令和7年新年賀会を開催―会員、来賓など700名で新年を祝う―
当協会は1月7日、ホテルニューオータニにおいて「令和7年新年賀会」を開催した。冒頭の馬場会長の挨拶に続き、菅元内閣総理大臣など多数の来賓の方々より祝辞をいただいた(以下に馬場会長挨拶と中野国土交通大臣祝辞要旨を掲載)。当日は、国会議員、官公庁、友好団体関係者、当協会会員など約700名が参加し、新年を祝った。
[馬場会長挨拶]
皆様、明けましておめでとうございます。全国からご参集の会員はもとより、国会議員、政府関係機関、友好団体の皆様方など、多くの方々とご一緒に新年をお迎えすることができますことを心からお慶び申し上げます。
昨年を振り返ってみますと、世界中に政変の嵐が吹き荒れました。理想はともかく現実的な対応で戦争や紛争が終結し、それが結果として世界の経済が底上げされることを期待するばかりです。我が国におきましても、政策の一つ一つを着実に遂行していくためにはかなり地道な努力が求められるようになっています。こうした情勢の中で、令和7年度の税制大綱には、子育て世帯に対する住宅ローン減税や既存住宅をリフォームする際の特例措置の延長など、私共が要望しておりました主だった項目の全てが盛り込まれました。本日ご臨席の国土交通省や業界団体との連携・協力の賜物であり、何よりも諸先生方から広くご理解とご支持をいただきましたことにつきまして、改めましてこの場を借りて厚く御礼を申し上げます。
さて、住宅には耐久消費財である側面と、固定資産を長期で保有する投資対象としての側面があります。しかし、現状は、多額の金融資産を保有する国内の富裕層の増加や、円安と低金利が外国人投資家を後押しする形となったことを背景として、長期保有というよりはむしろ短期での値上がりに期待して高額商品に投資する、かなりバブル化した市場に変遷しつつある状況にあります。急ピッチで高騰し続ける新築マンションの価格は、中古市場にも大きな影響を及ぼしており、現在保有している居住資産を有利な価格で流通させることでより高額の物件にシフトしていく状況が見られます。これは、住み替えによるステップアップと捉えることもできますが、地方の中核都市を含めた大都市圏におけるほんの一部地域の現象でしかなく、しかもごく限られた資産家のみが市場を牽引し、その他の波に乗り切れない消費者に弊害をもたらしていることに問題があります。今よりは少しでも良い住宅を、清潔で安心できる住環境を求めている圧倒的多数の中間層は、価格の高騰に追いつくことができず市場から完全に弾き出されようとしています。こういった潜在的な需要を眠らせることなく、どうしたら彼らの夢の実現に応えることができるのか、正に国民目線でのきめ細やかな支援策が求められていると思います。
失われた30年の間に製造業の海外依存度を高め、その反動として国内各地でものづくりを忘れてしまった結果、今や国民1人当たりの名目国内総生産は米ドル換算で韓国にも抜かれ、先進国では最低レベルとなっております。今、最も注力すべきは、地方の豊かな自然環境を活かしたものづくり、最先端技術の工場誘致や第6次産業の育成による地域産業の競争力強化などで新たな雇用を生み出すこと、同時に、集約的なまちづくりと住宅の供給をセットで組み合わせた地方創生です。そうした活動を全国的に展開することが、持続的な経済の活性化と様々な意味のレジリエンスの向上につながる道筋ではないでしょうか。
住宅を巡る状況を見てみますと、空き家・所有者不明土地の急増、区分所有マンションの老朽化対策、いずれも根の深い、そして解決が容易ではない多くの社会問題の深刻度が加速されつつあります。こうした課題を一つ一つ解決していくためには、正に我々事業者が試行錯誤を繰り返しながら色々なアイディアと知恵を絞って事業化のヒントを提供し、それを国や地方自治体が適宜バックアップしていただけるような新しい体制づくりが欠かせません。当協会は、子育て世帯を中心とする若年層や、ライフサイクルの中で生活形態が新たなフェーズへと変化していく高齢者世帯を対象として、自らが住むための良質な住宅や住環境を提供できるよう、幅広いニーズに応えることが何よりも肝要であるという理念を活動のベースとしております。北海道から沖縄に至る全国の会員によって地域に密着した事業活動を通して、国民の豊かな住生活を実現するため全力で取り組んでまいる所存であります。適切な支援策の下で我々が希望を持って事業に邁進することができますよう、本日ご参集の国会議員の先生方を始め、関係する皆様方のなお一層のご尽力をお願い申し上げます。
結びに、巳年は「皮を脱ぎ捨てて新たな姿に生まれ変わる」再生や永遠の象徴とされており、我が国の国家体制の構築の一つの端緒である「大化の改新」の始まりもこの年回りに当たっていたようです。大きな変革をもたらす良き年になりますように、皆様方のますますのご発展とご健勝をご祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
[中野国土交通大臣祝辞]
馬場会長始め本日ご出席の皆様におかれましては、日頃より国土交通行政に格別のご理解・ご協力を賜りまして、厚く御礼を申し上げます。
住宅価格の高騰が続き、住宅ローン金利も先高観が強まる中で、子育て世帯を始め、誰もが安心して暮らせる住まいを確保する環境を整えることが大変重要な課題となっております。このため、令和7年度の税制改正においては貴協会からも強くご要望いただき、また先生方のご指導も賜り、住宅ローン減税について床面積要件を40㎡以上に緩和するという措置、あるいは子育て世帯等の借入限度額を上乗せする措置を令和7年度も維持をすることを目指して取り組み、昨年末の税制改正大綱に盛り込むことができました。令和6年度の補正予算においても子育てグリーン住宅支援事業を創設し、省エネ性能の高い住宅の取得等への支援に必要な予算を措置したところです。引き続き、子育て世帯等の住宅取得を支援するとともに、厳しさが増す住宅市場の下支えに努めます。
また、老朽化等が進む住宅ストック対策も重要な課題です。空き家については特定空き家の除却の促進に加えて、改正空家法に基づき空き家の有効活用や適切な管理にも力を入れ、総合的かつ効果的に空き家対策を推進してまいります。またマンションについても、区分所有法制の見直しの動きも踏まえ、管理や再生の円滑化等を図るための法案を次期通常国会に提出すべく検討を加速化してまいりますので、引き続きのご支援、ご協力を是非ともよろしくお願い申し上げます。
結びに、貴協会のますますのご発展と、本日ご出席の皆様のますますのご健勝をご祈念申し上げます。