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第12回定時総会を開催

 当協会は、6月4日にホテルニューオータニ「麗の間」において「第12回定時総会」を開催した。
 総会では、委任状を含め268社の出席があり、「第1号議案 令和5年度事業報告及び監査報告の件」「第2号議案 役員補選の件」を全会一致で承認し、「令和6年度事業計画及び予算の件」の報告を行った。
 この後、優良事業表彰、優秀社員・優秀技能者表彰を行い、馬場会長から表彰状と記念品が授与された。受賞者は以下のとおり。
 引き続き行われた懇親パーティーでは馬場会長の挨拶の後、斉藤国土交通大臣、菅前内閣総理大臣など多数の来賓の方々から祝辞をいただいた。(以下に馬場会長挨拶要旨並びに斉藤国土交通大臣祝辞要旨を掲載。)懇親パーティーには当協会会員のほか、国会議員、官公庁・友好団体関係者など約600名の出席があった。

[馬場会長挨拶]
 本日はご多忙の中、全国からご参集の会員はもとより、斉藤国土交通大臣、菅前内閣総理大臣を始め、国会議員、政府関係機関、友好団体の皆様など多数のご参加をいただき誠にありがとうございます。
 さて、日本を除く主要な国々の平均給与は軒並み上昇している一方で、日本だけが平成以降ずっと横ばいを続けております。住宅価格について見ますと、平成元年から近年まで全国おしなべてほぼ横ばいで推移してきた間に、欧米各国では賃金水準と比例する形で上昇し続けており、海外の投資家目線では日本の新築価格が非常に割安であるのは間違いありません。コロナ禍以降の人の動きと円安にも刺激された結果、大都市圏でのマンション価格は海外基準の相場観に引きずられる形で一気に跳ね上がっております。低金利と値上がり期待の市場環境から、国内の富裕層にとっても格好の投資材料であり、足元でのマンション価格はいわゆる実需に基づく神の手ではなくて、まさに投資対象としての利回りから形成されたものと判断せざるを得ません。資源高や人手不足によるコストの増加要因はあるものの、それ以上に、より大きな投資効果が期待できる志向が定着しており、価格高騰のスパイラル現象は止まりません。その結果、今よりは少しでも良い住環境を求めたいと願う多くの庶民は完全に蚊帳の外に置かれております。どうしたら市場を正常に戻すことができるのか。ひょっとすれば金利のある世界が投資環境を変える可能性はありますけれども、もしそうだとすればその先にはしっかりとした政策支援で実需をサポートする必要があります。我々事業者としても潜在化してしまった多くの消費者のニーズに応えるために、何とか知恵を絞って庶民が適正な価格で住宅を取得できるような市場を回復させる努力が欠かせません。これに関連して、今年の秋頃から新たな住生活基本計画の見直し作業が始まると聞いており、住空間のあるべき姿をもう一度根本から見直す、見つめ直す機会と捉えております。
 戦後から間もなく80年、人間に例えますと後期高齢者であり、まさに「終活」に向き合う時期です。焼け野原からひたすらに作り上げてきた街並みは全国至る所で綻びが生じており、都心部で再開発が進んでいるエリアはいざ知らず、多くの住宅は老朽化が進み、空き家も一気に増加しております。これらの有効利用を促進することも大きな課題ではありますけれども、一方で手が届かなくなってしまった新築住宅を諦めさせるためという消極的な理由だけで、住環境の劣る中古を若い世代に押し付けるのは全くの筋違いであります。年金負担と同様、次世代にも納得のいく将来像が求められており、人口減少に見合ったダウンサイズ、事前復興を視野に入れた国土強靭化、外部空間も含めた環境性能の向上、こういった課題はいずれも建物単体だけではなく、その受け皿となる都市計画や土地利用と直結していますし、何よりもこれからの日本を支える若者たちや子育て世帯にとって生きがいのある生産性の高い職場環境を提供し、そして小さくてもいいから自分たちの家を持って生活設計の基盤としたい、こうした思いに応えることが何よりも肝心なところではないでしょうか。半導体など最先端産業の誘致による地域振興の成功事例もあります。また、震災復興のあり方についても工夫が求められております。農業や水産業も含めてあらゆるものづくりの視点から国土利用の最適解を見つけ出す、我々の事業はまさに政策産業の一角を成しております。
 当協会と会員の使命は、全ての国民が適正な負担で良質な住宅を取得できる環境づくりとバリエーション豊かな住空間を提供することで社会に貢献していくことにあります。住宅税制につきましては積み残しの案件もありますし、根本から見直しが必要な案件もあります。本日ご臨席いただいております諸先生方関係各位の方々のなお一層のご理解とご尽力を賜りますよう、この場を借りてお願いを申し上げます。
 結びに当たりまして、ご参集の皆様方のますますのご支援とご協力を重ねてお願い申し上げ、この懇親会の場におきまして忌憚のない意見交換や活発な交流ができますことを祈念して挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。

[斉藤国土交通大臣祝辞]
 全国住宅産業協会の皆様には、カーボンニュートラルの実現に向け、省エネ性能の高いZEH等の住宅の普及や既存住宅の省エネ改修に取り組んでいただいており、住宅ストックの質的向上に貢献いただいていることに感謝申し上げます。
 さて、我が国においては人口減少・少子高齢化が進む中、住宅分野においても多くの課題が山積しております。今後の住宅政策では、長期優良住宅など高い性能の住宅への新築建替え、リフォームによる性能向上、空き家対策といった施策を総合的に推進し、将来世代に継承するにふさわしいストックを形成し、また、循環するシステムを構築する必要があります。来年4月には改正建築物省エネ法がスタートし、原則全ての新築住宅について省エネ基準への適合が義務付けられます。国土交通省においても、住宅ローン減税や子育てエコホーム支援事業などによりまして、しっかりと良質な住宅投資を下支えしてまいります。一方、4月に公表された統計では全国で空き家が約900万戸に達するなど、既存ストックの有効活用も求められております。昨年末に施行された改正空き家法により、空き家対策を着実に進めていくとともに、今国会で成立した住宅セーフティネット法により、賃貸住宅ストックを活用した住宅セーフティネット機能の強化に係る施策を総合的に進めてまいります。さらに、老朽化が進むマンションの管理や再生も重要な課題であり、法務省において区分所有法制の見直しが進められております。国土交通省においても、管理や修繕、再生の観点から、必要な施策の具体化に向けた検討を進めてまいります。これらの施策の推進には、全国でマンション及び戸建住宅の供給や不動産流通、リフォーム等に従事されている皆様のご協力が不可欠です。引き続きのご協力をお願い申し上げる次第でございます。
 結びに、貴協会のますますのご発展と、本日ご出席の皆様のご健勝・ご活躍を祈念いたしまして、挨拶とさせていただきます。本日は誠におめでとうございます。

[優良事業表彰]
〈戸建分譲住宅部門(小規模)〉
 「ストークガーデン加古川町木村komachi」(SHOWA GROUP(株))

〈中高層分譲住宅部門(大規模)〉
 「アクタス博多グランミライ」((株)クレ・コーポレーション)
 「グランフォーレ大橋駅前レジデンス」((株)コーセーアールイー)
 「ヴェレーナシティ パレ・ド・マジェステ」(大和地所レジデンス(株))

〈中高層分譲住宅部門(中規模)〉
 「ウィルローズ横浜鶴見」((株)THEグローバル社)
 「アレイール南上原アダット」((株)サンクス沖縄)
 「ミオカステーロ京王稲田堤III」(山田建設(株))
 「ピアース渋谷」((株)モリモト)

〈中高層分譲住宅部門(ワンルーム)〉
 「ガーラ・プライム横濱関内」((株)FJネクストホールディングス)
 「SYFORME MOTOMACHI-CHUKAGAI」((株)シーラ)

〈企画・開発部門〉
 「メイクス氷川台アジールコート」((株)アーバネットコーポレーション)
 「ウィルローズ府中宮町」((株)THEグローバル社)
 「ホテルグランビュー石垣 The First」((株)富士開発)

[優秀社員表彰](敬称略)
 (株)サンセイランディック/岩男 龍也/吉岡 豊朗/山内 静香/田中 覚
 (株)中央住宅/宮﨑 俊信/藤田 哲也/堀越 駿平
 (株)東栄住宅/中澤 克之/網川 忠志/濱田 紘輔
 日神管財(株)/松田 次郎
 (株)日神グループホールディングス/太田 和志

[優秀技能者表彰](敬称略)
 ポラスハウジング千葉(株)/河野 由昭