長野県、愛知県、三重県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、沖縄県。※下線は前年の横ばい・下落から上昇に転じた県。
◇変動率マイナスの都道府県の数=22(令和5年)→17(令和6年)。
【都道府県別地価変動率(商業地)】
◇変動率プラスの都道府県の数=23(令和5年)→29(令和6年)。今回プラスの29都道府県:北海道、宮城県、秋田県、福島県、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、石川県、福井県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、岡山県、広島県、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、沖縄県。※下線は前年の横ばい・下落から上昇に転じた県。
◇変動率マイナスの都道府県の数=23(令和5年)→15(令和6年)。
〔URL〕https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo04_hh_000001_00042.html
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