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第53回全国大会を静岡で開催― 全国から600人以上が集結 ―

 当協会は、去る11月7日に静岡市のグランディエールブケトーカイにて第53回全国大会を開催した。この大会は、当協会に加盟する全国17団体の会員と企業会員、賛助会員などが一堂に会し、税制改正要望の実現や住宅金融支援機構融資制度の改善などを目指して開催している。今回の大会は、静岡県都市開発協会(以下「静岡県協会」)が幹事協会となり全国大会のほか、記念講演、懇親会、懇親ゴルフ大会、エクスカーション(観光旅行)などを行った。
 当日は、馬場会長、開催地協会である静岡県協会 吉田理事長の挨拶に続き、玉原国土交通省不動産・建設経済局次長、鈴木静岡県知事(代読)、吉田静岡市副市長、毛利住宅金融支援機構理事長等から祝辞をいただいた。(馬場会長、吉田理事長の挨拶(抜粋)は下記に掲載。)
 次いで、花沢副会長が最近の住宅・不動産業界の諸課題を踏まえて政策提言を行い、これを受けて大会スローガンを盛り込んだ大会決議を静岡県協会 久保田副理事長が読み上げ満場一致で採択した。
 また、引き続き、叙勲・褒章等表彰受章者に対する記念品贈呈が行われた。

[馬場会長挨拶(抜粋)]
 本日ここ静岡市におきまして、全国住宅産業協会の第53回全国大会を盛大に開催できますことは誠に喜ばしい限りです。公務ご多用中にかかわりませず、国会議員、国土交通省、静岡県、静岡市を始めとした関係諸機関、友好団体の皆様等多数のご来賓にご臨席を賜り厚く御礼を申し上げます。 今年は世界中が選挙イヤーで政権交代等各国ともに大きな変革が続いております。アメリカの大統領選挙ではトランプ氏の再登板が決まりました。そして、足元では解散総選挙で与党が過半数割れとなりました。こうした世界中に共通する流れの根底には、極端な二極化、中間層の?せ細り、一部の富裕層とその他の貧困層という国家の分断に対して、庶民の憤りが一気に噴き出したことがあるのではないかと思います。この分断がもたらす社会不安というのは、都市部を中心とした最近の住宅市場にも当てはまりそうです。投機的な資産価値に重きが置かれ、為替と海外相場との関係もあって、新築・流通ともに販売価格が高騰、その結果、「住環境」「安全性」「地域とのコミュニケーション」といった住生活の豊かさに直結する基本的な要素が置き去りにされてしまっています。その結果、実需として今よりは少しでも良い住環境を手に入れたいと願う子育て世代を中心とする中間層には全くの別世界となってしまいました。一刻も早くこの事態の改善に向けて可能な限りの手段をとる必要があります。また、様々な自然災害リスクを抱えている我が国では、悲惨な事態を日常的に目の当たりにしているにもかかわらず、立地の適正化については、単なる警鐘に止まっております。例えば、過密を解消するための人口密度規制であるとか、ハザードマップ上で明らかに危険であると指定されたエリアからの予防的な移転といった具体的な対応については、残念ながら及び腰にしか映りません。働き盛りの中間層にどうすれば良い住環境を提供することができるのか、これこそが次の住生活基本計画の根幹に置かれるべきであり、人口減少に伴うこれからの社会を見据えた合理的なダウンサイズ、急増する空き家や空地の集約化、産業構造の転換を含めた新たな国土利用とそれに見合う都市計画の見直しこそが重要です。一過性の経済対策や内需喚起のための政策から切り離して、正に国民が満足度を実感できる住宅政策が求められています。
 住宅の取得は、投資であって消費ではない。これは欧米各国が消費税を非課税やゼロ税率、あるいは軽減税率を適用する際の根拠とされております。ただし、ここで言う投資とは「人生設計の基盤となる生活拠点を確保したい」という目的のための息の長い投資であり、売買を繰り返すことによって短期的な収益を得ようとする投機的な投資とは根本的に性質が異なっております。幅広い中間層の堅実な資産形成を促すという意味でも今後の住宅税制と住宅金融のあり方について見直しが欠かせません。我々全住協は、誰もが適切な負担で良質な住宅を取得できるよう、あらゆる手段・支援策について政府や国会に働きかけることを第一に心がけて活動を続けてまいります。
 ここ数年来、業界を取り巻く環境は楽観を許さない状況にありますが、全国各地の地域性にふさわしい個性に溢れる様々な住環境を提供することで社会に貢献することが、我々に課された使命でもあります。会員各位にはさらなる発展を目指して引き続きご尽力をお願いするとともに、本日ここにおいでいただきましたご来賓の皆様方におかれましては、より一層のご理解とご協力を賜りますよう心からお願いを申し上げます。
 最後になりますが、設営に当たりまして格別のご尽力をいただきました地元の静岡県都市開発協会の皆様方に心から感謝を申し上げますとともに、ご来賓の皆様方と会員各位のご健勝、ご繁栄を心よりお祈り申し上げまして挨拶といたします。

[静岡県協会 吉田理事長挨拶(抜粋)]
 皆様、本日は全国住宅産業協会全国大会にご参加いただき誠にありがとうございます。特に、ご多忙のところご出席を賜りました来賓・友好団体の皆様、全住協会員事業者の皆様及び全国の団体会員の皆様に心から感謝を申し上げます。北は北海道から南は沖縄まで全国各地から630名の皆様の参加をもって開催できますことは、今大会の幹事を務める静岡県協会としても大変喜ばしく、心から歓迎申し上げます。当協会が幹事協会を務める全国大会は、今回で6回目を迎えます。前回2014年に開催して以来、早10年が経過いたしました。あわせて私共、静岡県協会は今年度で60周年を迎えることができました。これもひとえに協会を支えていただいた皆様方のおかげと感謝を申し上げる次第です。
 静岡県で真っ先に思い浮かべることは、世界遺産「富士山」ではないでしょうか。例年ならば10月後半には初冠雪を迎えますが、今年は一昨日の朝に静岡県側では富士山に雪が積もったのは確認されました。今朝になったらそれも消えてしまいましたが、帰りには雪化粧をした富士山をご覧いただければと思っています。
 全国大会式典後にパネルディスカッションを開催いたします。先の衆議院議員選挙で当選されました、井林辰憲衆議院議員、細野豪志衆議院議員、また難波喬司静岡市長をパネリストに、明海大学 中城康彦教授にコーディネーターをお願いしております。観光や産業を見据えた街づくり等、皆様のビジネスに大いに役立つのではないかと期待する次第です。
 明日の観光旅行は、富士山の風光明媚な姿を見ていただく富士山満喫コースを企画しております。日本平、三保の松原、清水港等を周って最後に富士宮で白糸の滝と浅間大社と、富士山にだんだん近くなっていくのを見ていただく予定です。
 また、ゴルフ大会は静岡空港に近い島田カントリーで開催いたします。名匠 藤田欽哉の設計により1965年にオープンした名門クラブで、茶どころ牧の原大地、富士山が見下ろせる絶好のロケーションとなっております。
 最後になりますが、中央のご来賓を始め、当地の大勢の来賓にご出席をいただき誠にありがたく心から感謝を申し上げる次第であります。幹事協会の静岡県協会の理事長としての歓迎の挨拶とさせていただきます。誠にありがとうございました。
[大会スローガン]
一、 耐震性の向上や安全な住宅地への立地の誘導等、災害予防策の強力な実施
一、 住宅ローン減税の継続的実施等、住宅取得への手厚い支援の確実な実施
一、 消費税を含めた住宅・土地税制についての抜本的な見直し
一、 フラット35融資制度の拡充、運用の一層の改善
一、 豊かな住生活の実現に向けた明確な将来ビジョンの策定

 式典終了後は、「静岡の街づくりについて」と題し、難波喬司氏(静岡市長)、井林辰憲氏(衆議院議員)、細野豪志氏(衆議院議員)をパネリスト、中城康彦氏(明海大学不動産学部教授・学部長)をコーディネーターに迎え、「静岡県・静岡市の今後の街づくり」「空き家対策」「市街地再開発事業のあり方」「規制緩和の方向性」「助成金・補助金制度のあり方」などをテーマとしたパネルディスカッションが行われた。
 その後開かれた懇親会では全国各協会の会員や多数の来賓が参加し、弦楽四重奏、マグロ解体ショーや和太鼓演奏のアトラクションが披露されるなど大いに盛り上がる中、懇親を深めた。
 当日の参加者は、約630名。