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年頭所感

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 令和7年は乙巳(きのと・み)の年です。「乙」は草木がしなやかに伸びる様子や横へ広がっていく意味があります。「巳」は脱皮を繰り返すことから不老不死のシンボルともされています。新しいアイデアや挑戦で、皆様にとって本年が飛躍の一年となりますよう祈念しております。
 昨年は、能登半島地震や全国各地での猛暑、台風や線状降水帯による豪雨・河川の氾濫、さらに南海トラフ地震臨時情報が発表されるなど大きな自然災害に見舞われた1年でした。国民の生活基盤である住宅に関わる事業者として安心・安全な住まいの提供について責務を改めて認識する次第です。今後は生活の安全を守るため、レジリエンスの向上に向けて災害リスクが高い立地からの移転を事前に行うなど被害を未然に防ぐ努力が必要です。
 経済の状況を見るとインバウンド需要の増加が続いていることや省力化・デジタル化を目的とするソフトウェア投資の拡大など景気は回復基調にあります。地方都市でも海外からの訪問者数は、コロナ前以上となり、地域によっては半導体工場立地による波及効果もあり、経済活動は活性化しております。消費者マインドも徐々に持ち直しつつありますが、先行き不透明感から長期の借入れを要する住宅購入には、多くの勤労者がなかなか踏み込めない状況にあり
ます。
 こうした状況の中、昨年12月に発表された令和7年度税制改正大綱では、住宅ローン減税の子育て世帯等への借入限度額の上乗せ措置及び床面積要件緩和措置の延長、子育て世帯の既存住宅リフォームに係る特例措置の延長、長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する固定資産税の特例措置の延長などが実現しました。これらの措置は、住宅取得者の負担軽減や良質な住宅ストックの形成・流通促進に寄与するものであり、ご尽力いただいた国会議員、国土交通省の関係の方々に深く感謝申し上げます。
 特に住宅ローン減税は、子育て世帯にとって住宅価格が高い水準で推移する中、住宅取得の有効な後押しとなります。しかしながら、これらの住宅ローン減税は、本年12月には期限切れを迎えます。令和8年以降どういう支援措置を講じていくのかについて、一般的な勤労者世帯の方が良質な住宅を適正な価格で購入できるよう控除率や控除額、控除期間等について研究・提言を行ってまいります。
 また、住生活基本計画の見直しに向けて社会資本整備審議会住宅宅地分科会での審議が昨年10月から開始されております。カーボンニュートラル実現への取組み、自然災害対策、不動産DXの普及促進、増え続ける空き家の解消、既存住宅の流通市場の整備、利活用困難な住宅の除却・改修・建替え等の促進、住宅弱者への対応など多くの課題について深い議論が期待されます。私も委員として参画しておりますので、ライフステージやライフスタイルの変化に伴い購入者の住宅に対する価値観が多様化する中、住宅リテラシーの向上、時代にあった土地利用の見直し、人口減少を見据えた都市のダウンサイズなどについて積極的に提案したいと思います。
 当協会は、今年も全国約1,700社の英知と熱意を結集し、国民の豊かな住生活の実現と住宅・不動産業の発展を通じ、日本経済の成長に寄与してまいりますので、会員並びに関係の皆様方の倍旧のご支援とご協力をお願い申し上げます。最後になりましたが、皆様方のますますのご発展とご健勝を祈念申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。