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新築集合住宅における電気自動車等用充電設備の積極的な設置について

 経済産業省及び国土交通省から以下のとおり周知依頼がありました。

 電気自動車等用充電設備の整備については、2050年カーボンニュートラル実現に向けて、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(2021年6月改定)において、「公共用の急速充電器3万基を含む充電インフラを15万基設置(遅くとも2030年までにガソリン車並の利便性を実現)」等が目標とされていることを踏まえ、「規制改革実施計画」(令和5年6月16日閣議決定)において、「経済産業省は、必要に応じ国土交通省の協力の下、経路充電、基礎充電、目的地充電に係るEV用充電器の整備に関するロードマップを策定する」「新築集合住宅を供給する事業者に対し、自社が供給する物件へのEV用充電器の積極的な設置について要請文書の発出等を行う」とされました。

 これを踏まえ、経済産業省では令和5年6月に「充電インフラ整備促進に関する検討会」を立ち上げ、集合住宅や月極駐車場、高速道路SA/PA、商業施設等における電気自動車等用充電設備の設置について、各設置場所における課題を整理した上で、「充電インフラ整備促進に向けた指針」(令和5年10月)において、我が国全体として2030年に向けて「公共用の急速充電器3万口を含む充電インフラ30万口の整備を目指す」とした上で、各設置場所における目安を設けました。集合住宅等における基礎充電については、2030年における設置数の目安として、「集合住宅や月極駐車場等(いわゆる基礎充電)として、10~20万口とする。これにより、集合住宅におけるEV・PHEVユーザーの基礎充電充足率(集合住宅に住むEV・PHEVユーザーのうち、充電を住宅内で可能なユーザーの割合)10%以上を目指す」こととしたところです。

 新築の集合住宅の場合、既築の集合住宅に比して設置に伴う合意形成が容易であるケースや工事費用が少ないケースが多いと考えられることから、この目安を実現するためには新築の集合住宅における電気自動車等用充電設備の設置を進めることが特に重要であると考えられます。つきましては、貴団体におかれましては、集合住宅における電気自動車等用充電設備の設置のさらなる推進のため、このたびの趣旨についてご理解いただき、貴団体傘下の新築集合住宅を供給する各社に対し以下を周知いただきますようよろしくお願い申し上げます。

1.新築の集合住宅を供給する事業者においては、上述の背景を踏まえ、新規に供給する集合住宅の駐車場への電気自動車等用充電設備の積極的な設置に向けた対応を行うこと
 なお、入居者(入居予定者及び入居検討者を含む。)の電気自動車等用充電設備に対する需要の動向、特に集合住宅で必要となる充電制御システムやその設置・管理等を一式で担う充電サービス等の普及・一般化の動向、多類型の機械式駐車場へ設置可能なEV用充電器及び機械式駐車場に係る設備の技術進展や設置費用等の動向、政府や各自治体における設置目標や設置に係る支援等の取組、駐車スペースの確保の見通し等を踏まえつつ対応を行うものとする。

2.1.の対応を進めるに当たり、新規に供給する集合住宅の駐車場への電気自動車等用充電設備の設置目標及び設置方針(以下「設置目標等」)の設定及び公表について、各社において可能な範囲で検討を行うこと
 なお、設置目標等の設定及び公表に係る期限は指定しないが、設置目標等の設定を行った場合には、各社ホームページ等における対外的な公表を検討すること。
 また、設置目標等の内容及び形式についても指定しないが、例えば、「今後開発する分譲マンションにおいて、EV用充電器(コンセント)の整備率を全駐車区画の○%とし、追加的に充電器の設置が可能となる配管の整備率を全駐車区画の○%とすることを原則とする。ただし○○については○○等の状況をかんがみ対応可能な物件より順次適用する」等が考えられる。
※「電気自動車等用充電設備」とは、電気自動車(搭載された電池によって駆動される電動機のみを原動機とし、内燃機関を併用しない検査済自動車)及びプラグインハイブリッド自動車(搭載された電池によって駆動される電動機と内燃機関を原動機として併用し、かつ外部からの充電が可能な検査済自動車)(以下「電気自動車等」)に充電するための設備であって、以下に掲げるものをいう。

 (1) 急速充電設備
 電源から充電用の直流電力を作り出す電源装置及び電気自動車等に搭載された電池への充電を制御する機能を共に有する、一基当たりの定格出力が10kW以上のもので、充電コネクター、ケーブルその他の装備一式を備えたもの。

 (2) 普通充電設備(充電ケーブル搭載タイプ)
 漏電遮断機能及びコントロールパイロット機能を有する、一基当たりの定格出力10kW未満のもので、充電コネクター、ケーブルその他の装備一式を備えたもの。

 (3) 普通充電設備(コンセントタイプ)
 電気自動車等に附属する充電ケーブルを接続する200V対応の電気自動車等専用のプラグの差込口。

 (4) V2H充放電設備
 電気自動車等から電力の取出し及び電気自動車等に充電する装置で、電動車両用電力
供給システム協議会規格「電動自動車用充放電システムガイドラインV2HDC版」に基づく検定(CHAdeMO V2H protocol認証)に合格しているもの。

 (5) 配管設備等
 集合住宅における受電設備から電気自動車等用充電設備まで電気を供給するための配管設備等。
 なお、「電気自動車等用充電設備」の設置方法には、電気自動車等を所有する居住者が専用使用する駐車場に充電設備を設置方法や、空いている駐車場に共用の充電設備を設置する方法など、様々な方法があるが、本通知における「電気自動車等用充電設備」は、設置方法を問わないこととする。

【参考資料】
(1) 「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(2021年6月改定)
 [URL]https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/ggs/index.html

(2) 「規制改革実施計画」(令和5年6月16日閣議決定)
 [URL]https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/p_plan.html

(3) 「充電インフラ整備促進に向けた指針」(令和5年10月18日)
 [URL]https://www.meti.go.jp/press/2023/10/20231018003/20231018003.html